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【UFN62】リオでケビン・ソウザと対戦する菊野克紀<02>「見ないこと、待たないこと」

Katsunori Kikuno【写真】現状を受け止め、前向きに捉える。そうやって、毎日、一歩ずつ前に進む菊野、だ(C)MMAPLANET

21日(土・現地時間)、ブラジルはリオデジャネイロのジナーシオ・オ・マラカナジーニョで行われるUFC Fight Night62「Maia vs LaFlare」で、ケビン・ソウザと対戦する菊野克紀インタビュー後編。

減量、ブラジル、リーチの長い相手。まるで三重苦のような状況をポジティブに捉える菊野。その前向きな姿勢をお伝えしたい。
<菊野克紀インタビューPart.01はコチラから>

──目に自信があった菊野選手ですが、ファーガソン戦では勝手が違った?

「ジャブが見えなかったんです。リーチが長くて、速くて丁寧なジャブでした。打ち出しも見えなくて、被弾した瞬間、『エッ』って思いパニックに陥りました。それまで体験したことないことが起こり、そこに対応する引き出しがありませんでした。そこからは、もう後手に回るしかなかったです。だから……あの試合から、見るのを止めたんです」

──見るのを止める?

「相手の攻撃に合わせることを止めたんです。サム・シシリア戦もそうでした。リーチはなかったですが、スピードがありました。これから僕がUFCで戦っていく相手はスピードがあって、技術もあってリーチも長い。僕の目では反応し切れない状況が起こると思います。ケビン・ソウザも恐らくはそんな相手です。だから相手の攻撃を見て避けるのではなく、先に自分から色んなことを仕掛けていかなければならなくなります」

──菊野選手はカウンターの印象が強かったのですが、これからは自分から当てていくということですか。

「それもカウンターとも捉えることができるのですが、要は相手の攻撃を見て合わせるのではなくて、見ないで合わせるということなんです(微笑)」

──また菊野ワールドに入ったような気がしますが、それは相当に難しいことではないですか。

「予想ですね。相手の実際の動きはケージに入るまでは分からないので。来るだろう──ということで、こちらも出す。それはもう経験を積んで……賭けにならないように出せるようにしていきたい。確率を上げていく必要があります」

──果てしない作業ですね。

「ここにきて、初めて距離を必死に考えています(微笑)」

──戦い方を考えつつ、体重を落とし、ブラジルへ向かう。繰り返しますが、UFCは甘えを許してくれないですね。

「良い意味で、これを乗り越えることは僕にとって大きなことだと思います。ブラジルを体験すれば、どこでも戦えるようになるでしょうし、ソウザに勝てばリーチ差という課題を克服できたことになります」

──そのために練習で心掛けている点はありますか。

「今も言っていたように距離、そして見ないことです」

──見ないこと……。

「待たないこと、ですね。見える攻撃と見えない攻撃があるので、見えない攻撃は待たない。ジャブやストレート系のパンチは見ない、フックとかは見えるので。ただ、ジャブや真っ直ぐ系のパンチをかわし切れないとフックも食らってしまいます」

──ソウザは身長180センチ越えなのですね……。

「そしてブラジル、アウェイです。凄い雰囲気だと聞いています」

──ブラジル人ファンはサッカーでもそうですが、自分たちの応援している選手が不甲斐ない試合をすると、相手以上に野次るのでそういう展開に持ち込みたいですね。ホームのプレッシャーをソウザが受けるような。

「なるほど、そういうこともあるのですね(笑)。ブラジルでブラジル人とぶん殴り合える、これは非日常の空間です。楽しいです、こんな人生が送れるなんて」

──格闘家冥利に尽きる?  でも、この状況を楽しんでくださいとは言えないですね(苦笑)。

「絶対に勝つつもりでやっています。ただ、そこばかりに捉われているとしんどいです。勝負には勝ちと負けが絶対についてくるものなので、勝つこともあれば負けることがある。勝つことと負けることはセット、あまりそこを考え過ぎるとしんどいです。だから、今のこの状況を楽しんで幸せだと思った方が力になる、元気が出ます」

──それが格闘技を嗜む人間の良い姿勢かと思います。

「今回のビザの件もそうですし、嫌な方に考えることはいくらでもできます。本当に(笑)。でも、日本でブラジルを体験できたと捉えるとポジティブにもなれます。今回、山城(美智・沖縄拳法空手沖拳会師範)先生はブラジルに来られないんです。でも、先生がいないと困るという風に依存するのではなく、その分、行くまでに一緒に練習できると考えています。明日もそうですが、タップリと時間を取ってもらえているんです。あとは、それを実践するのは自分なので」

──無責任ですが、リーチ対策がなった菊野選手の試合が見られること期待しています。

「ハイ、ありがとうございます」

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