【ONE156】川原波輝と戦うダニエル・ウィリアムス「ナミキはTDがあるし、あの距離にならない」
【写真】まさに未知……グラップリングへの対応力が想定以上なら、すでにトップ3の実力があるかもしれない (C)ONE
本日22日(金・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE156「Reloaded」で川原波輝とダニエル・ウィリアムスが戦う。
K-1に来日経験のあるムエタイファイターは、昨年4月にロッタンとムエタイで真っ向からやりあい、今年の2月には初代ONE世界ストロー級王者デェダムロンをボディに倒し、引退を決意させた。
MMAはまだ6戦目だが、ムエタイ以前に空手、テコンドー、忍術、そしてハップキドーの経験があるウィリアムスは、自らをライフタイム・マーシャルアーチストと呼ぶ。柔術の練習をし、MMAに挑むウィリアムス──近距離ファイトでの強さはもう誰もが認めている。ではMMAでの打撃はどうなるのか。注目の川原波輝とのサバイバルゲーム前に、その心境を尋ねた。
──2週間後にONEで川原波輝選手と対戦します。今の気持ちを教えてください(※取材は4月9日に行われた)。
「良い感じだよ。キャンプも上々のデキで、タフなカワハラと戦えることが楽しみだ。彼は僕とは違うタイプのストライカーで、ファンに楽しんでもらえるストライキングMMAになるだろうね」
──キャンプは所属するスクラッピーMMAで行っているのですか。
「そうだね、80パーセントはスクラッピーMMAで練習し、残り20パーセントはカオ・ソク・ムエタイジムでトレーニングしてきた。ムエタイの試合の時はカオ・ソクで練習しているんだ。この2年間は海外で練習できない状態だったから、常にパースにあるこの2つのジムで練習してきたよ。
ただ、この間の厳しい状況は僕を強くしてくれたと思う。どんな時でも強くなるという自分の意志が確認できた期間でもあったよ」
──ところでダニエルはタイで生まれて、生後7カ月で豪州パースに移り住んだにも関わらず、ムエタイ選手を目指していたと。タイ人の血のなせる業でしょうか。
「母がタイ人で、叔父がムエタイ選手だったんだ。それに曾祖父もね。僕自身、6歳の時にタイの村祭りでムエタイを見てムエタイ選手になりたいと思った。それに兄の影響も大きかったよ。兄はマーシャルアーツが好きで空手を習っていて、僕も兄に続いて空手の練習をしていた。10歳か11歳の時に自分の街にムエタイのジムがオープンして、悩むことなくムエタイの練習を始めた。そうだね、僕に流れるタイ人の血のせいかもね(笑)。
2013年から2015年にかけて大学に通っていたけど、年の半分はタイでムエタイの練習をし、試合に出ていた。この3年間がキャリアのなかでも一番試合数が多かった時期だよ」
──だからK-1の資料ではチェンマイからやってきたことになっているのですね。
「そうだね、ジムはチェンマイにあった。生まれたのはチェンライで。よく混同されるんだ(笑)」
──立ち技は色々なルールがありますが、やはりムエタイが好きだったのですか。
「そうだね、エルボーが使えるしね。ずっと練習してきたことが出せるからね。ただし、一番好きなのはケージで、MMAグローブで戦うことなんだ。なんかリアルじゃん? 空手、テコンドー、忍術、ハップキドーと多くのスタイルのトレーニングをしてきて、これからもマーシャルアーツとともに生きようと思っている。だから、全てを生かして戦えるMMAが今では一番好きな戦いだよ」
──ケージ・ムエタイの王者にもなっていますが、リングで戦う時と首相撲でのブレイクは同じタイミングです。ケージのムエタイでは、ケージを背負ってのクリンチを無制限にしてほしいと思ってしまいます。
「その通りだ。ムエタイを戦っていて、MMAに転じると違うことが多い。まずはグローブがそうだし。ただしケージ・ムエタイで戦っていたときは、ケージを背負って戦うということはなかった。リングと変わらず中央で戦っていたよ。それでもケージ・ムエタイはMMAグローブだったから、ブロッキングで防御しようものならパンチを被弾してしまっていた。
今はMMAグローブでのガードの仕方も覚えた。MMAを戦うようになるとケージ・コントロールはとても大切になってくる。そうだね、ちょうどDJがロッタンとミックスファイトを戦った際、ケージを背負ってそれほどパンチを出さなかった。凄く戦略的に戦っていた。ああいうことなんだよ。ムエタイとMMAの違いって」
──そんなダニエルは、なぜMMAに興味を持ったのですか。
「ずっと見ていたからだよ。色々なマーシャルアーツの練習をして、ムエタイを始めてからも将来的にはMMAを戦うと決めていたんだ。ムエタイで2つの世界王座を取り、K-1で負けた時に……MMAに転向する時が来たと思った。もう6、7年前だよ。
ムエタイの経験も生きてくるけど、とにかく柔術が必要だった。今も寝技で足のきかせ方は勉強中だ。上半身のクリンチは慣れているけど、寝技で足の使い方はマスター中なんだ」
──柔術歴は?
