【Bellator293】荒さと怖さと、効率。プレリミながらライト級で注目の一番ギブソンJr✖トコフ弟実現
【写真】粗い選手が洗練され、粗さを強さに変換できるようになった時が、怖い。そうなるのはギブソンがトコフか(C)BELLATOR
14日(火・現地時間)、Bellatorより3月31日(金・同)にカリフォルニア州テメキュラのペチャンガ・リゾートカジノで開催されるBellator293のフルラインナップが発表された。
ヘビー級のマルセーロ・ゴルムとダニエル・ジェイムスがメイン。コメンは女子フェザー級のキャット・ジンガーノ✖リア・マコート。そして追加カードとしてミドル級タイトルコンテンダーのジョン・ソルター✖アーロン・ジェフリー、ウェルター級ではジャリール・ウィリス✖ルスタン・ハビロフという渋めのメインカードとなった同大会、プレリミで見逃せないマッチアップが決まっている。
それがランス・ギブソンJr✖ウラジミール・トコフの一戦だ。ワールドGPが始まるライト級でワイルドカード制度が採用されていれば、バンタム級でいうダニー・サバテーロが生まれていた可能性もあるマッチアップといえる。
ギブソンJrはJrとつくことで分かるように、父もランス・ギブソン。MMAがMMAとして確立する前の血生臭い戦いの頃から、マット・ヒュームの下で技術の確立に試みてきた元UFCファイターだ。
ギブソンJrはその父の影響の下、全局面で終わらせるファイトを磨いてきた。決して綺麗なファイトでもなく、スコアリングに優位というわけでもない。どちらかといえば、勝ちと負けよりも強さと弱さを決めたいような無骨な戦い方といえる。そのせいか、サークルケージでも5勝0敗ながら、なかなか上位勢との試合が組まれてこなかった。
今回、ギブソンJrはキャリア7勝2敗でベラトールでは3勝2敗ながら格上といって良い相手トコフと戦うことが決まった。トコフが喫した2敗はクリス・ゴンザレスとジェイジェイ・ウィルソンという期待の新鋭相手で、しかも揃ってスプリット判定負けという惜敗だった。
Bellator以前のトコフは相当に荒々しいファイトをやってきた。男子のMMAで珍しく首投げを多用し、打撃も回転数は速いが大振り。何よりも勢いに任せたペース無視という荒ぶるファイトを実践していた。それでいて上を取り切るスクランブル能力など、自身のペースになったときの要所のペースは驚異的だ。
加えて打と組みの間の攻撃、組み後のヒザ蹴りなど対戦相手に息をつかせないファイトを見せてきた。さすがにベラトールで戦うようになってペースを考えるようになったトコフだが、その分動きを見ることで相手の試合に付き合う面が出てきてしまい、ここ一番で上を取り切れないこともあった。
それが上記の惜敗に繋がっている。慎重さとアグレッシブさのバランスを取ることができるようになればトコフは、兄アナトリ―のようにタイトルに絡むファイターになるはずだ。
ギブソンJr、トコフともに荒々しさという怖さがあるファイター。この荒々しさが粗さにならないように戦えた方に分がある──そして今後のライト級に影響を及ぼす存在が生まれる一番といえる。