【RIZIN DECADE】鈴木千裕、クレベル戦へ―01―「PRIDEを思い出す。そういう絵面になってきた」
【写真】結果を残すことで、説得力が増してくる(C)MMAPLANET
31日(火)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN DECADEの第2部=RIZIN49のメインでRIZINフェザー級チャンピオン鈴木千裕が、クレベル・コイケの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima
4月に金原正徳の挑戦を受け、完勝。しかしながらKNOCK OUTの五味隆典戦で拳を負傷し、超RIZINにおけるマニー・パッキャオ戦を欠場した。結果的にMMAの防衛戦を2試合戦うことになった2024年を振り返ってもらい、この間の中央アジア勢の台頭とキックボクシングからの転身組の躍進について鈴木に尋ねた。
全てにポジティブ、ファイト同様に勢いがある言葉が続く鈴木だが、常に筋の取った格闘技観がその裏に存在している。
中途半端なヤツは生き残れない……一部ありますけど
──昨年RIZINフェザー級チャンピオンになった後のインタビューで、「ジムを広げたい」と千裕選手が発言していたのですが……その言葉通り拡張されKNOCK OUT TRAINING CAMP吉祥寺が誕生しました。いやあ、広いスペースで。ここが出来上がったのは、やはり千裕選手の活躍の成果ということなのでしょうか。
「これは半分ぐらい、僕の力ですかね(笑)。もともとコンビニだったのですが、キックのチャンピオンになってMMAに再挑戦し始めたぐらいのときに『隣のコンビニ、なくならないッスかね。あそこを買い取って練習場にすれば、半端なくないですか?』って(山口元気)会長に言っていたんですよ。
会長は『何言ってんだ。なくなるわけないだろっ』って。そうしたら排水の関係で使えなくなって、近くに移転したんですよ。その時には僕、RIZINのチャンピオンになっていて……『会長、僕がチャンピオンになったら広げるっていっていましたよねぇ』と(笑)。ただ、銅像までは創ってくれなかったです(爆)」
──ハハハハ。銅像に拘っていますね。これだけ設備が整ってくると、いよいよ吉祥寺だけで思い通りの練習ができるという感じでしょうか。
「キックの稽古をしながら、グラップリングの練習がこっちでできるようになりました。思い描いたモノが、出来上がりつつありましたね」
──あれから1年、MMAとしては4月に金原選手との一戦だけで大晦日を迎えることになりました。
「これがまた不思議で、格闘技の神様がいるみたいで。拳が折れようが、なぜかチャンスをくれるんですよね。五味(隆典)さんとのボクシングで二カ所折ったんですけど、骨がズレなかった。
レントゲンでは小指が折れているのが分かっていたのですが、それならパンチは打てるのでパッキャオ戦はOKを出しました。でもCTを撮ると人差し指も折れていると言われて。僕は『そんなことない。もっとしっかり診てください』とか言っていたのですが、ちゃんと折れていて『もう無理っすねぇ』って笑っちゃいましたもん。
それでパッキャオ戦は断りましたけど、凄く良いバンテージの巻き方をしてもらっていて骨はズレていなかった。ズレていると手術が必要だったので、復帰は2025年の4月ぐらいになっていたはずです」
──なるほど、いうと半年も違ってくると。
「ハイ。そうなると大晦日でメインは取れなかった。そう考えると五味さんの時点で骨折していてズレていなかったことは、パッキャオ戦をやって折れているよりずっと良くて。五味さんの時に折れていたから、最後の最後のおおとりを取れることができました。格闘技の神様がいるのなら、これは導きですよ」
──本当に千裕選手はポジティブですよね。
「いやいやいや、だってそうじゃないですか(笑)」
──RIZINフェザー級戦線はチャンピオンのファイトが8カ月なかったのですが、ヤバい外国人の投入で回った感がありました。と当時に、新たなる挑戦者候補が生まれているような形になっています。
「めちゃくちゃ入ってきましたね」
──その中央アジア勢の台頭、どのように眺めていましたか。
「中途半端なヤツは生き残れない……一部ありますけど。なんていうんですかね、PRIDEを思い出しますね。そういう絵面になってきたなと。スリリングですよ。皆、バカみたいに強いので。そのなかで、どう勝つのかを考えるとのが醍醐味というか面白さなので」
──そんななか千裕選手は大晦日に、パトリシオ・フレイレの持つBellator世界フェザー級王座に挑戦するという話も一時期伝わって来ていました。
「いや、正直どっちでも良かったです。僕は勝っているので、やる必要は特になくて。リベンジをしたいのは、向うだろうし。再戦するならタイトルマッチ。そうしたらピットブルもRIZINのベルトを賭けろ……みたいなことを言いだして。なんだよ、ダブルタイトルって。アホなんですよ、僕もそうなんですけど。あっちはブラジルで、僕はスペインとペルーの血が入っていて同じラテン系なので」
