この星の格闘技を追いかける

【Pancrase336】「塩漬けにどうこう言うなら、まず下から動いてほしい」草MAX戦へ、住村竜市朗─02─

【写真】こうやって必至に倒すわけで。この直向きさは心打たれるかと(C)MMAPLANET

9日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase336で、草MAXと対戦する住村竜市朗のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

元DEEP王者の住村にとって、パンクラスのナンバーシリーズ出場は今回が初となる。現在の住村のファイトスタイルについて訊くと、熱いMMAと組み技論を展開してくれた。組むからアグレッシブでない、というわけではない。そんなMMAの魅力を伝えられるような試合を、新天地で見せることができるか。

<住村竜市朗インタビューPart.01はコチラから>


――草MAX選手とは2015年7月のパンクラス大阪大会で対戦し、住村選手がRNCで勝利しています。今回が8年ぶりの再戦となります。

「パンクラスのナンバーシリーズは今回が初めてですけど、過去に大阪大会は出ているんですよね。大阪ではパンクラスとDEEPの合同興行にも出ていますし。あれからお互いに団体のチャンピオンになっていて、今回は良いものをお見せできると思いますよ」

――前回の対戦から、草MAX選手の印象で変わっている部分はありますか。

「どうなんですかね……8年ぶりですからね。テイクダウンディフェンスとか組みの部分は、実際に触ってみないと何とも言えないです。打撃については一発がありますし、蹴りは上手なイメージがありますね」

――草MAX選手については、以前よりも組みの展開が増えている印象があります。

「疲れないように打撃よりも組みの展開を増やしているかもしれないです。これはベテランあるあるで(笑)。だから省エネをしている部分もあるんじゃないかと」

――住村選手ご自身がベテランあるあるで、省エネのために組み中心へと移行しているのですか。

「そうです(笑)。というか、省エネだったんですよね。それこそ塩試合ばっかりで。でも最近は吹っ切れて、試合でもっとシンドイことをしようと思いました。どんなに厳しい練習をしていても、試合では絶対にバテる。それならもっと疲れることをしようと思って」

――それだけ組みでアグレッシブに展開するということですね。

「はい。すると相手も疲れてきます。そこから息が上がった者同士、どっちの心臓が先に止まるか――っていうぐらいの展開にしたいです。8年前と比較するとレスリングができるようになりました。レスリングと寝技は繋がっているので、しっかりレスリングで勝って――言い方は悪いですが、塩漬けにしたりとか」

――塩漬け……。住村選手にとって、いわゆる塩漬けは是なのか。それとも可能なら塩漬けにならないほうが良いですか。

「何て言ったらいいのか――試合って2人の作品じゃないですか」

――対戦する選手2人が生み出す作品という意味ですか。

「要は、自分だけがやっているものじゃないということですね。僕がいて、対戦相手がいるから試合になる。塩漬けについては『今はオレが上に乗ってんねんから、オマエが動けよ』としか思わないんです。塩漬けにされたくなければ、下になっているほうが動けばいい。その技術がないから動けない。だから漬けられているんだよってことじゃないですか。それを選手だけじゃなく、観ている皆さんにも分かってほしいんですよ」

――これはもう何十年も議論されていることですよね。抑え込まれたくなければボトムからエスケープする技術を磨かないといけないし、その前にテイクダウンディフェンスの技術を向上させないといけないわけで。

「そういうことですよね。まず倒されなければ、塩漬けにされることもない。下になっているほうが動けば、上になっている選手に隙ができてスクランブルに持ち込むことができます。すると上の選手にも極めるチャンスが生まれたりとか、試合も動くわけですよね。自分がテイクダウンのために動いたのだから、次は下になったほうが動く番っていうだけで。だから僕は、塩漬けに対しては何も思わないです。それは本当に」

――それはメディアも含めて、もっとテイクダウンディフェンスやスクランブルなどの展開や技術の理解を深めていかないといけない問題ですね。

「それが分かると、なぜUFCは打撃の展開が多いのかも理解できるじゃないですか。UFCファイターは皆、しっかりとレスリングができる。テイクダウンディフェンスの技術があるから、グラウンドにならず打撃の展開が増える。よくUFCを視ている人が『もっとテイクダウンに行けよ!』、『もっと抑え込めよ!』と言っていますよね。『いやいや、それができないからスタンドの展開になっているんじゃないか』と。

僕もトップを取ってから、極められるものなら極めたいです。でも下が動かないから隙が生まれず、サブミッションに持ち込みづらくなる。結果、動いているのは相手に隙を作らせようとする自分ばかりで。もし塩漬けされることに対して、どうこう言うならまず下から動いてほしいと思います」

――打撃戦を好む傾向にあるとは思いますが、だから打撃戦ばかりになっているわけではないと。なるほどです!! 一方で、グラウンドになると対処法がサブミッションばかりではなく、スイープやスクランブルもある。

「まず下になった時の組み手を知らないのかなと思うことはありますね。どう組んで、どう立つのかっていう技術を磨かないといけなくて。僕もロータスやイグルーで、それこそイゴール・タナベ選手や岩本建汰選手のようなトップグラップラーの練習を見ています。トップ同士の試合や練習になればなるほど、一本を奪うことは難しいじゃないですか。お互いにポジションを取られたり、サブミッションを狙われた時の対処法が本当に巧いので」

――住村選手としては、ロータスやイグルーでの練習を通じて、そうしたグラップリングの展開も向上しているのですね。

「まだまだ日本のトップグラップラーと比べたら――という感じではありますけど、おかげさまでレスリングとグラップリングには自信があります」

――そのテイクダウンとグラップリング力を、次の草MAX戦で見せられるかどうか。最後に次の試合への意気込みをお願いします。

「次の試合がちょうどプロ30戦目になります。この年齢になっても新しいことにチャレンジできるのは、すごく嬉しくて。それは支えていただいている方々のおかげです。DEEPのベルトを獲った時のように次の目標ができました。目標ができた時の自分は強いですから。僕のMMA第二章を見てください!」

■視聴方法(予定)
2023年7月9日(日)
午後12時15分~ PANCRASE YouTube メンバーシップ、U-NEXT
午後5時15分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

PR
PR

関連記事

Movie