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【No-Gi Worlds 2014】無差別級制覇は貫禄のガビ・ガルシアと、キーナンを完封したシモエス

Simoes def Cornelius【写真】ブシェシャ&ホドウフォの陰に隠れていたシモエスが、キーナンを完封しオープンで優勝。今後のさらなる活躍が期待したくなる2階級制覇となった(C) Kenny Jewel /GrappleTv

4~5日(土~日・現地時間)、カリフォルニア州アズサにあるアズサ・パシフィック大学内フェリックス・イベントセンターで開催されたIBJJF主催の世界ノーギ柔術選手権。No-Gi Worldレポート最終回は男女、無差別級模様をお伝えしたい。

【女子無差別級】

(C) Kenny Jewel /GrappleTv

(C) Kenny Jewel /GrappleTv

<決勝/10分1R>
ガビ・ガルシア(アリアンシ)
Def. by アメリカーナ
マッケンジー・ダーン(グレイシー・ウマイタ)

今回の決勝戦は注目すべき組み合わせとなった。女子フェザー級を制した60キロに満たないマッケンジー・ダーンが、男子のウルトラヘビー級選手にもひけを取らない体格の世界王者、ガビ・ガルシアに挑むことに。

向き合うとまさに大人と子供の体格差の二人。前傾姿勢でダーンに迫るガルシアの様は漫画『進撃の巨人』そのもの。その後ガルシアは自ら座ってシッティングの体勢に。力で押しつぶすのではなく技術で勝負しようとする姿勢が見えた。そこからガルシアはすぐにタックルにつなげてテイクダウンに成功する。ダーンもギロチンを合わせるがガルシアはすぐに抜く。と、その刹那ダーンはあっという間に三角絞めの体勢へ。しかし、ここでガルシアはあっさりダーンをリフトすると、腰に両手を当てて距離を作りながらすうっと(危険のないように)ダーンの体を下ろして三角を解除。普通見られない光景に場内からはどよめきと笑い声が起きた。

ガルシアは体重をかけてダーンのハーフガードを潰しに行くが、ダーンは必死に動いて距離を作るとインヴァーテッドガードからの足関節狙いを敢行する。一瞬バランスを崩したかに見えたガルシアだったが、冷静に体重をかけてこれを潰すと、次の瞬間アメリカーナへ。まるで小枝を折るが如き光景に見えたが、ダーンは一瞬でタップし、ガルシアもすぐに離すと2人は笑顔で抱き合った。

自分の倍近くの相手に挑み、果敢に攻撃を仕掛けたダーンの勇気と技術、それを正面から受け止めつつ、決して必要以上の力を使わずに勝利したガルシア。見ていてヒヤヒヤする場面もあったが、終わってみれば清々しい一戦となった。

【男子無差別級】

(C) Kenny Jewel /GrappleTv

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<決勝/10分1R>
ユーリ・シモエス(チェッキマット)
Def. 4-0
キーナン・コーネリアス(アトス)

今大会絶好調のシモエスは、初日に行われた無差別級準決勝で、元柔術世界王者ベウナウド・ファリアの必殺のハーフガードを封じて腕十字で一本勝ち。ウルトラヘビー級も制している。対するコーネリアスもウルトラヘビー級のアブラハム・マルテらを下しての決勝進出。コーネリアス自身もミディアムヘビー級を制しており、互いに2階級制覇=完全優勝を賭けての戦いとなった。

気合い十分の表情で試合開始を迎えたシモエスは、すぐに引き込み。コーネリアスが凄いスピードで背中側に回って来たのに対応して立ち上がってがっちりとダブルレッグのグリップを作り、そのままテイクダウン。見事に2点を先制した。コーネリアスもガードを立て直して回転形の攻撃を見せようとするが、シモエスは低いプレッシャーをかけながらベースをキープする。

スタンドに戻るとコーネリアスはタックルを仕掛けるが、シモエスはもろ差しを取って横に振って後ろに回る。さらにコーネリアスの背中にシモエスが飛びつくと、コーネリアスは前転してスクランブルに持ち込みに行く。するとシモエスは足を入れ替えて50/50の下を取ることに成功した。この時点でポイント2-0、アドバンも1-0でシモエスがリード。このまま50/50シーソーをキープしておけば自動的に勝ちが転がり込んでくる有利な展開だ。

やがてコーネリアスはバランスの良さを利して50/50の解除に成功するが、シモエスはパスは許さず、再び50/50に。残り3分のところで再び50/50の解除に成功したコーネリアスは、得意の横に振ってのパスからやや強引に膝を入れてのニースライド狙い。これをはじき返してシッティングしたシモエスは、そのままダブルレッグに移行、場外まで押していきアドバンテージを追加した。残り2分を切り、いよいよ後がないコーネリアスがテイクダウンを狙う。するとシモエスは再びもろ差しからバックに。今度はグラウンドに引きずり込んで2点を追加した。

残り1分。コーネリアスはスタンドに戻ると跳び付き三角。 これもシモエスは頭を抜いて脱出。さらに下から腕を入れない三角を仕掛けたコーネリアスだが、シモエスはここも極めさせず。ならばと立ち上がったコーネリアスはまたもテイクダウンへ。シモエスはがぶってフロントヘッドロックで固定。試合終了までコーネリアスの攻撃を封じて完全優勝を遂げたシモエスは、客席のサポーターに向かって雄叫びを挙げた。

これまでブシェシャやホドウフォ・ヴィエイラらの影に隠れてあまり目立たなかったシモエスが、コーネリアスを完封しての勝利というだけに価値が高い。今回の勝利で、シモエスは組み技世界最強争いの要注目選手の一人となったと過言ではないだろう。来年以降のムンジアルやADCCが、ますます楽しみなものとなるシモエスの戴冠劇だった。

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