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【2014WJJC】ハファ、フェザー級史上最多タイ4度目の頂点に

Rafa Mendes

【写真】貫録、決勝戦以外は全て一本勝ちでフェザー級を制したハファエル・メンデス。ポイントゲームの権化という印象は、彼の試合を模倣するファイターが一本を取れないことが原因となっていることは明らかだ(C)MMAPLANET 5月29日(木・現地時間)から1日(日・同)にかけて、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のピラミッドにて開催されたワールド柔術チャンピオンシップ。黒帯階級別レポート第3弾はフェザー級の模様をお送りしたい。 Iwasaki【写真】得意のハーフからのスイープが初戦で決った岩崎だったが、2回戦ではすぐにバックを制されて一本負けに(C)MMAPLANET 昨年優勝のアウグスト・タンキーニョ・メンデスがMMA転向のため出場しなかった同階級、ハファエル・メンデス×フーベン・シャーレス・コブリーニャの一騎打ちと目されていた。そんなフェザー級には日本から若き黒帯=岩崎正寛(カルベディエム)、塚田市太郎(ダムファイト・ジャパン)という国内最高峰の2人、日系ブラジリアンの実力者アレッシャンドリ・オガワ、チャールズ・ガスパーが出場したが、全員が初日で敗退。岩崎とガスパーは2回戦、塚田とオガワは初戦相手となっている。岩崎の初戦の相手はベテランのサンドロ・バタタ・ヒベイロ。この試合では得意のハーフガードからのスイープを2度目決めて4-2で快勝も、2回戦はシード選手のBTT所属レアンドロ・フェルナンデスにバックマウントを譲り、送り襟絞めで2分18秒一本負けを喫した。ガスパーは1回戦でカーウソン・グレイシー柔術のトロイ・アレンを腕十字で破り、幸先の良いスタートを切ったものの、2回戦の相手はビッグ2に続く強豪マリオ・ヘイスという厳しいトーナメント枠もあり、勝ち上がることはできなかった。 Cobrinha armbar【写真】コブリーニャはオールドスクールの目には柔術らしい柔術と映る、正統派柔術を今年も披露し続けた(C)MMAPLANET 二強は順調に初日をクリア、特に2試合連続送り襟締めで対戦相手を一蹴したハファ・メンデスの強さが目立った。準々決勝でメンデスは新鋭ジャンニ・グリップを寄せ付けず、1分54秒で送り襟絞めを一本勝ちすると、コブリーニャもイタイオ・シウバを腕十字で一蹴し共に準決勝を進出を決めた。準決勝、アリアンシの一員として異様に燃えるヘイスを相手にメンデスはベリンボロからバックを伺う。ヘイスも足を一本挟み、抵抗するもメンデスはそのままゴロリとトップへ、まずは2Pを先取した。ヘイスも縦回転でトップを奪取、すぐに同点に。相手を返してクリアなポジションを取るという従来のリバーサルの概念でない、不安定なトップの奪取はもう一度繰り返され、4-4で試合は4分20秒を経過する。 Rafa vs Reisと、ポイントを与えながら転がる過程のなかでメンデスは次なるポジション奪取を進めており、ここでバックに回りこむ。バックマウントを完成させたメンデスはポイント8-4から貫録の送り襟絞めで10年振りの頂点奪取を狙ったヘイスからタップを奪った。一方、イサッキ・パイヴァと対したコブリーニャも、パス、マウントを取り続け24-2という圧倒的なスコアで決勝進出を果たした。 【写真】マリオ・ヘイスにポイントを譲ってもポジション奪取を進めていたメンデス(C)MMAPLANET

01<フェザー級決勝戦/10分1R> ハファエル・メンデス(アトス) Def. 10-8 フーベン・シャーレス・コブリーニャ(アリアンシ) 試合後両者引き込みから、まずはコブリーニャが立ち上がってアドバンテージを獲得。するとメンデスはコブリーニャの裾を引き出してラッソーで巻き付け、コブリーニャの膝裏を通して握る。アブダビ・ワールドプロ大会でキーナン・コーネリアスが披露したラペルガードを、メンデスも研究して身につけているようだ。 そこからベリンボロを仕掛けたメンデスは50/50を作ることに成功。すると、この二人の試合でさんざんこの体勢を見させられている観衆からすかさずブーイングが巻き起こる。しかし、この2014年の舞台においては、メンデスがコブリーニャの裾も握っているという点が今までと異なっているともいえた(そのぶん膠着度が高まっているとも考えられるが)。 02【写真】コブリーニャがポイントを返しても、常に同点止まり。ここからラペルの絡んだ50/50を抜く攻防は、彼にとって柔術ではないのかもしれない……(C)MMAPLANET その後しばらくは50/50で上下が入れ替わるシーソー状態が繰り返され、試合は残り2分30秒の時点で8-6でメンデスがリードした状態に。ここで50/50で上を取りながら、コブリーニャに背を向けた状態を作ったメンデスが前転。マットとコブリーニャの尻との間に入り込んで頭から入り込み、両手でコブリーニャのズボンを引き下げて尻を出させながらバックへ。 そして体を捻ったコブリーニャからマウントを奪う。ここでレフェリーの場外ブレイクが入った。スタンドから再開、入ったポイントはアドバン一つがメンデスに与えられ、シーソーゲームの取って&取られてという流れを食い止め、取って&取ってという形に入ることに成功する。つまりポイント+アドバンテージで優位に立ったメンデスは、再び引き込むと回転してあっという間に50/50を完成。この後はシーソーからコブリーニャを逃がさず、最終的にお互いに2点を加えた10-8でメンデスが勝利した。 点差こそ僅差だが、50/50の上の状態から飛び込んでのベリンボロを決めたメンデスの完勝と言えよう(あいかわらず相手のパンツを下ろして尻を出させることが勝利につながる状況には閉口するが)。数年前から選手としてすでに完成の域に入ったかと思われたメンデスだが、今年に入ってパウロ・ミヤオのガードをヘッドシザースで封じ込めてパスを決めたり、恐るべきスピードで左右に変化しながらのベリンボロの仕掛けなど進化を見せつけている。そしてこのムンジアルの舞台では裾のグリップ、ベリンボロ、50/50といった体勢を融合させた新たな攻撃で宿敵コブリーニャに完勝して倒してみせた。 03【写真】シーソーゲームを遮断した50/50からのベリンボロ。ポイントは取れなくても、8-6というポイントのなかで、仕切り直し→50/50から先にポイントを取ったことでコブリーニャが同点に追いつくには、2度ゲームを作る必要が生じることとなった(C)MMAPLANET 今回決定打となった動きは、50/50=膠着誘発だという批判へのメンデスの数年越しの解答だったとも捉えることができる。ミヤオ兄弟らの台頭する新勢力と比べると、「旧」世代扱いすら受けてしまうことのあるメンデスだが、既に柔術界を引っ張るリーダーの貫録を身につけつつあるハファ・メンデスは、今回の優勝でワールド・フェザー級の頂点に4度立ったことになり、ホイラー・グレイシーとコブリーニャの持つ記録にならんだ。まだ25歳、ハファ・メンデスが彼らの記録を抜く可能性は、とてつもなく高い。 Posdium【フェザー級】 優勝   ハファエル・メンデス(アトス) 準優勝 フーベンス・シャーレス(アリアンシ) 3位   マリオ・へイス(アリアンシ) イサッキ・パイヴァ(アカデミア・サイコー)

 

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