【Road to UFC S05 SF】内田タケルが語っていたこと――減量&バルヤット戦のコンディションについて
【写真】フライ級リミット+1ポンドを大きくオーバーしていた内田。何があったのか……(C)Zuffa/UFC
28日(金・現地時間)に中華人民共和国は上海の浦東発展銀行上海東方体育中心(プートン・ファジャン・インハン・シャンハイ・ドンファン・タイユィ・ジョンシン)で開催されるRoad to UFC Season05 Semi Finals。フライ級トーナメント準決勝では内田タケルが、中国のチーニョーシーユエと対戦する――予定であった。しかし内田が前日計量をクリアできず、試合はキャンセルとなっている。
Text by Shojiro Kameike
内田は今年2月にLemino修斗のバンタム級サバイバーTリバイバル2026準々決勝で青井心二と戦った。約2年半ぶりのMMAで勝利したあと、RTUフライ級トーナメント出場が発表される。そして5月の初戦、フィリピンのエロス・バルヤットをRNCで下す。
今回のインタビューは8月19日に行われたものだ。この時、内田はバルヤット戦に向けた減量と計量直後のコンディションについて語っている。あくまで体重オーバーという報を受けた今の結果論ではあるが、今にして思えばバルヤット戦の時から予兆はあったのかもしれない。
今後、内田がフライ級で戦っていくのか。あるいは改めてバンタム級に転向するのかは、今のところ分からない。それはいずれ彼自身の口から明らかになるだろう。とはいえ内田がRTUに懸けていた想いは間違いなく強かった。ここでは、内田が試合前に語っていたバルヤット戦、そしてチーニョーシーユエ戦に関する内容を伝えたい。
――RTUトーナメント初戦でバルバヤットに勝利して準決勝進出を決めた内田選手ですが……バルバヤット戦では減量で16キロも落としたそうですね。
「はい、そうなんです(苦笑)」
――過去の試合も、それだけ落として臨んでいたのですか。
「普段は12~13キロぐらいですね。今年は2月にバンタム級で戦って、試合後の戻り幅が大きかったんです。その状態からフライ級リミットまで落としたのが16キロでした」
――2月にLemino修斗バンタム級サバイバートーナメントで戦う前に、既にRTUのフライ級トーナメント出場の話があったそうですね。
「あの時点では『久々の試合なので、まずはバンタム級で試合をしてみてから、フライ級で戦えるかどうか考える』という話になっていました。自分としては、復帰後はフライ級ではやらないという気持ちもあって……」
――それは2年以上MMAから離れている間に、体が大きくなっていたのでしょうか。
「それもあります。とにかくRTUに出ることを決める前まで『バンタム級で戦っていこうか、どうしようか』と考えていて。ただ、2年前までフライ級で戦っていた時、試合当日は64キロか65キロぐらいでした。それがLemino修斗の時は当日69キロぐらいあったので、『もしかしたらバンタム級で戦うのは厳しいかな』と思ったんです」
――試合当日に69キロというのは、体が重く感じられましたか。
「正直、重かったです(苦笑)。今も練習していて、やっぱり64~65キロが凄く良い動きができると感じています。それがバンタム級になると、64~65キロではリミットから3~4キロしか戻せないですよね。そうなると相手とぶつかった時にフィジカル差が生まれる場合も出て来る。フライ級だと、その点でハマッている感があります」
――前回は計量時の写真を見ると、目のくぼみなど減量の苦しさやコンディション面が気になるほどでした。
「水抜き後も計量後も、特に問題はなかったです。いつもと大して変わらない感じで。それよりも試合前日の夜に食中毒を発症してしまって、試合当日はコンディションが悪かったです(苦笑)」
――食中毒!?
