【RIZIN TRIGGER01】京都のSNK釜谷真、念願の甲子園出場に「21世紀枠って初戦に勝たないと」
明後日──28日(日)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN TRIGGER01で釜谷真が、ダイキ・ライトイヤーと対戦する。
京都出身の釜谷は10年以上に渡る東京生活を切り上げ、地元でSWAG GYM KYOTOをオープンさせた。そして9月26日に竹本啓哉との変則Gladiatorバンタム級王座決定戦に敗れ、引退を公言した。
それから僅か2カ月後に復帰戦という表現も当てはまらないダイキ・ライトイヤー戦に挑む。キャリア17年間の決勝、釜谷とって甲子園というべきRIZIN(TRIGGER)での戦いに掛ける想いを尋ねた。
──京都のGSPならぬ、京都のSNKこと釜谷選手です。
「なんスか? SNKって(笑)」
──S(舌の)N(根も)K(乾かぬうち)の略ですね。
「アハハハハ。いいッスねぇ」
──まぁまぁまぁ。分かります。分かりますが、9月26日にGladiatorで竹本哲哉選手に敗れての引退発言から、撤廃まで早かったですねぇ。
「僕、辞める理由がRIZINが無理やと思ったからです。このところのRIZINを見ていて、この感じなら僕も出られるなって感じやったんです。でも、あっこで負けたことでまた数戦してグラジエイターのベルトを獲るとかしないともう出られないと思って。
そこまでのモチベーションが俺にあんのかなっていうのと、僕はやりたくても周囲で応援してくれる人が『もう辞めとけや』っていう空気になってまでやるのは嫌やなっていうのがあったんです。で『辞める』っていうたら、このオファーを貰って。そこはもうメチャクチャやりたかったんで、速攻で『やります』ってなりました」
──実際にオファーがあったのはいつ頃なのでしょうか。
「まずグラジエイターで負けた次の日に、佐伯(繁DEEP代表)に『辞めます』って電話したんですよ。それなら『エキシか引退式をやろう』って言ってもらえて。引退式は有難いですけど、エキシは絶対に嫌ですっていう話をさせてもらって(笑)。エキシって、寒いじゃないですか」
──その気持ちは分かります。見ている方も、初っ切りまでやってくれないとどう見て良いか分からないですよね。それから引退ミット打ちとか、ガチの組み技スパーリングの方が分かりやすいです。
「皆が試合機会を奪い合っているケージの中で、そんなお遊戯みたいなことせんでエェやんって。しかも名前のある選手なら分かりますけど、僕のエキシ見て嬉しい人って身内だけですからね」
──いずれにせよ、引退式を行うことを受け入れるぐらいの気持ちになっていたのですね。
「僕が試合をやりたいと思う理由はRIZINに出たいからであって、そこに行き着くには時間が掛かる。その時間が掛かるなかで周囲の目、ジムの皆の目を気にせずにやれるかって考えたら、気になるなぁって思っていたので。で一旦そこで電話を切ったのですが、ハマちゃん(濱村健TRI Hスタジオ代表──京都成蹊館から吉田道場、ハニートラップ~TRI Hスタジオと常に釜谷と行動を共にしていた)から電話があって『神戸でRIZINがあっても引退でえぇの』って言われたんです。
それは勿論出るやろ。辞めるわけないやんって。『なら神戸であるかもしれん』ということがあったので、その日から練習を再開していました」
──釜谷選手はRIZIN、RIZINと言いますが、RIZIN TRIGGERですよね。規模も出場選手も違うブランドです。地方在住選手が大挙出場するナンバーシリーズとは明らかに違う大会でも、やはりRIZINという風に捉えることができるのですか。
「あのう……そんなのは正直、僕からしたら何でも良くて。今、RIZINに『お前で、出れるんや』っていう選手が出ているんで」
──あぁ確かに。
「正直、強さだけでなく、試合がオモロイ、面白くないだけでもない。興行的な部分で、こういう機会が巡ってきました。でも、やっぱりRIZINっていうだけで回りの人の反応が違います。長年僕を応援してくれた人が、喜んでくれるんです。今、指摘されたことが分かるのは競技者や業界の人であって、見ている人はそういうのはあんまり関係ないですよね。
