【Road to UFC S05 SF】鈴木崇矢と対戦、ジョセフ・ラルシネーゼ「僕の戦い方は技術のある喧嘩ファイト」
【写真】前日計量もクリア。メンタルと同様、肉体もしっかりと仕上がっているようだ(C)Zuffa/UFC
28日(金・現地時間)に中華人民共和国は上海の浦東発展銀行上海東方体育中心(プートン・ファジャン・インハン・シャンハイ・ドンファン・タイユィ・ジョンシン)で開催されるRoad to UFC Season05 Semi Finals。そのフライ級トーナメント準決勝で、ジョセフ・ラルシネーゼが鈴木崇矢と戦う。
Text by Manabu Takashima
準々決勝の亮我戦前のインタビューで、ファイトIQの高さを十二分に感じさせたアルシネーゼが、試合で見せたのは絶対に屈しないダイハード・ファイトだった。
今回は鈴木崇矢を相当に意識しているのか、アルシネーゼから強気と否定という感情が伝わってきた。と同時に変わらぬファイトのIQの高さは熟成された人間性が感じられた。
ヤツの冷静さと、技術を僕の喧嘩ファイトが打ち破る
――今もまだシドニーですか(※取材は20日に行われた)。
「そうだよ。土曜日、2日後に上海に向かうんだ。9時間のロングフライトだよ。まぁ米国やヨーロッパに行くことを考えると、そうでもないんだろうけど。でも、まぁ長いよ(笑)。しかも、2度も乗り換えが必要で。帰国する時は直行便だから、逆の方が良かった(笑)」
――今、シドニーは真冬ですね。時差は少なくても、気候は真逆。それがオーストララジアン・ファイターにとって、Road to UFCではディスアドバンテージになるかと思います。
「寒いところから、暑いところに行く方が良いよ。高地トレで、雪が降るなかトレーニングするより、暖かいところの方が全然良いからね」
――つまりは、そういうキャンプをしてきたということですね。
「人生で一番きついファイトキャンプだった。だから、もうファイトの準備はできているよ」
――前回の試合前にジョセフは、「どの距離でも戦うことができて、いつでもアングルを見つけることができる」と言っていたことが凄く印象に残っています。想ったような試合を亮我選手を相手にできましたか。
「リョーガはタンク、そしてウォリアーだった。でも、僕としては思い通りの試合はできたと思う。彼は僕の距離と角度を潰して、ガチャな試合をしようとしてきた。でも、そうはさせなかったからね。彼がそういう風に動いても、僕は何も失うモノはなかった。
あの試合も15分間動き続けることができるように、しっかりと鍛え上げていた。その成果があって、常に圧を掛けることができたよ。そのうえでリョーガとの試合で学ぶべきこともあった。あの試合で分かったことを、今回の試合に生かそうと思う」
――その生かす試合が迫ってきました。準々決勝を終えて、鈴木崇矢選手を本命に推す声が大きくなっています。その辺り、どのように捉えていますか。
「距離を取ったファイトのなかで、スズキはよりスピードがあった。トーナメントで一番速い男の1人だろう。技術があって、位置取りも良い。何よりテクニカルな試合をしようとしているように見受けられた。あの試合で、彼の強みが分かったけど、その強みが逆効果になるのもMMAだ。
スピードは僕も負けていない。僕の戦い方は、技術のある喧嘩ファイトだ。ヤツの冷静さと、技術を僕の喧嘩ファイトが打ち破る。凄く印象に残るファイトをやっていたけど、僕の方が優れている。彼が本命なのは構わない。ここで勝って、トーナメントに向けて僕が大本命になるだけだから」
――鈴木選手の戦い方は、綺麗過ぎるということですか。
「そうだね。綺麗過ぎる。MMAはタッチ競技じゃない。どれだけ打ち込むかだ。空手やテコンドーじゃないんだよ。スズキの戦い方は、少し綺麗すぎる。僕のファイトに持ち込んで、彼の良さを消して戦うよ。いつも距離を取って、逃げながら蹴っているけど。そんな攻めは通じない。
MMAとして、僕の方が全然上だ。打撃でも、グラウンドでも、壁際でも。彼が得意としているキックも、僕の方が上だよ。この試合では、そこを見せようと思う」
いくら技術や肉体が世界のトップでも、メンタル面が整っていないとトップにはなれない
――MMAはやるべきことが多く、取捨選択も多い。加えて当日の心身のコンディションも相当にファイトに影響を及ぼすかと思います。そのような戦いのなかで鈴木選手に勝つために最も重要な要素は何だと考えていますか。