「何を食べたことで、そうなったのか分からないですけど、夜中に上からも下からも戻してしまうような状態になりました。計量後にリカバリーして、寝る前には7~8キロは戻っていたと思います。それは試合前に大会会場で、どれだけ戻っているか測った時は、4~5キロぐらいしか戻っていなくて」
――単純計算で3キロほど排泄してしまっていた、と。RTUでは現地で、減量食などが主催者から配られますよね。それが食中毒の原因になるとは考えにくいですが……。
「はい、それはないと思うんです。分は慎重に考えていたつもりでしたけど、水とか飲み物などスーパーで買ったものが悪かったのか」
――夜が明けて試合当日、ドクターストップが掛かるような状態にはならなかったのですか。
「動けていましたし、大丈夫でしたね。とにかく試合中に出てしまわないかどうかが心配でした」
――あ、あぁ……。
「朝ごはんを食べたあともドバーッと出ていたので、『もう試合前に全部出し切っちゃおう』と。会場で出し切ろうとした時は、もう出るのは水だけになっていました。最初は食中毒ではなく単なる体調不良だと思っていて。『やっぱりフライ級は合わないのかな』とか考えたりしていたんです」
――それほどの状態でも冷静ですね。UFCと契約するためのトーナメント初戦を控えた前日に、不安にはならなかったのですか。
「そうですね、全然」
――減量のために体の免疫が弱くなっていた面はあるでしょう。鶴屋浩代表をはじめ、セコンド陣は心配していませんでしたか。
「他の人に言っちゃうと、そういう不安の空気感になってしまうような気がして――セコンド陣には試合後に伝えました。皆、『えぇっ!?』という反応でしたね」
――それはそうですよ。チームからすれば「先に言えよ」という話で。
「はい(苦笑)」
――もともと内田選手は速攻で極めるタイプです。バルバヤット戦も、体調不良のために早く極めたわけではないですよね。
「別にそういうわけではないです。そういう状況下であろうが、5分3R戦うつもりでやっていました。ただ、それでも早く試合が終わったのはラッキーでした。試合後も体調が悪くなったりして、帰国してから1週間後に入院することになって」
――回復して良かったです。バルヤット戦についてはテイクダウンからパス、バックを奪取してRNCを極めるというのは理想的な展開でしたか。
「いつも練習の時は、もっと綺麗にサイドを取れるんです。でも前回の試合は相手も足を利かせてきていて、自分としてはもうちょっと細かい部分があったかなと思っています。バルバヤットもクローズドとか際の部分が強い選手で、早く自分が安定したポジションにつきたいという気持ちはありましたね」
――帰国後に1週間ほど入院したあと、それだけの期間でも筋肉やバイオリズムの面で変化はなかったですか。
「退院してから練習に復帰して、1週間ぐらいは『筋肉が落ちているな』とは感じました。でも1週間ぐらいでそれも戻りましたし、入院している間もグラップリングの映像とかを見て、いろんなことを発見できたんです。試合映像を視ながらボーっと『自分ならどうするかな』と考えるぐらいで、そんなに細かく何か見つけたわけではないですけど……結果的には良い休養期間になったのかなって思います」
――そういった時間を過ごすのも重要かと思います。ただ、映像を視ていたのはMMAではなくグラップリングなのですね。
「う~ん、考え方というか――やっぱりMMAの試合ばかり視ていたりすると、その時その時のトレンドに凝り固まっちゃう感じがするんです。でもグラップリングや柔術など別の競技の映像を視ると、『こういうのがあるんだ』と良い刺激になりますね」
――なるほど。トーナメント準決勝で対戦するチーニョーシーユエは、鶴屋怜選手が2024年のRTU決勝で対戦して勝利しています。その鶴屋選手が同じチームにいるというのは、内田選手にとって大きいのではないですか。
「いや、まぁ、そんなに……別にないですね」
――えっ。何かアドバイスを貰ったりはしない、と?
「いえ、特に。アハハハ。もちろんチーニョーシーユエについて話はしますけど、自分が大事にしているのは『初めて試合映像を視た時に自分がどう思うか』で。そこから練習して、試合映像を視ながら『ここは違うかな、ここは合っているかな』と調整していくんです」
――では、そのなかで感じたチーニョーシーユエを教えてください。
「小田選手との試合を視ていて『こういう試合でこぼさず勝てるのは強いな』と思いました。小田選手のパンチをもらっても倒れたりしない、印象の悪いリアクションをしない。結果として相手に食われない、一本を取られないことが一番の武器ですよね」
――チーニョーシーユエは小田戦で幾度もバックを奪われていました。しかしフィニッシュさせないディフェンス力がある。バック奪取を得意とする内田選手は、その点についてどう考えていますか。
「バック奪取については相手も警戒してくるでしょうね。やりづらい相手ではあるけど、別に相性は悪くないかなと思っています。自分としては一本で極めることも、5分3R戦うことも――全部の展開があるだろうと思って練習しています」
――最後にもう一つのフライ級準決勝、鈴木崇矢×ジョセフ・ラルシネーゼの試合はどちらが上がって来るか予想を聞かせてください。
「鈴木選手だと思います。ラルシネーゼも強いけど、前回の試合で全部見せてしまった感はありますよね。対して鈴木選手はまだ見せていない部分を残しているような……。できるなら決勝は日本人同士で戦いたいですね。僕もあと2試合、どんな形になるか分かりませんが、必ず極めます!」
■視聴方法(予定)
8月28日(金・日本時間)
午後6時00分~UFC FIGHT PASS
午後5時45分~U-NEXT
■Road to UFC Season05 Semi Finals 計量結果

<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ:56.93キロ
内田タケル:58.28キロ
※内田が計量をクリアできなかったため、試合はキャンセルに。チーニョーシーユエがトーナメント決勝に進出
(C)Zuffa/UFC



























