【GRACHAN52】Grachan初陣、高須将大─01─「毛色の違うGrachanで戦ってみたいと」
【写真】1993年7月生まれの28歳。MMAファイターはケージの中が全て──そのケージの中は、ケージの外のできごとが全て反映される場所だ(C)SHOTA TAKASU
19日(日)、千葉市美浜区の幕張ベイパークアリーナで開催されるGrachan52で、高須将大が大搗汰晟と対戦する。
高須は2016年11月のプロデビュー以来、ZSTで8戦を経験してきた(戦績は5勝2敗1分)。しかし、そのキャリアはデビュー後に発覚した肝臓がんとの闘いでもあった。
肝臓がんが発覚した時は、すでにステージ4まで進行していたという。そんな高須が語る、肝臓がんの闘病生活と、格闘技を続けることへの想いとは。
――高須選手は2016年11月のプロデビュー以来、ZSTで戦ってきました。今回のGrachan初参戦にあたり、まずはGrachanに対してどのようなイメージを持っているか教えてください。
「Grachanは粗削りな選手がいるイメージがあって、ZSTとは全く違う雰囲気を持っている団体だと思います。ずっとZSTで戦ってきたのですが、自分の中でも何か変えたいなという気持ちがあったので、それだけ毛色の違うGrachanで戦ってみたいと思いました」
――自分の中で何か変えたかった……と思ったキッカケがあるのでしょうか。
「プロデビュー以来ずっと連勝できていたんですけど、ここ最近は2連敗しています。これを機に、自分の中で何か変えないといけないなと思ったんです」
――高須選手はプロデビュー戦こそドローでしたが、その後は5連勝。しかし現在は2連敗を喫していますが、その要因は何だったと思いますか。
「守りに入っていたんじゃないかな、と自分では思います。そんな状態を変えていきたいです」
――なるほど。高須選手は、もともと野球をやっていたのですよね。
「高校まで硬式野球部に所属していて、卒業して就職しました。でも、野球以外で熱くなれるものが欲しいという気持ちになったんです。そこで、以前から山本KID徳郁さんに憧れていたこともあったので、当時住んでいるところの近くにあったストライプル茨城で格闘技を始めました」
――高校を卒業しても野球を続けていこうとは考えていなかったのですか。
「茨城の霞ヶ浦高校というところで野球をやっていて、自分たちの代は県予選の決勝まで行きました。そこで野球は一区切りにしたいと思ったんです。でも、自分は高校でレギュラーになれず……野球で頑張り切ることができなかった、っていう気持ちが残っていました。そこで、野球とは違うことをやり切りたいと思って」
――憧れていたというKIDさんの試合を初めて見たのは、いつ頃でしょうか。
「自分が小学校、中学校の時ですかね。MMAではないんですけど魔裟斗さんとの試合を見て、凄いなって思いました」
――ただ、KIDさんと魔裟斗さんの試合を見た時は、格闘技を始めようとは思わなかったのですね。
「そうですね。当時は野球少年で、夢はプロ野球選手でした(苦笑)。そこまで真剣に格闘技を見ていたわけではないです。選手とか詳しいわけでもなくて。ただ、野球を辞めたあと、何か熱中できるものが欲しくて、そのなかで格闘技をやっていたら楽しくなって――。そして格闘技をやっていくうちに、選手として試合もしたくなったんです」
――そんななかで、プロデビュー後に肝臓がんが見つかったそうですね。
「プロデビュー2戦目で勝った直後、肝臓にがんが見つかりました」
――それまでは、体調など何か兆候はなかったのですか。突然、肝臓にがん細胞があることが分かったのですか。
「突然といえば突然ですね。いま思えば、何か疲れやすいなっていうような症状はありました。でも、そこまでの病気とは思っていなくて」
――肝臓がんが見つかった時の経緯を教えていただけますか。
「試合に向けて激しいスパーリングをしていた時でした。スパーで蹴りがお腹に入り、2日ぐらい痛みが引かなかったんです。アバラが折れているのかな? そう思って病院に行ったら『肝臓に大きな腫瘍があります』と言われて……。
最初に触診をされた時、アバラを触られても全然痛くなくて、骨ではなく肉の部分を触られた時に痛みがありました。お医者さんも『これはおかしい』と思って、エコーを撮ってもらったら『お腹に大きな影があります』と」
――そう言われた時、ご自身が置かれている状況は理解できましたか。
「いや、もう頭が真っ白になりました。影が大きくて、10センチ以上あったんですよ。お医者さんからは『すごく危ない状態だから、このまま仕事に行かず帰宅してください』と言われました。そこで紹介状を書いてもらって、次の日に大きな病院で再検査をしたところ、腫瘍が大きくて悪性の可能性が高いと言われ、検査の2週間後には手術をしました」
――その手術で腫瘍を取り除くことができたのですか。
「一応、全て取り除くことはできました。でも、見えないがん細胞が肝臓の中に残っていて……。手術の2カ月後に最初の定期検診を受けた時、肝臓の中に5箇所から7箇所ぐらい、がんが再発していました」
――えっ……。高須選手のデビュー2戦目は2017年3月です。次の試合は2018年8月ですから、その間は闘病生活に入っていたのでしょうか。
「はい。再発してから、セカンドオピニオンを受けに東京の病院へ行ったんです。そこで検査した時には肝臓の腫瘍も大きくなっていて、肺にも2箇所転移していました。治療が始まった時にステージ4と宣告されました」
――ステージ4ということは、余命宣告などは……。
「これは後で分かったことなんですけど、余命3カ月の状態だったそうです」
――そんななかで、がんの治療を受けながら試合も行っていたのですか。
「再発したばかりの頃は、闘病生活の中で一番ツラい時でした。でも自分の中では格闘技をやり遂げることができていない、中途半端な状態でした。病気を治して格闘技をやりたいという気持ちが強かったんです」
<この項、続く>
■Grachan52視聴方法(予定)
12月19日(日)
午後4時30分~GRACHAN放送局
■Grachan51視聴方法(予定)
12月19日(日)
午後1時00分~GRACHAN放送局