【UFC125】エドガーがドロー防衛、メイナードは納得できず
■第11試合 UFC世界ライト級選手権試合/5分5R
[王者]フランク・エドガー(米国)
Draw.5R終了/引き分け
[挑戦者]グレイ・メイナード(米国)
左へ回りながら、まずはローを打ち込んだチャンピオン・エドガーは、距離を詰めて、非常にスピードの乗ったワンツーを見せる。受け止めるように拳を返すメイナードだったが、エドガーは既に距離を取り直している。
それでも前に出るところにパンチを合わせるメイナード。左がヒットし、尻もちをついたエドガーを追いかけて、メイナードは右をヒットさせる。棒立ちのエドガーにダーティーボクシングからアッパーを連打。グラウンドに崩れ落ちながら、ケージに向かって立ち上がるチャンピオンをメイナードのパンチが襲い続ける。
打ち疲れを恐れてか、メイナードがペースを落すと、エドガーは組みついてリカバリーへ。再び打撃戦の間合いになると、鼻血を流すエドガーにメイナードの左、そして右がテンプルを打ち抜く。さらに右を一発打ち込んだメイナードに対し、シングルを見せて息を整えたエドガーは再びスタンドへ。恐るべきタフネスぶりを見せるエドガーは、そのままバックステップから前に出てワンツーを習性のように見せる。
前に出で左ボディからニーを蹴り上げたメイナード。ラウンド終了のホーンがなると、圧倒的に攻め続けたメイナードが呆れたような表情を浮かべた。
2R、切れのある左ミドルを放つエドガー、初回にパニッシュメントを受けたことがウソのような動きを見せ、ローから右を打ち込む。組みつこうとしたメイナードに対し、スクッと距離を取るエドガーは、右へ左へ回りながら、前に出てジャブを放つ。
メイナードの右ボディを受けてなお、動き続けるエドガー。メイナードも初回の猛攻を忘れ、慎重な姿勢を取らざるを得なくなる。と、メイナードの左にエドガーの右がクロスがヒットする。続いてメイナードのテイクダウン狙いを簡単に切ったエドガーは、信じられないリカバリー振りを見せている。
素早い左ジャブで翻弄するエドガーは、前に出てきたメイナードから完全なタイミングでダブルレッグを決める。腰をずらし、立ち上がったメイナードだが、1Rの猛攻がまるでなかったかのように王者がペースを握る。鋭い踏み込みから右を伸ばしたエドガー。メイナードは再びテイクダウン狙いを切られると、またも右を受ける。完全に盛り返したエドガーは2Rを終え、メイナード陣営は「KOはいらない。組み立て直せ」と指示を送った。
3R、初回のように入ってくるところにパンチを合わせたいメイナードだが、スピードが増したエドガーをなかなか捉えることができない。と、左ボディから右ローと引き出しの多さを見せる王者が、軽快に左へ回りながらパンチを繰り出す。
中央で構えるメイナードも、無理に追いかけることなく左を繰り出す。出てくる瞬間、パンチを見せるメイナードに対し、その前に出てくることころで、すぐにステップバックを見せるエドガーは、ここでもメイナードのシングルを切る。
互いに一呼吸置いたような3Rも、残り2分を切り、王者が左ミドルを見せる。一瞬、バランスを崩したエドガーだが、メイナードのシングルは食わない。エドガーの左に、右を合わせたメイナードは、ボディから右を決める。さらにアッパー、左フックを決めたメイナード。エドガーが再び、鼻血を滴らせる。
踏み込んで蹴りを見せたエドガー。メイナードがここで腰をコントロールし、テイクダウン。尻もちをついたエドガーは背中をあずけてアームロックを見せるが、メイナードがクリーンテイクダウンを決める。
腕を固めた状態のままのエドガーに対し、パスから腕関節を仕掛けようとするメイナード。腕を解いたエドガーが、ギロチンを見せたところで3Rが終了、挑戦者が再び取り直した。
4R序盤、素早いジャブを交錯するなか、エドガーがシングルレッグを見せ、立ち上がろうとしたメイナードをギロチンで捕える。
距離を取り直したエドガーは、ここで完全なタイミングでテイクダウンを奪う。バックに回り込もうとしたエドガーだが、メイナードは胸を合わせる。距離を取った両者、エドガーのスピードが、やや動きの落ちたメイナードを翻弄する。テイクダウン狙いをバービーで防いだエドガーが立ち上がったところに、メイナードはパンチを見せるなど、死力を尽くした総力戦が続く。
オクタゴン中央で、ヒザを見せたエドガーは、再び組みついてバックを制した状態で、ケージとの間で身動きのとれない挑戦者の顔面にパンチを打ち込む。再び距離を取った両者、残り1分を切り、エドガーがシングルを仕掛けたが、これはメイナードがディフェンスする。ダッキングでエドガーのパンチをかわし、そのままオーバーフックを見せる挑戦者。理合いの取り合いのような4R終盤を終え、試合は最終回へ。
1Rと3Rを挑戦者、2Rと4Rを王者が取ったとみるのが妥当な一戦。初回はメイナードが2P 取った可能性もあるが、とにかくこの5Rを取った者が勝者に近づくことは間違いない。ミドルを見せたエドガーに、左フックを振るうメイナード。小刻みなステップを続ける王者だが、メイナードもまた、体を上下させて動きを止めない。
エドガーの左フック、メイナードの右ボディフックが交錯し、さらに挑戦者の左がヒットする。テイクダウン狙いのメイナードを受け止め、ヒザを見せたエドガー。そのエドガーのテイクダウン狙いをがぶり、メイナードがヒザを放つ。粛々と進む、勝負の5ラウンド。テイクダウンを許さないことを第一に考えたような打撃戦が続く。
残り2分を切って、シングルを見せたメイナード。足を引いて防いだエドガー。ショートのワンツーを放つ王者に対し、メイナードが右を伸ばし、さらにもう一発打ち込むと、王者がややバランスを崩す。パンチとテイクダウンの応酬となり、残り20秒のテイクダウン狙いを切られたメイナードが、残り5秒でフックをヒットさせると、ここでタイムアップに。
ラウンドマストではなく、トータルで考えると間違いなくメイナードだが、果たして悪名高きネバダ州アスレチックコミッションのジャッジ陣の裁定は?
最初のジャッジは48-46でメイナードに。二人目のジャッジは48-46でエドガー。そして、3人目は47-47でドロー。よって、王者エドガーのドロー防衛となる。
「接戦だった」と、1Rの展開はあまり覚えていないような王者。対してメイナードは「2Rは、それほど攻めてなかったけど、1、3、5Rは僕が取ったと思った。1Rは10-8だろうし……」と納得できない表情を浮かべると、「ア・○ァッキン・ニューイヤー」という言葉を残し、オクタゴンを後にした。