【on this day in】3月07日──2013年
【写真】まさに南国情緒にあふれた計量風景。もちろん、選手にとってはロケーションなんて全く関係ないシビアな場なのだけど。これもPXCらしさだ (C)MMAPLANET
PXC36 Weigh-in
@グアム・タモン、PICグアム
「一番羨ましいMMAプロモーターは誰?と尋ねられたら、僕は迷わずEJ・カルボと答えるだろう。ダナ・ホワイト? 天下人ってストレスの固まりみたいで羨ましく思えない。スコット・コーカー……になるくらいなら、悠悠自適のリタイア生活をエンジョイしたい。本当はどれだけ実権を持っているのか、スコットやレイ・セフォーのような立場は絶対に願い下げだ。その点、RFAのエド・ソアレスは良いなぁと思う。裾野が広がった米国MMA界で、新鋭を競わせて、UFCへ送り込む。向かい風はUFCに任せ、スリップストリームに引っ張れるように走り、決して前に出ることはない。余裕があり、MMAを楽しんでいる。そう、MMAを楽しめる──ゆとりあるプロモーターの一番手こそPXCのEJ・カルボだと僕は思う。代表は叔父ジョーイ・カルボ。ジョーイはグアムでTV局とラジオ局を持っており、EJの本業はビールの輸入販売。BJ・ペンと共にハウフ・グレイシーの下で柔術を学んだ彼は、ビールをMMA会場で販売していたのをきっかけに、自らイベント運営に乗り出した。PXCが基盤を持つグアムでは、TVに携帯&ネット、アルコールと娯楽は全てをカルボ王朝が牛耳っている。ちなみにPXCはTV製作費で運営されており、スポンサーがなくても活動していける。グアムやサイパン、そしてサーキットに加えたフィリピン人選手に、日本や韓国、豪州勢のファイターをぶつけるマッチメイクで、続々とUFCに選手を送り込んだ。ビッグネームを導入する必要もなく、ロコと各国のヤングガンズの対戦でフィリピンでは3000、グアムでは4000という観客を常時集めている。会場の空調が追い付かず、灼熱の館内では飛ぶようにビールが売れるのだから、ホクホクだろう。ガツガツせず、選手の育成に重点を置いた国際戦中心の試合をゆとりを持って楽しめるプロモーター、本当に最高だろう」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。