──アハハハハ。
「なんか、よく分からないスタンスで……。メチャクチャなことを言って来て。自分の立場、分かっているのかと。BellatorがPFLに買収されたことで、団体のスタンスも以前とは違うようだし。これは無さそうだと、早々に思いました」
──そういうなか大晦日で戦うなら、意中の相手は誰だったのでしょうか。
「誰でも良かったです。誰とでも戦うというか、チャンピオンは相手を選ばないです。選んでいるのは、僕は好きじゃない。筋が通っていれば、言われた相手と戦います。強い人と戦いたくて格闘技をやっているのに、そうじゃない人とやってもしょうがないですからね」
──結果、クレベル選手に決まったのはいつ頃ですか。
「発表の頃(11月4日)と変わらないです。『そうなんですね』って感じでした」
──現実問題として、クレベル選手に計量失敗があったとはいえ最後に敗れた相手です。
「リベンジですし、燃える相手です。一瞬にして気合いが入りました。一度負けた相手と戦って、どう突破するのか。あるいはできないのか。それを考えることが楽しいですし、格闘家生活が充実してきます」
──前回の試合と比較して、一番成長した部分はどこだと捉えていますか。
「それは分からないですよ。それを知るために、試合をするので。試合にならないと、『これできるようになってんじゃん。成長しているよ』っていうのは出ないです。練習でできても、試合ではだせない人なんてくさるほどいるんで。試合でだせてこそ、本当に得ることできた技だと僕は思っています。だから試合をしてこそ『俺、切れるじゃん』、『当てられんじゃん』ってリングの上で気づけます」
──と同時に、積み上げてきたモノの確実性が増すと思われる組みの部分ではいかがでしょうか。
「そうですね、1日1日と積んで来て少しずつ強くなっています。練習をしていれば勝手に強くなるので(笑)。それで変わっていなかったら、もう辞めた方が良いですよ」
──不思議なモノで勢いがあると、パンチも決まる。ケラモフ戦の蹴り上げにしても、勢いがあるから当たったのか。力があるから勢いが出てくるのか。なんせ千裕選手は当たり続けています。
「そうですね。でもパンチを当てるなんて簡単ですからね。顔があって、そこに手を置くだけで。アハハハハ。そう考えると、難しくないですからね。勢い……パンチを当てることができるのは、相手に隙があるからで。向き合った時には、その隙はまだないんですよね。
それを崩して、崩して。そうやっていると光というか、当たる瞬間が見えるんで。だから強引に見えても、試合は創っています」
──なるほど、です!! ではクレベル選手が粗めの打撃を駆使して組んでくるのと、触れて引き込むのとではどちらの方がプレッシャーが強いと感じますか。
「やっぱり引き込まれる方が嫌ですね。相手の一番強いところなので。でも、それも大して気にしていないです。付き合った方が良いですよ」
<この項、続く>
■RIZIN DECADE 視聴方法(予定)
12月31日(火)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN DECADE / RIZIN49 対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] 鈴木千裕(日本)
[挑戦者] クレベル・コイケ(ブラジル)
<RIZINフライ級選手権試合/5分3R>
[王者] 堀口恭司(日本)
[挑戦者] エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
<女子スーパーアトム級/5分3R>
伊澤星花(日本)
ルシア・アプデリガルリム(アルゼンチン)
<バンタム級次期挑戦者決定戦/5分3R>
元谷友貴(日本)
秋元強真(日本)
<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
YA-MAN(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
芦澤竜誠(日本)
<ヘビー級/5分3R>
上田幹雄(日本)
キム・テイン(韓国)
<59キロ契約/5分3R>
神龍誠(日本)
ホセ・トーレス(米国)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
桜庭大世(日本)
<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
新居すぐる(日本)
<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
エドポロキング(日本)
<バンタム級/5分3R>
大雅(日本)
梅野源治(日本)
<RIZIN甲子園決勝戦/5分2R>
横内三旺(日本)
斉藤健心(日本)