【TUF11】第3週 まとまりみせるチーム・リデルが2連勝
ジ・アルティメット・ファイター・シーズン11(The Ultimate Fighter Season11)、チーム編成も終了し、対抗戦初戦では、チーム・リデル1位指名のカイル・ノークがクレイトン・マキンニーを下し、自軍に最初の白星をもたらした。
【写真】第3週は、ハワイ出身でローカルプロモーションMMA4戦無敗のブラッド・タバレスが勝利を挙げたが、ハモーティの勝利と主張するティトは不満気だ (C) ZUFFA
迎えた第3週は、ダナ・ホワイト、チャック・リデル、ティト・オーティズの3名がファイター達の前に登場するところからスタートした。ダナは、チーム・オーティズ7位指名のクリス・カモージーの名を呼ぶと、「これまで高いポテンシャルや強い気持ちを見せてくれたが、顎の骨折が発覚した。これ以上、ショーを続けることはできない」と語り、彼の離脱を発表したのだ。
第1週のサバイバルマッチでは、延長ラウンドの末にビクトー・オドネルを破ったカモージー。突然の宣告にはショックを隠せず、「こんなカタチで終わりたくはなかった。ここまで何年も掛かったが、その夢が一瞬で終わってしまった」と述べると、仲間に見送られ、UFCハウスを後にした。
その一方で、ダナは第1週の脱落者から、健康状態に問題がない4選手のリストをティトに渡した。すると、ティトは、チーム・リデル6位指名のコート・マクギーからダウンを奪い、延長ラウンドまでもつれたセス・マシンスキーを指名する。
「クレイジーな気分だ。まさかここにこれるとは思っていなかった」と喜ぶマシンスキーが新メンバーとして加入し、リデルの口からは、いよいよ第3週=対抗戦2戦目のマッチアップが告げられる。自軍から5位指名のブラッド・タバレスを――、チーム・オーティズからは同じく5位指名のジェームズ・ハモーティを呼び込んだ。
また、チーム・トレーニングでは、両コーチの特色も徐々に表面化し始めた。紳士的な態度で教え子達と接するリデルに対し、「ファンタスティックなコーチだ。何か質問があれば、その全てに答えてくれる。みんなの成長に気を遣ってくれている」と、他のメンバーを代弁するかのように尊敬の念を込めて語るのはマクギーだった。
一方、トレーニング中のチーム・オーティズからは、口論が聞こえる。1位指名のニック・リングとジェイミー・イェイガーが険悪なムードになり、コーチが両者を引き離す事態となっていた。「チームとして戦うことが大事なんだ」と語気荒く語るティトだが、チームとしてのまとまりは、リデルが上といえそうだ。
そして、迎えた試合の日。ハワイ出身、22歳のタバレスは「フィニッシュする。勝ち続けてファイナルまで行けるようにね。ファイトは大好きだ。とっととやろうぜ」と意気込み、23歳フロリダ出身のハモーティは「スタンドでノックアウトしてやる。ここで評価を上げる。このチャンスを待っていたんだ。相手をぶっ倒すだけだ」と自信を漲らせた。
オーソドックスで構える両者。タバレスがインロー、左ハイを繰り出し、先手を打ったかにみえたが、ジャブから左ミドルを放ったところで、ハモーティはシングルレッグからタバレスの左足にしがみつき、一気にケージへと押し込んだ。
しかし、タバレスが払い腰でハモーティを投げ捨てると、足を4の字にフックしてチョークを狙う。これを凌いだハモーティは上のポジションを取り返し、タバレスも差し合いから、自身の背中をケージに押し当てて立ち上がり、五分の攻防をみせる。
続いて、ハモーティの払い腰がすっぽ抜け、再びバックを奪ったタバレス。これをハモーティが前方に振り落とし、タバレスの起き上がり際にギロチンを狙うが、こちらもすっぽ抜け。アグレッシブに動く両者だが、一つ一つの動きは、勢いに任せた粗い印象を残す。
2R、右フックをフェイントに一気に組み付いていくハモーティが、タバレスをケージへ押し込むも、差し返したタバレスがハモーティの勢いを利用するように押し倒して上を取る。それでも下からアームロックを仕掛けるハモーティ。これを凌いだタバレスが、その立ち上がり際にヒザ蹴りを狙うも、バランスを崩して転倒、ハモーティにポジションを許した。
度々チャンスが巡ってきても、どうにも落ち着かない両者。バックを奪われたタバレスがキムラアームロックを狙ってハモーティの腕をロック。倒されても諦めず、下からキムラを仕掛けていくと、ピンチを防いだハモーティはガードで上になるものの、思うようにパウンドを打てないまま、攻守が激しく入れ替わる一戦は延長ラウンドへ突入した。
スタミナを欠き、序盤のように蹴りが出ないタバレスは、必死にジャブを伸ばす。ハモーティはスーパーマンパンチからシングルレッグで飛び込むも、タバレスに防ぐ余力はなく、ハーフからマウントを許した。だが、ブリッジでハモーティを転がしたタバレスは、すぐさま上を取り返し、バックからハモーティの腕を抱え、細かくパウンドを入れる。
それでも、タバレスをケージに押し込み、その片足に組み付くハモーティ。タバレスの左足を自身の両足で挟みこむと、前足を手で手繰り寄せ、座らせるようにテイクダウンを奪う。タバレスもすぐに立ち上がったが、最後までテイクダウンを狙っていったハモーティ。際どい判定ながらも、テイクダウンを奪い攻勢を維持していたのは、ハモーティか――。
判定の結果、延長ラウンドは、ジャッジ3者共に10-9で、チーム・リデルのタバレスを支持した。「俺にとってこの勝利は、チームメイト、家族、ガールフレンド、俺を支えてくれる全ての人に捧げる勝利だ」と歓喜のコメントを述べるタバレスだが、ティトは、「気に入らないな。ジャッジは違うところを見ていたんだろうな。テイクダウン、サイドマウント、もちろんマウントも。一体何を見てこうなったか理解できない」と判定の結果に不満をもらし、第3週が幕を閉じた。