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【Interview】川尻達也 「往生際が良ければ、もう諦めていた」

Tatsuya Kawajiri

【写真】川尻は取材中、常に穏やかな表情を浮かべていた (C)MMAPLANET

UFN39でクレイ・グイダと激闘を繰り広げた川尻達也インタビュー後編。引き続き、グイダ戦のポイントとなった攻防、そして自らの精神面を語った川尻。少しでも早くこの敗北の屈辱を払しょくしたい強い気持ちを隠すことなく、穏やかな口調で言葉を続けた。
<川尻達也インタビューPart.01はコチラから>

──結果論になってしまいますが、1Rはともかく2Rと3Rは別の展開が欲しかったと思います。ただ、腕十字はかなり入っていたように見えたのですが。

「十字は一度伸びたんですけど、スラムされてずれてしまいましたね。で、2Rからは受けに入ってしまったところをグイダに突かれてしまって」

──3Rに前転してからの足関節など、試合を投げずに逆転を狙う動きも見られました。

「UFCで戦うようになって、ずっと上から攻めることはできないと覚悟していたので、あの足関節もそうだし、ギロチンも練習していたんです。でも、グイダを相手にしても上を取りたかった。取れない相手じゃなかったと思いますし」

──1Rの終盤にスラムからマウントに入りかけて、逆にキムラで返されました。あそこも含め、スクランブルの状態で上を取り切ることができなかったです。

「横田(一則)君とかも切り返すのが上手いので、ああいう経験もしてきたんですけど、一発貰ってから冷静じゃなかった。焦っていましたね。一本取らなきゃ勝てないと思いこむようになって。冷静に考えると、プレッシャーをかけてテイクダウンに行っても良かったのに」

──1Rを取られても、2Rと3Rと上を取る形で取り返せたのに、一本に拘ってしまったと。

「KOするか一本勝ちしかないという精神状態になっていましたね。実際には1Rの右フック以外、打撃で危ないモノはなかったので、逆にプレッシャーを掛けて僕が押し込むという選択もあったのに。焦っていましたね。他の対処があったと思います。そういう精神状態にされている時点で、グイダの勝ちだし……らしくなかったですよね。

今回は1月の試合と違って、オクタゴンに上がってしまえば全然、緊張もしなかったんです。なのに……、分からないですね。ただ、グイダは強かったですよ。勝ち方を知っていました。分かってはいたつもりなんですが、気が付いたら押し込まれていました。まぁ、ベンソン・ヘンダーソンやアンソニー・ペティスとあれだけの試合をやっているんですから、どう考えても強い選手なんですけどね」

──1R、マウントを取った状態で終っていれば、また違った展開にもなったのでしょうか。2Rと3Rはポイントゲームで負けた感もあります。

「う~ん、それは分からないですよね。まぁ、負けるべくして負けた。力を出せないで負けたとかって、ただの言い訳になると思うので。グイダが強くて、僕が弱かったということです。でも、次にやったら負けねぇっていう気持ちはあります。負け惜しみでも、その気持ちがなくなったら終わりだと思うので。だから、UFCに指示された相手と戦って、しっかりと結果を出して、また上の選手と戦えるようにならないと。もう一度昇るしかない、力を見せるしかないです」

──強い選手はいくらでもいるので、川尻選手の強さを見せる機会がいくらでもあるのもUFCだと思います。

「全試合、そうですもんね。だからこそ、次は後悔なく戦いたいです。ガムシャラに泥臭く戦うのが、俺のスタイルなので。今回は綺麗に戦おうというのが少しありましたね。そういう気持ちがあっても、これまでは勝てていたんですけど、UFCはそういうレベルじゃない。自分のスタイルができなかった時点で完敗なんですが、それができなったのである意味、開き直れます。何もできなかったので」

──何もできなかったことはなかったですし、ファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得した熱戦ということで、別の部分で評価もされたのではないでしょうか。

「35歳でノビシロがないと判断されたら、リリースされるかもしれない。だから金が貰えたのは唯一の救いです(苦笑)。ただ、別に嬉しくないです。嬉しくとも何ともない。現実面として、お金が貰えただけで。勝たなきゃ、嬉しくない。皆、そうだと思いますけど、ファイト・オブ・ザ・ナイトは要らないから勝ちたい。その方が、お金のことも含めて、将来が開かれますから。もう1回やるしかないです。次こそ、結果を残さないと。誰と戦おうが……結果を出すだけです。勝てば上がる、負ければ落ちる。それが格闘技の魅力なので」

──その次は、いつぐらいと考えていますか。

「日本大会の前に入っても良いのですが、そうなると日本大会が難しくなるのかな? 日本大会だけになるのでも、どちらでも良いです。誰と戦いたいとか、そういうのもない。誰とでも言われた相手、場所でやります。王座が遠ざかったのは自分でも分かっています。試合が終わった瞬間、『俺ってこんなもんなんだ』という気持ちにもなりました。でも、ここで諦めてしょうがない。実はチェ・ドゥホが欠場するって知った時、『俺、代役出場できないかな』って思ったんですけどね(笑)。

悔しくて、悔しくて。早く挽回したい、良いところを見せたいっていう気持ちになっています。もう一回見ていろよ、このヤローって。グイダにもUFCにも思っています。そこが一番ですね。『チキショー、今に見ていろ』って思って、修斗の新人の頃からやってきたので。でも、逸る気持ちを抑えて、しっかりと作り上げてもう一度やります」

──川尻選手がグイダに負けて、そこで止まってしまわれては我々も困ります(笑)。

「そう思ってくれる人がいる限り、自分を信じてやっていきたいです。このままじゃ終れない、35歳でもまだまだ強くなれる。往生際が良ければ、とっくに諦めていました。諦められる機会は、これまでもたくさんあったので。デビュー戦、シャオリン戦、五味戦もそう。もう腐るほどあったけど、諦めないで往生際が悪いから、今までやって来ることができました。

だからこそ、こんなところで辞められないです。五味君も試合が近いし、彼の戦っている姿を見て、自分を奮い立たせたい。水垣君も菊野君も、堀口君も頑張ってほしいですね」

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