【UFC FOX12】智将ヒューム、マット・ブラウンの強さを語る
【写真】現在はOFCの副社長としてマッチメイク、タレントリレーションズ、そして競技運営をリードする立場でもあるマット・ヒューム。MMAの全てを知り抜いた智将がマット・ブラウンの強さを語った (C)MMAPLANET
26日(土・現地時間)にカリフォルニア州サンノゼのSAPセンターで開催されるUFC on FOX12「Lawler vs Brown」。メインは事実上、挑戦者決定戦を目されるウェルター級戦=ロビー・ローラー×マイク・ブラウンだ。
3月に現王者ジョニー・ヘンドリックスとの王座決定戦では、敵地で微妙な判定ながら敗れても、不満を口にすることもなかったローラーは、5月にジェイク・エレンバーガーに完勝すると、即世界戦をアピールした。結果を伴った上での意思表示にUFC首脳は同じく5月のエリック・シウバ戦の大逆転勝利で7連勝を達成したブラウン戦をマッチアップした。
テイクダウンディフェンスとスタミナ強化で穴がなくなりつつある漢ローラーに対し、5勝6敗という負け越しから12勝6敗に記録を伸ばしたいぶし銀ブラウン。そのブラウンの連勝を支える智将マット・ヒュームに、ブラウンの強さを尋ねた。
――マットはUFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンをレスリング・ベースで打撃、柔術を使いこなし、スピードとスタミナに溢れたファイターに育てました。一方、マット・ブラウンはそのレスリングというファクターを持たず、ムエタイと柔術を主軸に戦うファイターです。タイプが違うのに、両者揃ってどのような相手とも戦えるウェルラウンダーですね。
「2人は全く違うタイプのファイターだ。マット・ブラウンは、そのタフネスさで生き残ってきた。ちょっと他には真似のできない部分ではある。彼が私の指導を受けるようなった時には、既にタフだった。だから、私はスキルを与えた。とはいっても、スキルはすぐに身につくものじゃない。今も継続中だ。練習の繰り返しでしか、スキルを身につけることはできない。今もそうやってマット・ブラウンは繰り返し練習して、スキルアップを図っている」
――つまりマット・ブラウンにはまだノビシロが残されているということですね。
「彼がこれから成長していっても、DJのようなファイターになるということじゃないよ。彼には彼の素養がある。そして、マット・ブラウンはUFCチャンピオンになれる器だ。ただし、DJとマット・ブラウンが同じようなファイターになるということは、絶対にない。共通点はメンタルが強いこと。そして、自分の体を知っている。ただ、マット・ブラウンは練習の虫だから、ケガが少なくない。そこが心配の種だ。彼は限界を超えた練習をしてしまうんだ」
――ストイックな雰囲気がマット・ブラウンからは伝わってきます。今や米国人のUFC王者はみな、フォークスタイル・レスリングの経験者です。ケイン・ヴェラスケスとクリス・ワイドマンはD-1オールアメリカン2度受賞、ジョニー・ヘンドリックスに至っては4度、ジョン・ジョーンズはジュニアカレッジのオールアメリカン、TJ・ディラショーはPac-10で4位、DJはワシントン州で高校時代に2位。コンペティションで結果を残していないUFC王者はアンソニー・ペティスぐらいなのですが、彼も高校時代にフォークスタイルを学んでいます。そんななか、マット・ブラウンのベースはボディビルディングとボクシング、そして古流柔術からMMAに転じフォークスタイルを経験していません。
「そう、マット・ブラウンはレスリングを経験したことがないんだ。でも、彼はレスリングが好きなんだよ(笑)。これまでの取材で話したことはなかったんだけど、僕と出会った時、彼は全くと言ってよいほど、格闘技の知識はなかった。その彼をマーシャルアーツの世界に誘った。マット・ブラウンは今、全ての要素で成長を見せている。MMAの戦い方が分かっている。そして、ハイレベルなレスラーをずっと見てきた。見るだけじゃなくて、一緒に練習もしてきた。レスリングのスキルも十分に成長しているよ。
【写真】多彩なガードワークもマット・ブラウンの武器だ(C)GONGKAKUTOGI
ただし、MMAを戦ううえでレスラーとして成長することに上限はない。そして、マット・ブラウンはもっと良いレスラーになる必要がある。それでもMMAを戦ううえでは、十分なレスリング・スキルを持っている。テイクダウンディフェンス、スイープは申し分ない。彼自身、そこまで自分の技術が進歩したという認識はないけどね。彼は如何に相手がテイクダウンを奪いにくいファイターになるかを学んできた。そして、相手を倒すトリックも身につけてきた。
確かにマットの上でカレッジスタイルやフリースタイルのトップレスラーと戦うと、彼は勝てないだろう。でも、打撃を使って良いならトップレスラーをテイクダウンできる(笑)。なぜ、そうなったが、彼自身が、自分はハイレベルなレスラーでないと認識していたからだよ。そしてハイレベルなレスラーになれるなんて期待もしていなかった。でも、ハイレベルなレスラーと競い合ってきたんだ。勝てなくても、トライし続けてきた。そして、自分が何をすべきかを学んだ。それが可能な気持ちを持ってきたんだ。あの精神力がある限り、彼は課題を克服しチャンピオンにもなれるよ」
■ UFC FOX12 対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
ロビー・ローラー(米国/1位)
マット・ブラウン(米国/5位)
<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・ジョンソン(米国/5位)
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国/7位)
デニス・ベルムデス(米国/12位)
<ライト級/5分3R>
ジョシュ・トムソン(米国/3位)
ボビー・グリーン(米国/13位)
<ライト級/5分3R>
ホルヘ・マスヴィダル(米国/14位)
ダロン・クルックシャンク(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
カイル・キングスベリー(米国)
パトリック・カミンズ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
エルナニ・ペルペトゥオ(ブラジル)
ティム・ミーンズ(米国)
<フェザー級/5分3R>
マイケル・デラトーレ(米国)
ブライアン・オルテガ(米国)
<ライト級/5分3R>
アクバル・アレオラ(メキシコ)
チアゴ・トラトール(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
スティーブン・サイラー(米国)
ノード・ラハット(イスラエル)
<ウェルター級/5分3R>
アンドレアス・シュタール(スウェーデン)
ジルベウト・ドゥリーニョブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
ジュリアナ・リマ(ブラジル)
イェンジェチック(ポーランド)