「良い質問だね。もう、これはメンタル以外にない。いくら技術や肉体が世界のトップでも、メンタル面が整っていないとトップにはなれない。スキルやフィジカルよりも、気持ちが大切だ。試合を戦う上で肉体や技術が100パーセントでなくても、メンタルだけは万全でいないといけない。
どれだけ位置取りで苦戦し、寝技でポジションを奪われても……ハイキックを蹴られ、腹を抉られても絶対に下がらない。だからといって、バックステップを使えないということじゃないよ。
気持ちは全面に出すこと。でも、動きは前後左右に動かないと。気持ちを強く持っていても、スマートに戦う。自分の持っている技術を最大に生かせるように。そうしようと思えば、僕はタカヤ・スズキと同じ戦い方もできるよ」
――凄く興味深いです。では、別の山のチーニョーシーユエと内田タケル選手の試合の行方は、どのようになると予想していますか。
「正直、この試合の先のことなので、それほどしっかりと考えているわけじゃないけど、中国人ファイターは経験豊かでどの局面でも戦うことができる。対して、日本の選手はそこまで経験がないから、それがどういう風に影響を与えるかだね。上手く戦えなかったり、想定外のことが起こったりした時に、いかにペースを乱さずに戦うことができるか。そういう部分で、中国人選手の方が日本人ファイターより上回っているかもしれない。どっちの名前も覚えていないけど」
――英語圏の選手は中国人も日本の名前も、凄く発音しにくいと思いますし。
「そうなんだよ、名前が覚えられない(笑)。いずれにせよ、日本の選手は柔術が凄く強いようだけど、MMAでは柔術をさせない戦い方はいくらでもある。中国の選手は試合経験が多いから、それができるのではないかと思っている。ただ、どっちも大差ない相手だけどね。
中国人はオーソドックスだから、やれることが増えてキャンプが楽しくなるかな。今回の試合はサウスポー対策で、退屈だったから。とにかく、どっちが決勝に来ても構わない」
僕には23歳の弟がいて。その弟が、僕よりずっと人間ができているんだよ(笑)
――なるほどです。ところでRoad to UFCはトーナメント制で勝敗が全て。コンテンダーシリーズのようにファンが喜ぶ試合をする必要性が絶対というわけではないです。ファンに受けなくても、勝てばファイナル進出が決まります。そういう状況は、試合に影響を与えると思っていますか。
「それは関係ない。コンテンダーシリーズだから、絶対にKOしないといけないとか、Road to UFCだから勝てば良いとか。そういうことを意識し過ぎるのは、良くない。重要なのは、自分の戦いをすること。これまで通り、戦うことだよ。そして僕は常にアグレッシブでエンターテイメントな試合をしてきた。だから、皆が僕の試合を欲する。
UFCがどのような試合を望むか。コンテンダーシリーズだから戦い方を変えることもないし、Road to UFCだからって確実に勝つように戦うとかはない。自分の戦いをするだけで、試合形式が関係して、特別なことをしようとは思っていない」
――いやぁ、なんだか40代や50代の落ち着いた人のような言葉ですね。
「僕には23歳の弟がいて。その弟が、僕よりずっと人間ができているんだよ(笑)。4歳も下なのに、100パーセント・マチュアだ。だから、僕なんてまだまだだけどね。でも、ファイトに関しては、今も言ったように自分という型がもうあるわけで。その軸をずらしても良いことはないと思っている」
――金曜日の鈴木崇矢選手との試合、どのような駆け引きが見られるか楽しみにしています。
「この試合で、僕は自分の全てを出し切って戦う。実はファンに何かを見せたいということよりも、自分のために戦うつもりだ。前回の試合は、全然ベストな僕ではなかった。だから、あんなもんじゃないと今回の試合で証明する。それこそが、この試合を戦う上で一番拘っていることなんだ」
――今回も凄く興味深い話をありがとうございました。では最後に日本のファンに一言お願いできますか。
「今回の試合、日本の皆が僕の相手の応援することは分かっている。当たり前のことだから。試合は試合。僕はいつも、日本のファンのことをリスペクトしているよ」
■視聴方法(予定)
8月28日(金・日本時間)
午後6時00分~UFC FIGHT PASS
午後5時45分~U-NEXT
■Road to UFC Season05 Semi Final 計量結果

<Road to UFCフライ級準決勝/5分3R>
チーニョーシーユエ:56.93キロ
内田タケル:58.28キロ
※内田が計量をクリアできなかったため、試合はキャンセルに。チーニョーシーユエがトーナメント決勝に進出
(C)Zuffa/UFC



