「7年だよ。ただ、ケガの治療なんかで間が空いてしまっているのは事実だよ。ムエタイを戦ってきたことで、自分の体がどれだけくたびれているのか知ることがデキた。負傷もいえ、本格的に柔術の練習をするようになってからまだ2年なんだ。柔術は青帯だからね」
──おお川原選手と同じではないですか。
「そうなの? 試合の映像を視ると足をきかせるのが上手くて、もっと上の帯を巻いているんだと思っていた。チョークも上手いからね」
──ところで前回の試合では、立ち技の展開が多くデェダムロンに引退を決意させる完勝でした。
「ONEでデェダムロンと戦う、一つの夢がかなった試合だった。僕はずっとデェダムロンの試合を見続けてきたから。彼は僕の元コーチとフィリピンで戦って勝っている。その彼がMMAを始めて世界王者にもなった。デェダムロンのMMAの活躍を見て、MMAに本格的に挑戦しようと思うようになったんだ。年を重ねていたけど、彼のこの年まで現役を続けてくれ、僕の挑戦を受けてくれたことは凄くハッピーだったよ」
──デェダムロンからダニエルにバトンが渡された試合にも感じました。
「あぁ、素敵な考え方だね。そう……僕はムエタイ出身のMMAファイターとして、デェダムロンに続き世界王者になるつもりだよ」
──とはいえ、あの試合はMMAとしては相当に近い距離で戦っていました。
「アハハハ。デェダムロンが相手だからだよ。今はレスリングとグラップリングに時間を割いてはいるけど、あの試合はデェダムロンが相手だからこそムエタイで勝負しようと思っていたんだよ。
ナミキはテイクダウンがあるし、あの距離にはならない。でも、僕だって彼にテイクダウンを仕掛けることもある。今も打撃の方が自信はあるけど、どれだけ自分が組み技の展開になっても対抗できるか、寝技とテイクダウンもデキるということを見せたい」
──ストロー級の序列が大きく変わるかもしれない大会です。
「あらゆるスタイルのファイターが、同じ夜に戦うね。ファンはストロー級で誰が最も強くて、エキサイティングな試合ができるかを判断できる。この大会を終えてファンはダニエルとボカンが見たい。ジャレッドとグスタボが見たい。いやサルタ×ボカンだ──とか、きっと話しはじめるよ。トップ5が揃った大会で、僕はナミキに勝つ自信は100パーセントある。もし、そうでなければアリーナに行くべきじゃない。
全ての試合が最もハードな試合だよ。ただし、ナミキ・カワハラとの試合は僕のキャリアのなかで最もハードなチャレンジになる。それでも僕のようなスタイルの持ち主で、アグレッシブなファイターと彼は戦ったことがない。そしてファンが喜ぶようにアグレッシブな試合をする。判定にはならないよ。あと……K-1では結果を残すことがデキなかった──今後はONEとともに日本に行き、勝利を手にしたいと思っている。だからナミキに負けてなんかいられないんだ」
■放送予定
4月22日(金・日本時間)
午後5時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後6時~ONE Supper App
■ONE156対戦カード
<ONEキックボクシング世界ライト級選手権試合/3分5R>
[王者]レギン・アーセル(オランダ)
[挑戦者] アリアン・サディコビッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)
<ONEムエタイ世界女子ストロー級王座決定戦/3分5R>
スミラ・サンデル(スウェーデン)
ジャッキー・ブンタン(米国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)
ジャレッド・ブルックス(米国)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
リアム・ハリソン(英国)
ムアンタイ・PK・センチャイ(豪州)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
チェン・ルイ(中国)
ソン・ミンジョン(韓国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
川原波輝(日本)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
猿田洋祐(日本)
グスタボ・バラルト(キューバ)
<キック・ライトヘビー級/3分3R>
アンドレイ・ストイカ(ルーマニア)
ヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)
<ムエタイ・女子ストロー級/3分3R>
アニッサ・メクセン(フランス)
マリー・ルーメット(エストニア)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ウインジソン・ハモス(ブラジル)
ウ・ソンフン(韓国)
<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
ダヤニ・ソウザ(ブラジル)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
パク・デソン(韓国)
<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
アギラン・タニ(マレーシア)
ジン・テホ(韓国)
<グラップリング・143ポンド(64.86キロ)契約/15分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
今成正和(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ケアヌ・スッバ(マレーシア)
ジェームス・ヤン(米国)