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【RIZIN OTOKOMATSURI】堀口恭司後のフライ級。”おいマコト”戦へ、伊藤裕樹「背負えるのは俺しか」

【写真】戦うほどに、話すほどにスマートさが伝わってくる(C)TAKUMI NAKAMURA

5月4日(日)に東京ドームで開催されるRIZIN男祭りにて、伊藤裕樹が神龍誠と対戦する。
text by Takumi Nakamura

3月30日のRIZIN香川大会ではトニー・ララミーの突進ファイトを見事なステップワークと打撃でのカウンターで翻弄して判定勝利した伊藤。これで2023年7月のヒロヤ戦から続く連勝は「5」となり、神龍戦を実現させた。

堀口恭司のUFC参戦により、絶対的な存在と王座が空位になったRIZINフライ級。7月からスタートするGPに向けて、誰がフライ級の中心に立つのか。伊藤にとって神龍との一戦は重要な意味を持つ戦いになる。


──RIZIN男祭りでの神龍誠戦が決まりました。東京ドームシティでの発表会見でも集まったファンから大きな声援もが上がっていましたが、伊藤選手の周囲はいかがでしたか。

「RIZIN香川大会でトニー・ララミーに勝って、自分としても7月に照準を合わせていたので、周りもビックリしていましたね」

――ララミー戦でのダメージはなかったですか。

「1~2日休めば治るぐらいのものだったので、そこは問題なかったです。ただ試合まで一カ月しかなくてフライ級まで体重を落とすのが厳しかったので、そこだけは調整させてもらいました」

──会見でも体重について神龍選手と言い合う場面もありました。

「そもそも次の試合は7月のつもりでいて、急遽のオファーだったから59キロでお願いしただけで。というかお前が俺に喧嘩売ってきたんだから、ごちゃごちゃ言わないでやれよって感じですね」

――準備期間は短いですが、ララミー戦後はどのような練習を続けているのですか。

「ララミー戦で体を仕上げていたんで、試合後に戻った体重を落とすだけですね。ララミー戦からずっと調子はいいし、動きもキレているので特別新しいことをやるというのはないです。むしろ短い間隔で試合が続くので、動きはどんどん上がっています」

──伊藤選手は現在5連勝中ですが、昨年11月のイ・ジョンヒョン戦からものすごくパフォーマンスがよくなった印象があります。何か変えたことや新しく取り入れたことがあったのですか。

「特別変わったことはしてないですね。ずっと練習で積み重ねてきたことがやっと試合にアジャストしてきたというか。ジョンヒョン戦は名古屋大会だったので、地元でいいところを見せてやろうと思って、いつも以上に気合いが入っていたんで、それがいいパフォーマンスにつながったんだと思います」

──2023年はスプリット判定での勝利が続いていたので、より明確に差をつけて勝てるようになりましたよね。

「多分パチンコに行く回数が増えたんで、そのおかげで打撃の当て勘が良くなったんだと思います(笑)」

──そこにつながってくるわけですね(笑)。ララミー戦は1Rにフラッシュダウン気味の一発をもらっただけで、そのあとは完全にララミーの打撃を見切っていた印象です。

「最初は1発もらうと怖いなと思っていて、実際に1発もらっちゃったんですけど(苦笑)、逆にあれでララミーが打撃でいけると思って打撃勝負にきてくれたんですよ。あれが自分的にはやりやすかったですね。ララミーはパワーはある感じでしたけど、打撃のコンビネーションそのものは単調だったので、ちゃんと距離を外せばデカいのはもらわないなと思ったし、段々と体も動いてきたんで2R以降は完全に打撃で勝てると思いました」

――ララミー戦では伊藤選手の打撃のバリエーションの多さにも驚きました。

「ララミーの昔の映像を見ても、あの圧力に対して下がってカウンター狙いになると相手に絶対に飲み込まれるなと思ったんです。だから常に自分からアクションは起こしていこうという気持ちで戦いました。それがハマって色んな打撃を当てられたんですけど、ララミーが頑丈すぎましたね(苦笑)。今回はテンカオの練習をしていて、結構ベストタイミングでテンカオが当たっていたんですよ。同じ階級だったら倒れているくらいの入り方だったんですけど、それでも前に出てきたんで2階級上くらいの身体の強さでしたね」

