【UFN69】川尻達也、敵地ベルリンでシヴァーと覚悟の詰まった一戦
【写真】一戦、一戦が覚悟のファイト。川尻達也を曝け出してほしい (C)MMAPLANET
20日(土・現地時間)、ドイツはベルリンO2 WorldでUFC Fight Night 69「Jędrzejczyk vs Penne」が開催される。メインはイベントタイトル名にある通り、UFC女子ストロー級選手権試合=王者 ヨアナ・イェンジェチック×ジェシカ・ペネの一戦が組まれている。
そんなベルリン大会には日本から川尻達也、佐々木憂流迦の2選手が出場し、それぞれデニス・シヴァー、テラー・ラピルーと対戦する。川尻は昨年4月のクレイ・グィダ戦の判定負け以来、1年2カ月振りの実戦をUFC戦績1勝1敗で迎えることとなる。
一方、母国での試合となったシヴァーは1月のコナー・マクレガー戦の惨敗からの再起戦。そのマクレガー戦こそ、一方的に敗れてしまった感のあるシヴァーだが、非常に手強い選手だ。UFC戦績は11勝7敗、ドナルド・セラーニや当時のグレイ・メイナードなどトップの壁は切り崩せていないが、ディエゴ・ヌネス、ジョージ・ソティロポロス、ナム・ファンらからはしっかりと勝利を挙げている。
ベースが空手のキックボクサー。分厚い胸板と、肥大したような僧帽筋の持ち主は、首も非常に太い。オーソドックスの構えで左右、両方から蹴りが使え、パンチはワイルドなフック中心のシヴァーは、テイクダウンディフェンスに長けており、逆に自らテイクダウンを奪うこともできる。一言でいえば、川尻にとって非常に厄介な対戦相手だ。
左の蹴りを使うときは、やや頭を右に傾けるのでここは察知しやすいが、着地と同時に振り回すフックの間隙をついて、如何に川尻が組みつくことができるか。川尻としては敵地ということもあるので端からブーイングを気にすることなく、熱くならずに距離を取って詰めるタイミングを窺いたい。
組み技にしてもしっかりとテイクダウンを取るという風にハードルを上げるのではなく、尻餅がつければ御の字、あるいはスタンドのバックテイクで十分ぐらいの気持ちで、断続的に組み付いていきたい。そうすれば、必ずシヴァーは疲れてくる。そして背中を付けるようになると、ここからは川尻の泳がせるトップキープ・ショーの始まりだ。
とにかく川尻としては、組んでも逃げられることを前提に、3R=15分という時間を頭に刻んで戦ってほしい。そんな我慢の展開も、あるいは勝負時のラッシュも川尻の精神力を持ってすれば可能になってくる。本来、MMAは精神力頼りでは戦えない。川尻ももちろん、そんな試合をするつもりはないだろう。しかし、今回はキャリア14年目を終える2日前の試合だ。
知っての通り、川尻は昨年3度目の網膜剥離を患い、一時は引退も覚悟した。そして、新しい治療方法=手術に出会い、今回の試合でカムバックを果たす。これまでの積み重ねてきた技術、全てを出そうがポイントメイクに徹し切ろうが、全ては川尻次第。好きなようにオクタゴンで自分を曝け出してほしい。その結果、勝敗はついてくる。そんな格闘技で周囲を納得させることが可能な稀有な存在、日本のファンは決してこの試合を見逃してはならない。
■UFN69対戦カード
<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
[挑戦者] ジェシカ・ペネ(米国/3位)
<フェザー級/5分3R>
デニス・シヴァー(ドイツ/12位)
川尻達也(日本/15位)
<ウェルター級/5分3R>
ペーター・ゾボタ(ドイツ)
スティーブン・ケネディー(豪州)
<ライト級/5分3R>
ニック・ハイン(ドイツ)
ルカス・サエウスキ(ポーランド)
<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ(フィンランド)
マシオ・フーレン(メキシコ)
<ライト級/5分3R>
マイルベク・タイスモフ(ロシア)
アラン・パトリッキ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ニクラス・バックストルム(スウェーデン)
ノード・ラハット(イスラエル)
<ミドル級/5分3R>
スコット・アスカム(英国)
アントニオ・ジュニオール・アルファ・ドスサントス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ピヨトル・ホールマン(ポーランド)
マゴメド・ムスタファエフ(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
テラー・ラピルー(フランス)
佐々木憂流迦(日本)