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【ONE FN02】高橋、判定負け。ダメージ>積極性を覆すレフェリング。レフの介入をどこまで認めるのか

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
オ・テホク(韓国)
Def.2-1
高橋遼伍(日本)

上背で劣る高橋、ジャブから前に出るオ・テホクがワンツーを見せる。間合いを測る両者、ブーイングが起こり高橋がカーフを空振りする。オ・テホクにケージを背負わせた高橋が右カーフ。続いて、オ・テホクが前に出る。それでも距離を詰めた高橋が右カーフを蹴り、ワンツーで右を当てる。オ・テホクの右オーバーハンドをかわした高橋は、ダブルレッグを切る。オ・テホクは首相撲から離れると、カーフを受ける。

やや遠めの距離から右を当てたオ・テホク、一瞬腰が落ちた高橋に対し、スイッチして左ミドルを蹴る。さらに左を入れたオ・テホク、高橋が右を入れる。そして右カーフを2発入れた高橋は、右に回るオ・テホクにカーフを蹴る。オ・テホクは左ローからワンツー、かわした高橋は左ハイをブロックする。カーフは当たる高橋、右回り基調の動きをジャッジがどのように判断するか。

2R、前蹴りからハイを狙うオ・テホクは、カーフにパンチを合わせていくが高橋の左を被弾して姿勢を乱す。続くスクランブルで上を取った高橋は、試合がスタンドに戻ると前蹴りでケージ際に下がる。ここからのステップインに左を合わせようとする高橋は、長い距離のミドルにステップバックもオ・テホクが前蹴りを繰り出す。高橋はカーフのタイミングを計るファイトのなかで、オ・テホクが距離を詰め高橋に「攻めろ」と注意が入る。

カーフで姿勢を崩しながら、組んだオ・テホクが首相撲でヒザをボディに突き刺す。回って左のカウンター狙いの高橋は、ついにイエローカードを提示されてしまう。決して戦っていないわけではないが、下がっての攻撃をレフェリーが評価しないのであれば致し方ない──のか。アジャストが必要な高橋は、オ・テホクのテイクダウン狙いを切って逆に上を取る。

胸を合わせて離れたオ・テホクが前蹴り、続くテイクダウン狙いを切った高橋がケージに押し込む。胸を合わせ状態で脹脛を蹴っていった高橋は離れて、右カーフを入れる。カーフの蹴り合い、最後も回った高橋はイエロー分リードを許したか。

最終回、ここも前に出るオ・テホク。高橋はレフェリーに「赤コーナー、攻めろ」と叫ばれてしまう。右カーフを蹴って離れる高橋、オ・テホクが蹴りで前に出る。と、またも高橋にイエローカードが提示される。MMAは前に出るしかないのか──というレフェリーの試合の創りだ。

これでオ・テホクがリードするなら、ダメージよりアグレッシブネスが評価されたことになる。オ・テホクのダブルレッグを切った高橋だが、続く局面でバックに回られスタンドで背中を取られる。両足をフックしたオ・テホクが着地すると、高橋は胸を合わせてクリンチへ。残り2分半、離れるとローに右アッパーを合わせていった高橋は右カーフを空振りする。それでもカーフのダメージが蓄積し、ステップも不自然なオ・テホクは前に出ても姿勢を乱す。またもアクションと声を掛けるレフェリー。高橋はローに右アッパーを入れ、カーフでオ・テホクの動きが止まる。

ここでカーフを続けたい高橋は、ステップインにアッパーを合わせテイクダウン狙いのタイミングで左の蹴りを繰り出す。逃げの組みに徹してきたオ・テホクだが、それでも視覚的にも前に出続けタイムアップに。

結果、判定はスプリットでオ・テホクに軍配が挙がった。ジャッジとすれば、イエロー2つの提示に従うとこうなるのも致し方ない。と同時に、ONEの判定基準はニア・フィニッシュ>ダメージ>アグレッシブネスのはず。イエローが出た時点で高橋も前に出る必要性があることは確かだが、ファンがエキサイトする方向性のレフェリングのなかで、ダメージ重視の裁定基準が除外されるとサークルケージの戦いに矛盾が生じる。

下がって打つのは技術。前に出るのも技術。迎え撃つのも技術。現に高橋はステップインにパンチを合わせてダウンといっても良い攻撃も見せていた。それが下がって攻撃をかわし、タイミングを測ることでカーフで与えたダメージもろとも帳消しになるのであれば、ここでの戦いは下がることを認めないフェンシングになってしまう。

このレフェリングは、MMAをミスリードする。立ち会いから、真正面でぶつかるのがONEのMMAであればそれをルールブックに明記し、裁定基準を変更する必要があるだろう。


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