【UFC94】GSP×BJ、現役王者同士の対戦は一方的に
■第10試合UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R
[王者]ジョルジュ・サンピエール(カナダ)
Def.4R終了/TKO(ドクターストップ)
[挑戦者]BJ・ペン(米国)
異様な盛り上がりを見せるなか、両者がオクタゴンに登場。肉体的なアドバンテージは、GSPにあることは間違いない。勝利へ強い意志を見せるGSPと、常人を超越した異様な輝きを放つBJの眼光。いよいよUFC史上初の二階級現役王者の対戦が始まる。
いきなり組みあった両者、GSPがBJをケージ追い込み、左フックを放つ。さらに左ヒザをボディに突き上げるGSP。さらに片足タックルをしかけたGSPだったが、BJはケージを利用し、抜群のバランス感覚を発揮。テイクダウンを許さない。
執拗に片足タックルを仕掛けるGSPは、同時にBJの左肩を押し込むが、一旦、テイクダウンを諦める。すると距離を取る両者、GSPの左ジャブがBJの顔面をかすめる。BJのジャブに対し、左右のフックを繰り出すGSPは、ここで再び組みついていく。
左足へのシングルレッグダイブ、両足タックルを切ったBJは縦ヒジを繰り出す。再び距離をとったGSPは、右フックから左ストレートをBJの顔面にヒットさせ、BJが前に出ると、すかさずバックステップで距離をとる。
かつてない緊張感が場内を支配した1R、残り15秒でローキックを見せたGSPに対し、BJは左フックを放つがバランスを崩す。ここで1Rが終了。GSPはテイクダウンを成功させることはできなかったが、BJにはエフェクティブな攻撃はなく、ウェルター級王者GSPが先制した。
2R、左ジャブを連打するGSPに、BJの左ストレートがヒット。さらに右から、左とつないだライト級王者のパンチがGSPの顔面を捉える。と、ここでGSPが初めてテイクダウンに成功するが、BJはラバーガードからミッションコントロールの態勢をとる。
クローズドガードをとったBJに、GSPは右のエルボーを落としていく。シャオリン、ハイガードと細かい攻撃を見せるBJだが、GSPはパウンドからパスガードに成功する。
BJのボディにヒザを落とすGSP、BJの動きが一気に悪くなる。フルガードに戻したBJだが、これほどの長時間、彼がポジションを許したことがあっただろうか。
右エルボーを落とすGSPに、BJのガードワークが崩されていく。立ち上がったGSPは、足を払いパウンドを落としながら、再びパス。ガードに戻したBJだが、GSPのパウンドは間断許さずBJの顔を襲い続ける。さらに右のパウンドを二発受けたBJ。GSPが圧倒的にラウンドを支配し、BJは左頬をカットした。
左ジャブの三連打、さらにボディと顔面を打ち分けるGSPの勢いが加速した3R。GSPは組みつき、2度目のトライでテイクダウンを奪う。粘りがなくなってきたBJは、ハーフガードを取るものの右の細かいパウンドを顔面に受ける。
フルガードに戻したBJに、中腰のGSPがパウンドを落とすと、BJはハイガードに。再びベースをつくったGSPは、BJのヒザを折りたたみながらパウンドを放つが、ここでBJがスイープを狙い、立ち上がることに成功する。
ようやくBJのサポーターから大歓声があがるが、テイクダウンには至らず、GSPが彼をケージに押し込み、またもテイクダウンを奪っていく。左の拳を思いきり落とすGSPに、あのBJが防御一辺倒に追い込まれたまま3Rが終了した。
4R、GSPの左ジャブから右ローがBJに襲いかかる。簡単にテイクダウンを奪ったGSPは、続いてパスガードに成功すると、左エルボーと右パウンドで攻め続ける。ヒューズばりにBJの左手を両足で挟み、顔面を無防備にした状態で拳を落としていくGSPは、ハーフガードに戻されても攻撃の手を緩めない。再びバスを奪ったGSPは、右パウンドを落とし続け、さらにエルボーを狙う。
ハーフガードをキープし、パンチを受け続けるBJは、GSPの力強いトップコントロールになす術もない。潜りを狙ったBJ、しかし、嵐のようなパウンドを10秒以上受け続け、悪夢のような4Rを終えた。
思いもしない一方的な展開で迎えた大一番。BJは5Rスタートに呼応することができず、最後はドクターストップ。GSPの一方的な試合展開のまま試合終了を迎えた。
「9月からこの試合に備えていた。今回は判定でなく、決定的な勝利を挙げることができた。道衣がないから、柔術世界王者のBJを相手にレスリング勝負を仕掛けた。チアゴ・アウベスがナンバーワンコンテンダー。僕はベストファイターと戦いたい、チアゴと戦うことになるだろう」と語ったGSP。アウベスをオクタゴンに引き入れ、世紀の一戦は新たなウェルター級戦線のスタートを意味するものとなった。