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【Pancrase326】KARENの挑戦を受けるストロー級QOP藤野恵実―01―「全然――伸びしろがある」

【写真】そう思えるのが、素晴らしい(C)SHOJIRO KAMEIKE

21日(月・祝)、東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催されるPANCRASE326で、ストロー級クイーン・オブ・パンクラスの藤野恵実が、ランキング1位のKARENを挑戦者に迎えて、ベルトの初防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

2018年8月、藤野はストロー級QOP決定戦でヴィヴィアニ・アロージョに敗れた。そのヴィヴィアニがUFCと契約したことで、2019年9月から暫定王者決定トーナメントがスタート。1回戦でエジナ・トラキスをTKOで下した藤野は、続く12月8日の決勝でチャン・ヒョンジにRNCを極め、念願のベストを腰に巻いている。

王座戴冠から2年3カ月――RIZIN出場やグラップリングマッチを経て、再びデカゴンに立つ藤野に現在の心境を訊いた。


――2019年12月に獲得したベルトの防衛戦が12日後に行われます(※取材は3月9日に行われた)。現在のコンディションはいかがですか。

「コンディションは変わらず、ですね。いつもどおり……今は練習もコンディションも変わらないし、変えないようにしています。常に同じ状態でいるように努めていますね」

――常に同じ状態にしているというのは、いつ頃からでしょうか。

「いつからだろう……だいぶ記憶力が無くなってきていますね(笑)。でも、ここ数年はずっと同じですよ。試合前だからって特別な追い込みをすることもなく、試合がないからって練習しないわけじゃないですし」

――2019年12月にパンクラスでベルトを巻いて以降、MMAの試合は昨年9月にRIZINで浜崎朱加選手と対戦(判定負け)しているのみです。その間、海外のプロモーションと交渉していたというお話ですが……。

「それは私のことを気にかけてくれていた方が、いろいろと紹介してくださっていたんです。私もいつまで戦えるかは分からないけど、最後まで強い選手と対戦したい。同時に、パンクラスでは戦う相手がいない。そんな想いと状況を汲んでくださったと思うんですね」

―-パンクラス王者となってから、藤野選手の目標はどこにあったのでしょうか。

「もともと2つの目標があったんです。ひとつはベルトを獲ること。もうひとつは、ずっとUFCに行きたいと思っていました。でもUFCは年齢やキャリアのこともあって行けなかった。そこでパンクラスのベルトを獲って、次はどうするかとなった時に……もちろんパンクラスで防衛戦を行いたいと思っていたんですけど、やっぱり相手がいないのは大きくて」

――……。

「そうなると、パンクラスが認めてくれるなら、いろんなところで戦いたいと思って。できるだけ強い選手と戦っていきたい、という気持ちが一番強かったです」

――しかし、海外プロモーションとの契約は成りませんでした。MMAの試合間隔が空いたのは、そうした交渉が理由だったのですか。

「いえ、そういうわけではないんです。パンクラスからも外国人選手との試合のお話をもらっていて、あとは発表待ちの状態だったんですけど、コロナ禍で入国規制が掛かり……」

――そうだったのですか。2019年は3試合を戦っている藤野選手にとって、これだけブランクが空いた影響はあるのでしょうか。

「基本的には、1年に3試合はしたいと思っています。でも、試合がないからモチベーションが下がるということはなくて。練習は日常としてやっていることだし、それが最初に言った『変えないようにしている』ということなんです」

――なるほど。

「ただ、RIZINに出た時に、試合勘がないことを実感したんですよ。3R目になってようやく試合の感覚が戻ってきて」

――試合勘がなくなっている……それは、どういった状態なのでしょうか。

「行くべきところで行けない、ココっていう時に見てしまう、とかですね。たとえば、スパーだと危ない状態になったら止めるじゃないですか。そこから追撃しなかったり。でもそれって、試合なら行くべきところですよね。その部分が切り替えられなかったのは大きいです」

――藤野選手にとっては、これだけブランクがあるのは初めてですか。

「デビューしたての頃に交通事故があって、ブランクをつくったことはありました。でもそれはデビューしたての頃なので、参考にならないですよね。それ以外だとないです。MMAの試合がなかったらキックボクシングとか、何でも出ていたので」

――確かに過去、藤野選手はキックボクシングやシュートボクシング、さらにレスリングのマスターズ大会にも出場していました。それらと同じように、UNRIBVALEDに出場したのですね(山田海南江に1-6で敗れる)。

「そうですね。あとはクインテッドとか。ただ、MMAPLANETのインタビューでも言ったんですけど、アマチュア大会に参加費を払って出るのに、あんなに大きく書かれちゃって……」

――アマチュア大会でも藤野選手が出場するとなれば、間違いなく大きく扱われます(笑)。

「アハハハ。私としては、今の自分の力を試したいというぐらいの感覚だったんですけどね」

――では反対に、ブランクが空いたことによるメリットはありますか。

「しっかり練習できました。以前よりも基礎をやろうという感じで練習できたことは良かったです。試合が次々決まっていると、どうしても捨てなきゃいけないものが出て来るんですよ」

――捨てなければいけないもの、ですか。

「たとえばMMAの試合が決まっているなかで、柔術だけの練習をやるかといえば、そうはいかないじゃないですか。それよりはMMAの練習をしようと思ってしまう。試合がない間は、そうやってシフトできていたのかなって」

――その結果、自身のなかで掴めたものはありますか。

「まだ伸びしろがあるな、って。まだまだ全然――伸びしろがあるなって思いました」

<この項、続く>

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