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【Pan BJJ】マルファシーニがテハから一本、ミヤオはシェア、シーソーゲーム制したグリッポ

Pan BJJ 2015【写真】世界前哨戦でまずは先勝したマルファシーニ。テハの巻き返しにも期待(C)IBJJF

11~15日(水~日・現地時間)からカリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が開催された。世界最高峰の選手達がズラリと顔を揃え、5月の世界選手権の前哨戦というべきこの大会の模様を、アダルト黒帯の各階級の決勝戦を中心にお届けしたい。

まさかの短時間&一本決着となった(C)IBJJF

まさかの短時間&一本決着となった(C)IBJJF

<ルースター級決勝/10分1R>
ブルーノ・マルファシーニ(ブラジル)
Def. by ボーアンドアローチョーク
カイオ・テハ(ブラジル)

最軽量級では予想通り、この階級を長年支配しているライバル2人が決勝戦に進出。去年は実現しなかった世界一決定戦が、世界選手権を待たずして実現することとなった。なおマルファシーニは、準決勝で日本の芝本幸司(トライフォース)からパスを奪って完勝している。試合開始と同時に突進したテハは、その勢いで引き込みに。受けるマルファシーニの方も慌てず引き込み返してダブルガードの体勢となった。ここからの探り合いが続くかと思いきや、すぐにマルファシーニはテハの左足を捕まえると、一気に対角線上に引き寄せながら起き上がってレッグドラッグの体勢に! 

そのまま自らの左半身でテハの左足を抑え、右手でテハの襟を掴んで体重をかけてゆく。完全にテハの動きを封じたマルファシーニはそのままバックへ。テハはなんとか上体をずらして逃げようとするが、その襟を深く捕らえたマルファシーニはボー・アンド・アロー・チョークを接トップする。これが完全に極まってテハがタップ。その時間僅か1分半、速攻で引き込みに来たテハを、逆に速攻のレッグドラッグで切り返したマルファシーニの完勝となった。マルファシーニは持ち前の瞬発力&爆発力を活かし、テハに多彩&華麗なテクニックを繰り出す暇を与えなかったといえよう。拮抗した試合になることが多かった2人の対戦でのまさかの一本決着。これで5月の世界柔術における両者の再戦がますます楽しみになってきた。

【写真】ギが加わると世界柔術の表彰台は? 微妙に分け目が違うミヤオ兄弟(C)IBJJF

【写真】ギが加わると世界柔術の表彰台は? 微妙に分け目が違うミヤオ兄弟(C)IBJJF

<ライトフェザー級決勝/10分1R>
パウロ・ミヤオ(ブラジル)
Def.
ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)

この階級も事前の予想通り、ヨーロピアンに続いてミヤオ兄弟によるクローズアウトとなった。ちなみにパウロのほうは、前日に日本の松本義彦(カルペディエム)相手にスイープを許し苦戦したものの、結局はベリンボロからバックを奪ってのギチョークで勝利している。去年は兄のパウロがライトフェザー、弟ジョアオがルースターと階級を分けて世界柔術に挑んだが、今年はどうなるのか。

【写真】シーソーゲームを制したグリッポ(C)IBJJF

【写真】シーソーゲームを制したグリッポ(C)IBJJF

<フェザー級決勝/10分1R>
ジャンニ・グリッポ(米国)
Def. 6-4
オズワウド・モイジーニョ(ブラジル)

本命不在の混戦状態にあるこの階級だが、決勝に上がって来たのは優勝候補二人、ヨーロピアン準優勝のジャンニ・グリッポ(アリアンシ)と、昨年3位のケイシーニョことオズワウド・モイジーニョ(グレイシー・ファイター)であった。いわゆるモダン柔術に長けた二人の対戦とあって、予想通りダブルガードから試合開始。ここから上を選択したモイジーニョがアドバンテージを先行する。グリッポは得意のベリンボロを仕掛けるが、10月のIBJJFプロリーグでパウロ・ミヤオのベリンボロを封じて勝利したモイジーニョは、その時と同じ要領で一緒に回転して危険を開始し、さらに横に動いてパスガード仕掛けて、さらにアドバンテージを追加して試合をリードする。

その後、お互い座り込んだ状態からグリッポが立つと2点が入り逆転。下になったモイジーニョはならばと50/50の体勢に入る。この体勢が解除されない限り、試合はシーソー状態でどちらが終了時に上になっているかを競うゲームとなったこととなる。残り時間どのくらいの時点で上になれるかが重要となるこの駆け引きにおいて、モイジーニョは残り2分の時点であえて上に。しかし、トップを保ち切れずに残り1分でグリッポがスイープに成功する。ここからグリッポは巧みな体重移動でモイジーニョにスイープの角度を作らせない。スイープを諦めたモイジーニョは残り10秒でアンクル狙いに切り替えるものの不発に終わり、終了時点で上を保ったグリッポの勝利となった。

相手を倒し合う格闘技としての魅力には欠けるといわざるを得ない、悪名高き50/50シーソー戦と化してしまったこの試合。だがその中で、いかにスイープの角度を作るか/作らせないか。そのために相手のどの部分を掴むか。上下からいかにベリンボロを仕掛けるか。解除を試みる側とそれを防ぐ側の攻防など、最先端技術における熾烈な争いが行われていたのも確かだ。全てを賭けてトップを目指す選手たちによる技術改革が進むなかで、この種の攻防がどう変わってゆくか今後も注目したい。

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