【WEC36】2ヶ月遅れのユライア&フィリョ揃い踏み
5日(水・現地時間)、フロリダ州ハリウッド近郊セミノール・ハードロックカジノで行われるズッファのセカンドブランドのイベント、WEC(ワールド・エクストリーム・ケージファイティング)36が開催される。
【写真】ジェンス・パルヴァーにも圧勝したWEC世界フェザー級王者ユライア・フェイバー。山本KID徳郁が対戦を切望する、カリフォルニア・キッドの異名を持つファイターだ (C)MMAPLANET
本来、9月10日に行われる予定だった当大会。しかし、南フロリダをハリケーンが直撃する事態に見舞われ、会場が周辺住民の避難場所に指定されたこともあって、大会延期を余儀なくされていた。ズッファでは大会延期直後に、この11月5日開催を決定しており、アンダーカードのラインナップに変更こそ見られるが、WEC世界フェザー級王者ユライア・フェイバー、同ミドル級王者パウロ・フィリョ、日本が誇るバンタム級ファイター前田吉朗も登場する同大会が、2ヶ月遅れで見られることとなった。
グラジエイター・チャレンジ、KOTC(キング・オブ・ザ・ケージ)のベルトを巻いてきたユライアは、今やWECだけでなく、北米の顔ともいえる存在となった。その彼にとって、6度目の防衛戦の相手はマイク・ブラウン。ブラウンは、開催地に程近いココナッツクリークに本拠地を置くアメリカン・トップチーム(ATT)の所属だ。
6月のジェンス・パルヴァー戦は、地元サクラメントで乗り切ったユライアにとって、フロリダは一見アウェイの土地のように映るが、実は現地での知名度は地元在住のブラウンを上回っている。よってブラウンに地の利はないわけだが、恐るべきは、そのフィジカルだ。
フェザー級という階級にあって抜群のフィジカルの強さを誇るユライアだが、ブラウンのそれはライト級に近いものがある。柔術、ムエタイだけでなく、レスリングのコーチとしてダレル・ゴーラーを迎え入れようとするなど、ATTはよりコンプリートな体制を整えつつある。
もともとテイクダウンに強いブラウンだが、ゴーラーといえば長きにわたりBTT(ブラジリアン・トップチーム)で指導していただけに、MMAに適したテイクダウンの知識では右に出る者がいないと言われている。
柔術系&打撃系にはパーフェクト・リザルトを残すユライアにとって、フィジカル+テイクダウンが強いファイターとの対戦で思い出されるのが、唯一の敗北を喫したタイソン・グリフィン戦。ジェフ・カーラン、そしてパルヴァー戦と盤石の強さを見せつけてきたユライアだが、ブラウン戦で思わぬ苦戦を強いられる可能性もある。
メインに登場するユライアが、順調に王座防衛を果たしているのとは対照的に、セミに登場するパウロ・フィリョは昨年8月にWEC世界ミドル級王座を獲得したものの、PRIDEで見せた強さは影を潜めたままだ。
今回の挑戦者チェール・ソネンとは、昨年12月の初防衛戦で拳を交えているが、この試合がキャリア始まって以来の大苦戦となった。バックを奪われ、力任せに後方に引き倒されると頭部を強打。パウンドでTKO負け寸前に追い込まれながらも、なんとか腕十字で逆転勝利を奪った。が、このフィニッシュがソネン側から「タップかと聞かれたので、ノーと返答したらストップされた」という抗議があり、論争の的となった灰色決着。
裁定こそ覆らなかったが、WECでは今年3月に両者の再戦を命じ事実上の決着戦を王者に要求。しかし、この試合をフィリョはキャンセル、その理由がうつ病だったことで大きな話題となった。
その後、病状は回復に向かい、精神的に何の問題もないとされているフィリョは、万全のコンディションで9月の防衛戦に挑むも、フロリダ入りした直後に大会延期となり、これが11ヵ月ぶりのファイト。試合勘、オクタゴンへの順応性――。不安要素が決して少なくないフィリョの王座初防衛戦となる。