【UFC153】白熱するウェルター級世代闘争、エリック・シウバ×フィッチ
【写真】最近のUFCでは珍しい、野性味あふれるファイターのエリック・シウバ。フィッチを破れば、マネージャーのヴァリッジ・イズマイウの迷通訳に注目だ (C) GONGKAKUTOGI
13日(土・現地時間)ブラジル、リオデジャネイロのHSBCアリーナで開催されるUFC153「Silva vs Bonnar」。今大会ではウェルター級でジョン・フィッチ×エリック・シウバという注目のカードが組まれている。
出場予定選手の欠場を受けてアンデウソン・シウバ、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラという母国の二大ヒーローが共演する形となった今大会で、タイトルを頂点としたストーリーラインに直結したマッチメークと言える試合がフィッチとシウバの一戦だ。
かつてはGSPが絶対的な存在として君臨していたウェルター級だが、王者の長期欠場と暫定王者カーロス・コンディットの誕生と時を同じくして、混沌とした状況へと突入した。それまでタイトル挑戦を経験した選手たちと新世代の選手たちの間に存在していた差はなくなり、チャンピオン以下の選手たちが横一線に並ぶ混戦状態となっている。フィッチ×シウバというカードは、「タイトル挑戦経験者×フィッチと新世代ファイター=シウバ」という、現在のウェルター級戦線を象徴するようなマッチメークだ。
ここまでUFCでは2勝1敗のシウバは、試合内容で数字以上のインパクトを残している。UFCデビューでルイス・ラモスを左ストレートからの右フックで秒殺KOし、続くカルロ・プラター戦ではヒザ蹴り一発でプラターをダウンさせた後、追撃のパウンドが後頭部を殴打したと判断され反則負けという裁定が下されたが、シウバのKO勝利と言ってもおかしくはない内容だった。事実、チャーリー・ブレネマンとの対戦ではブレネマンのテイクダウンを阻止して、最後はバックからのリアネイキドチョークで一本勝ちし、その強さを存分にアピールしている。
3試合すべてが1R決着ということからも分かるように、シウバの持ち味は攻撃に転じた時の爆発力だ。パンチ、ヒザ蹴り、ハイキックと打撃の引き出しの多さもさることながら、少しでも自分の攻撃が当たると判断すれば、そこから一気にフィニッシュまで持っていく、攻めどころを逃さない嗅覚は天性のものを感じさせる。アスリート的な強さが目立つ傾向にあるUFCにおいて“格闘”の部分に強みを持った珍しいタイプだと言っていいだろう。
対するフィッチは昨年8月のチアゴ・アウベス戦以降、勝ち星から遠ざかっており、昨年12月のジョニー・ヘンドリックス戦ではKO負けという形で、GSP以外の選手に初めて土をつけられる形となった。
フィッチはテイクダウンとトップキープに抜群の強さを発揮する。加えて、自身が下になってもトップポジションを取り返す能力を軸に、試合を組み立てるというもの。対戦相手によって戦略を変えるというよりも、相手を自分の得意な型にはめ込んでしまうことでペースを掴み、確実に勝利を積み重ねてきた。
自ずと試合のポイントはフィッチのテイクダウンが成功するかどうかにフォーカスされる。純粋なレスリング力で言えばフィッチがシウバを上回るが、シウバのテイクダウンの入り際、離れ際に打撃を当てる反応の良さは抜群だ。
シウバとしては最低限のテイクダウンディフェンスをしつつ、思い切った打撃から突破口を探ってくるに違いない。それゆえテイクダウンそのものの攻防よりも、その前後の展開が両者にとって勝敗の分かれ目となるだろう。最近の趨勢でいえば、シウバがフィッチを下して、ウェルター級のトップグループの仲間入り果たすかどうかが注目されるため、フィッチの粘りも気になる試合だ。
■UFC153対戦カード
<ライトヘビー級/5分3R>
アンデウソン・シウバ(ブラジル)
ステファン・ボナー(米国)
<ヘビー級/5分3R>
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
デイブ・ハーマン(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
グローバー・テイシェイラ(ブラジル)
ファビオ・マルドナド(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
エリック・シウバ(ブラジル)
ジョン・フィッチ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
フィル・デイビス(米国)
ワグナー・プラド(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
デミアン・マイア(ブラジル)
リック・ストーリー(米国)
<フェザー級/5分3R>
ホニ・ジェイソン(ブラジル)
サム・シシリア(米国)
<ライト級/5分3R>
フランシスコ・トリナルド(ブラジル)
グレイソン・チバウ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ディエゴ・ブランダォン(ブラジル)
ジョーイ・ガンビーノ(米国)
<ウェルター/5分3R>
セルジオ・モラエス(ブラジル)
ヘネ・フォルチ(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
クリス・カモージー(米国)
ルイス・カーン(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
クリスチアーノ・マルセーロ(ブラジル)
ラザ・マハディ(スウェーデン)