この星の格闘技を追いかける

【Pancrase259】山内破った佐藤将光 「また上を目指せる」

Sato vs Sannai

【写真】米国で学んだことが生き、山内に判定勝ちを収めた佐藤(C)MMAPLANET

29日(日)東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase 259。第8試合でアジア・パシフィックのプロモーションでいち早く試合経験を積んだ山内慎人と佐藤将光が対戦した。

<バンタム級/3分3R>
佐藤将光(日本)
Def.3-0: 30-27.29-28. 29-28.
山内慎人(日本)

前回大会より10角形ケージ=デカゴン&ユニファイドルールを採用したパンクラス。タイトル戦線などに直接関係しているカードではないが、2012年9月にPXC、フィリピンでの試合を経験した山内と、韓国ROAD FCに定期参戦し、この試合の前にはアメリカ修行(チームオオヤマ)も経験した佐藤の一戦に注目したい。

1R、山内が右ローと右ミドル。佐藤も左ミドルと右ローを蹴り、ケージまで押し込む。山内はクリンチアッパーとフックを返し、距離が離れるとジャブで佐藤を追いかける。佐藤も右アッパーから組みつき、山内の蹴りをキャッチしてテイクダウンへ。すぐに立ち上がった山内が構えをスイッチしながら前に出れば、佐藤は右ストレート・インローと右で攻撃を組み立てる。佐藤がケージまで山内を押し込み、山内が首相撲で迎え撃つ展開でラウンドを終えた。

2R、佐藤が左ハイキックをヒットさせ、山内が尻餅をつく。シングルレッグで組みついて何とか立ち上がった山内だが、佐藤が逆にダブルレッグでテイクダウンを奪う。立ち上がって足をさばく佐藤は、ハーフガードでトップキープしてヒジを落とす。フルガードに戻されてからも、佐藤は足を振りながらパンチを落とし、パスガードに成功。サイドポジションからボディにヒザ蹴り、山内が脇を差して身体を起こしてきても、顔を押してパンチとヒジを落とす。佐藤が2Rを明確に自分のものとした。

3R、左フックから前に出る佐藤がワンツーと右アッパー、山内の右ストレートに合わせて組みつく。距離を取った山内はパンチとテンカオ、ミドルを蹴る。これを佐藤がキャッチしてテイクダウンの攻防になると、山内がタックルからバックへ回り込み、佐藤がスイッチで切り返す。最終的に佐藤のスイッチを潰した山内がハーフガードでトップキープ。トップで試合を終えたい山内だったが、佐藤がフルガードに戻し、フックガードから立ち上がる。そのまま山内をケージに押し込むと、ダブルレッグでテイクダウンを狙い、終了のゴングを聞いた。

判定はジャッジ3名とも29-28で佐藤を支持。ケージでの経験をどう活かすかがポイントと予想された一戦は、テイクダウンの意識、トップポジションを奪われてからのリカバリーなど、チーム・オーヤマでの修行の成果の一端を見せた佐藤が勝利を引き寄せる結果に終わった。試合直後、控室で「ここで勝つのと負けるのでは全然違う。勝つことが出来てホッとした」と安堵の表情を浮かべた佐藤が何を語ったのか。試合直後の声をお届けしよう。

Double Leg――試合を終えてどんな心境ですか

【写真】2Rには打撃戦のなかから、絶妙のタイミングでダブルレッグを決めた(C)MMAPLANET

「ホッとしたのが一番ですね。今回は米国にも行って色んな人にお世話になったし、これで勝てないと…という気持ちがありました。自分はアマチュアから順調に上がってきて、壁にぶち当たって負けて、また少しずつ勝てるようになってきて…ここで勝てば変われると思っていたんで、勝ててホッとしました」

――試合前に米国で練習した理由は何だったんですか。

「タイミングですね。前々から米国で練習したいと思っていたんですけど、仕事や道場の都合でなかなか実現しなくて。でも今回はちょうどスケジュール的に時間を作ることが出来たので、成り行きと言えば成り行きなんですけど、本当に機会に恵まれました。自分は学生時代にタイでムエタイの練習をしたこともあって『米国の選手がどのくらい強いのか?』や『どんな練習をしているのか?』を知りたかったんです。今回は一週間、米国にいて技術を習得するには短いですけど、向こうの選手や練習に触れて考え方が変わって、それがものすごく財産になりました」

――米国で特に意識して練習したことはありますか。

「やっぱりヒジですね。ケージに押し込んでのヒジやグラウンドのヒジは結構練習していました。でも試合になると勝手が違って、ほとんど出せませんでした(苦笑)。これから継続して練習すればスムーズに使えるようになるかなと思います」

