【UFC179】ウィルソン・ヘイス、ヨルゲンセン戦では進化型グラップリングは不可欠
【写真】シュートボックスではヨルゲンセンには勝てない。進化バージョンのグラップリングをヘイスは見せることができるか (C)KEITH MILLS
25日(土・現地時間)、ブラジル・リオデジャネイロのジナーシオ・ジウベウト・カルドッソ=マラカナジーニョで開催されるUFC 179「Aldo vs Mendes 2」。11試合に全てにおいて、片方のコーナーはブラジル人が出場するというPPVイベントでは珍しい、決定的にブラジル色の強い大会となっている。
そんなブラジル勢にあって注目したいのが、フライ級でスコット・ヨルゲンセンと戦うウィルソン・ヘイスだ。サンパウロ出身、ホベウト・ゴドイ門下、2004年のムンジアルでは茶帯で優勝もしている柔術ベースのファイター。フィラデルフィアに移住後には太平洋岸まで飛びMMAアライアンスでトレーニングも積み、これまで23戦18勝5敗という戦績を残している。UFCで2勝1敗のヘイスは、実は数多くのオポジション的なイベントに出場してきた。
キャリア6戦目でエイブル・カラムを破り、エリートXC世界バンタム級王座に就くと、同団体の契約がストライクフォースに移行された際にラテン路線だったベラトールに転じた。しかし、最軽量級がフェザー級だったため、この判断は失敗に。ジョー・ソトやパトリシオ・フレイレに阻まれ、結局トーナメントではベスト4が最上位という結果に終わってしまった。そしてバンタム級新設後もドゥドゥ・ダンタスに敗れ、ベラトールを離脱したヘイス。その後ローカルショーで4連勝を果たし、金原正徳とグアムのPXCで戦うというプランが浮上した直後に、ジョニー・ベッドフォードの代役という形でUFC出場を決めた。
サウスポーのヘイスは、フック中心のパンチからシングルやダブルレック、あるいは壁に押しこんでボディロック&大内刈り、小外掛けでテイクダウンを奪うや、寝技でもMMA界にあっていち早くレッグドラックを取り入れ、パウンドからマウント奪取と多彩なグラップリングテクニックを披露してきた。
しかし、やはり世界最高峰のUFCは簡単に寝技に持ち込み、思うように動くことはできない。それでも荒いパンチを散らしつつ、ラウンド終盤にテイクダウンをまとめるという戦い方でアイヴァン・メンジバーを破るなど、懸命にサバイバルに挑んでいる。そんなヘイスにとって、フライ級転向3戦目となるヨルゲンセンを破るようなことがあれば、大きなステップとなる。誰もが認める実力者、しかしWECからUFCへ戦場を移すと、ヘナン・バラォン、エディ・ワインランド、そしてユライア・フェイバーというトップの壁に阻まれタイトルマッチに行きつくことができなかったヨルゲンセン。
それでもWEC時代には水垣偉弥戦を含め、5連勝でドミニク・クルーズに挑戦した実績を持つだけに、フライ級では一気にトップ戦線に躍り出ることが予想されていた。それがザック・マコウスキー、ジュスエ・フォルミーガに連敗、ダニー・マルチネスに勝利も随分と荒いファイトを見せるようになっている。それでも水垣曰く、体の頑丈さと組みの瞬発力の強さは随一というヨルゲンセンだけに、ヘイスもテイクダウンでスコアリングという試合展開に持ち込めない可能性も高い。
となれば、かつて得意としていた潜りからのスイープで、上を取ることが重要になってくる。もちろん、このような仕掛けはエルボーを受ける危険性は高くなってくる。ただし、先日パンクラスで北岡悟がリッチー・ウィットソンにギロチンを掛けられた際に見せたような動き──、ダブルで押し込みつつ引き込んで即リバーサル、あるいはシングルで片足をキャッチしておいて体を捻って上を取るというような、背中をマットに付けても止まることがないリズムで、潜りスイープを仕掛けることができれば、テイクダウンでなくてもトップを取ることは可能だ。
UFCで勝つために封印した戦い──その封印を解き、一呼吸置かない進化バージョンの潜りからのリバーサルを仕掛けるなど、ヨルゲンセンという壁を越えるには思い切りが必要になってくるヘイスだ。
■UFC179対戦カード
<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョゼ・アルド(ブラジル)
[挑戦者] チャド・メンデス(米国/1位)
<ライトヘビー級/5分3R>
グローバー・テイシェイラ(ブラジル/4位)
フィル・デイビス(米国/6位)
<ライトヘビー級/5分3R>
ファビオ・マルドナード(ブラジル/15位)
ハンス・ストリンガー(オランダ)
<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国/13位)
ルカス・マルチンス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
カルロス・ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)
ベニール・ダリューシュ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ヴィリアム・パトリーノ(ブラジル)
ニール・マグニ―(米国)
<ライト級/5分3R>
ヤン・カブラル(ブラジル)
小谷直之(日本)
<フライ級/5分3R>
スコット・ヨルゲンセン(米国/15位)
ウィルソン・ヘイス(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
フィリッピ・アランテス(ブラジル)
アンドレ・フィーリ(米国)
<ライト級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ(ブラジル)
クリストス・ギアゴ(米国)
<ライト級/5分3R>
ファブリシオ・モランゴ(ブラジル)
トニー・マーチン(米国)