──ちなみに伊藤選手は打撃専門のジムやトレーナーさんに練習を見てもらっているのですか。

「いえ、今はボクシングのトレーナーはいなくて、ずっと自分のジムで練習しています。自分で動画を見て研究しながら練習するみたいな感じです」

──まず自分の頭の中でイメージして、それを練習を重ねて身につけていく感じなんですね。

「はい。でもみんなそうじゃないですか?」

──例えば打撃を伸ばしたかったら専門のジムやトレーナーに一から教わることを選ぶ選手もいると思います。

「なんか僕の場合は人からやれと言われると、自分のスタイルに落とし込めなかったり、自分の技術に上手く取り込めないんですよね。それよりも自分で『この技いいな!』と思う技を練習したり、技のタイミングを考える方がしっくりきますね。それで行き詰まったら、人に『こういう時はどうすればいいですか?』と質問して、それを取り込んでいく感じです。それこそララミー戦の時はずっと(朝倉)海くんとフアン・アルチュレタの試合を見て、海くんのヒザ蹴りを意識していました」

──今回は神龍選手との試合ですが、神龍選手の印象は?

「フライ級だったら日本のトップ1・2ぐらいの選手で、全体的な総合力が高い印象です」

――その上で、イメージする試合展開はありますか。

「参考にするんだったら、大晦日のホセ・トーレス戦ですかね。あの感じをイメージしながら自分も戦おうかなと思います。ララミーに勝って自信もついたんで、次もいい具合にいけると思います」

──このタイミングで神龍選手と戦うというのは伊藤選手にとって大きな転機になると思います。いい流れが出来ていると感じる部分はありますか。

「めっちゃいい流れっすね。(ララミー戦後に)マイクで東京ドームのことをも言わなかったら、このチャンスもなかったと思うし、ここまで自分の拳でチャンスを掴んできた感覚があるんで、いいイメージのまま倒しに行きたいです。もちろんいいイメージだけじゃなくて、自分が最悪の展開になることも頭に入れながらやっているので、どんな試合になっても対応できると思います」

――神龍選手に勝てば、日本のフライ級トップの証明になると思いますし、ララミーと神龍選手に連勝となればvs世界というチャンスにも繋がると思います。

「自分はRIZINのベルトを獲りたいし、チャンスがあるなら海くんみたいにUFCにもチャレンジしたい。やるからには世界一になりたいので、自分の行けるところまで挑戦したいです」

──7月からはRIZINフライ級GPもスタートします。

「今年はたくさん試合してたくさん稼いでたくさんパチンコします! 勝って勝って勝ちまくりたいですね(笑)」

──やはりパチンコは外せないのですね(笑)。今日初めて伊藤選手を取材させてもらいましたが、すごく色々なことを考えて格闘技に取り組んでいますよね。

「そうですね。やっぱり格闘技も考えないと勝てないんで」

──ちなみにパチンコやギャンブルをやることで勝負勘や試合の流れを読む力は身につくものですか。

「はい。僕はギャンブルのおかげでファイトIQが高くなったと思っています。基本的にみんな格闘技もギャンブルも行くときは行く、引くときは引く、じゃないですか。でも僕は行くときは行くし、引くときも行くんですよ。勝負事は逃げたら終わりなんで、常に攻めの姿勢を忘れないようにしています」

──また伊藤選手は会見のコメントを見ていても、機転が利くしアドリブも上手いですよね。

「ありがとうございます。神龍×扇久保の時に、扇久保さんに完全に言いくるめられていたのが本当に笑えたんで、俺もアイツを言いくるめてやろうと思って、扇久保さんのコメントを覚えてから会見に出ました(笑)」

――今回東京ドームという大舞台で、色んな注目カードが組まれていますが、伊藤選手は自分のどんなところをアピールしたいですか。

「大会名も“男祭り”なんで、ド派手な試合をして、フライ級でもこんなにインパクトを残せるんだぞという戦いを見せたいですね。堀口(恭司)さんがUFCに行って、RIZINのフライ級を背負えるのは俺しかいないでしょって気持ちなんで、それを口だけじゃなくて実力でも証明して、みんなに応援されるようなフライ級のエースになりたいです」


■視聴方法(予定)
5月4日(日)
午11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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