――試合を振り返ると、1Rは佐藤選手がプレッシャーをかけてケージへ押し込む時間が長く、2Rは左ハイキックを効かせてテイクダウン。そのままトップキープする展開でした。

「今回は遠い間合いで戦って、上下に攻撃を散らす作戦だったんです。打撃だけじゃなくてテイクダウンも織り交ぜて。でも1Rは余裕がなかったというか…テイクダウンを忘れて打撃ばかりになってしまいました。それで1Rが終わったあとのインターバル中にセコンドから『相手はアップライト気味だからテイクダウンいけるよ』と言われて思い出しました(苦笑)。そうしたら2R開始直後にハイキックを効かせて、流れでテイクダウンを取れました」

――逆に3Rは山内選手にトップを許す時間が長くなってしまいました。

「2Rでバテてしまいました。練習はちゃんと出来ていたんですけど、ちょっとコンディショニングが上手くいかなかったかもしれません。ただ1・2Rの間合いの取り方、攻撃の散らし方は米国で練習していたことだし、3Rの最後に立ち上がってテイクダウンに入れたのもアメリカ修行のおかげだと思います」

――劣勢の場面でも米国修行の経験が生きたのですね。

「今までの自分だったら、そのまま下のポジションのまま終わっていたと思うんです。でもテイクダウンは取れなかったけど、立ち上がって倒せたのは、自分の中では大きいです」

――佐藤選手にとってパンクラスのデカゴンは初めてでしたが、リングよりもケージの方がやりやすいですか。

「自分の場合はそうですね。道場は壁で囲まれているし(笑)、僕はケージの方が練習に近い動きが出せると思います」

――佐藤選手は日本ではパンクラス、韓国ではROAD FCで定期的に試合を続けています。今後もその2つプロモーションで試合をしていくことになりそうですか。

「僕自身、団体にこだわっているというのはなくて、強い選手と戦える場所でやっていきたい。だから経験を積むために色んな場所で戦いたいです。オファーをいただけて強い選手と戦えるなら、場所を選ばずに戦っていこうと思います」

――いずれにせよ今回の勝利は再浮上のきっかけになりますね。

「試合自体は良い内容じゃなかったですけど、次につながる勝利だったと思います。ここで勝つのと負けるのでは全然違うと思うんですよ。1ポイント差でもいいから勝てたことは大きいです。山内選手がパンクラスに出るようになって『すごく強い選手だな』と思っていて、自分の中では上の選手だったんですよ。今回そういう相手に勝つことが出来て自信になりました。この勝利でまた上を目指していけると思います」

■ PANCRASE259 試合結果

<第20回ネオブラッドTフェザー級準決勝/3分3R>
牛久絢太郎(日本)
Def.2R終了時 by TKO
蓮實光(日本)

<第20回ネオブラッドTバンタム級準決勝/3分3R>
井関遼(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 29-28
阪中カツヒロ(日本)

<第20回ネオブラッドTバンタム級準決勝/3分3R>
コンボイ升水(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
ライダーHIRO(日本)

<第20回ネオブラッドTスーパーフライ級準決勝/3分3R>
荻窪祐輔(日本)
Def.2-1: 30-27, 28-29, 29-28
己吏人(日本)

<第20回ネオブラッドT フライ級準決勝/3分3R>
神部建斗(日本)
Def.1R2分41秒 by 腕十字
三谷敏生(日本)

<ミドル級 K.O.P.T./5分3R>
安西信昌(日本)
Def.1R2分52秒 by TKO
川村亮(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
砂辺光久(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 30-27
井島裕彰(日本)

<フライ級/3分3R>
江泉卓哉(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 29-28
下川雄生(日本)

<バンタム級/3分3R>
佐藤将光(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 30-27
山内慎人(日本)

<ウェルター級/3分3R>
鈴木槙吾(日本)
Def.2R3分39秒 by TKO
デビッド・マーシャル(米国)

<ウェルター級/3分3R>
窪田幸生(日本)
Def.2R1分02秒 by TKO
山崎昭博(日本)

<フェザー級/3分3R>
ハルク大城(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
齊藤正臣(日本)

<バンタム級/3分3R>
合島大樹(日本)
Def.2-1: 28-29, 29-28, 29-28
CORO(日本)

<フェザー級/3分3R>
稲葉聡(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
土肥潤(日本)

<ウェルター級/3分3R>
草・MAX(日本)
Def.2-1: 28-29, 29-28, 29-28
永木健二(日本)

<ライト級/3分3R>
クリスMAN(日本)
Def.2R1分54秒 by 肩固め
ベン・ブッカン(英国)

<バンタム級/3分3R>
工藤修久(日本)
Def.2-1: 29-28, 28-29, 29-28
若菜千明(日本)

PR
PR

関連記事

Movie