それは対戦相手が強いかどうかまで含めて。僕が韓国でカン・ギョンホとか、イ・ユンジュンとやるより、RIZIN TRIGGERでダイキ・ライトイヤー選手と戦う方がスゲェってなるじゃないですか、多くの人は。僕はそういう人たちに支えられてやってきたので、そういう人たちが喜んで欲しいという気持ちがめっちゃあります」
──TRIGGERに出てハイキックでKOしたり、ギロチンで一本勝ちしてRIZINナンバーシリーズに出たいという野望も持ってダイキ・ライトイヤー戦に臨むのでしょうか。
「当然ですやん。当然ですやん」
──繰り返しましたね(笑)。
「だって限界やと思ったんじゃなくて、時間が足りへんから引退しようと思っただけなんで。辞めていても練習はするし、格闘技は好きなままやろうし。僕のなかで最高の舞台を与えてもらえるなら、続けます。でも最低限、次の試合はクリアしないと……とは思っています」
──ではダイキ・ライトイヤー選手の印象を教えてください。
「一発が各所である選手。試合を終わらせることができるシチュエーションを持っているけど、レコードを見る限り自分の形にはめ込むことが上手いタイプではないと思うてます。ただ、ここ最近では田丸(匠)君にしか負けていないですよね(※2020年12月20日)。ハマれば強いと思います。
でもダイキ・ライトイヤー選手云々より、自分がどうするかです。9月の試合みたいなことになったら絶対にアカン。ホンマにそこなんです。めっちゃ続けたい気持ちがありますけど、これが最後やという気持ちも8割ぐらいあります。ここで一生懸命やって先に何か見えたら嬉しいなぐらいで、ここに掛けてやっています。別に先を見ているわけじゃないです」
──選手は練習ではもっとできている。こんなものではないという風に思うものです。ただし、正解はケージのなかにある。ケージのなかのパフォーマンスで、進退を考えるべきだと自分は思っています。
「ホンマ、そうです。ホンマにそうです。だから9月の試合みたいにならんようにしないと。あの時は竹本君がグラップリングに偏った選手で。どの試合を見ても1Rが一番勢いがあります。加えて計量をミスっていたし、1Rさえ凌げば負けることはない──そういう想いで入って、受けちゃいました。それを本当に後悔しています。
練習の時から凌ぐことをメインに考えてしまっていました。もちろん、そこも大事なんですけど、どうやって自分をぶつけるかということを掘り下げて準備していなかったです。漠然とミットをやって、ガチスパーも1回しかしていなくて。一本を取られないと勝てると過信してしまっていました。
そうしたら、これまでにない形でテイクダウンをされて、もうそこは竹本君のフィールドでした。
だから、今回は自分のやりたいことを貫く練習をしてきました。で、僕のやって来たことを出せば絶対に勝てると思っています。そこは自信があります。ただし、開始早々に右を貰って倒れるかもしらないです」
──そうなったら、そうなったときですし。試合なのでどんなことも起こり得ます。
「ハイ。それが勝負なんで。ただ話を貰った時から、今まで1ミリも無駄にしていないです」
──東京にも練習に来ていたようですね。
「ハイ、3度。水・木・金と東京で練習しました。先々週、先週、今週と」
──つまり3度、東京に通ったということですね。
「ハイ、水曜日の朝にここで指導してから新幹線に乗って東京に行って、夜に竜っちゃん(和田竜光)とかとTRI Hで練習して、門仲でお世話になっていた先生に時間外で体を診てもらいもしました。木曜日は昼にTRIBE TOKYO MMAで練習し、夜はTRI Hで少し体を動かして。金曜日の朝に竜っちゃんとボクシングのスパーをしてから、京都に戻って指導っていう風にやってきました。やれることは全部、詰め込んで」
──これまでMMAPLANETの読者は甲子園に行く前の西京極での予選を戦う釜谷選手を追っていた読者です。そんな人達に、最後に一言もらえますか。
「これも甲子園に例えると、僕は21世紀枠やないですか? 21世紀枠って初戦に勝たないと、甲子園であって甲子園じゃない感覚があります。だから僕もRIZINに出たんやでっていうためにも、21世紀枠で勝利したい。2回戦があってもなくても良いんです。初戦を勝って甲子園に出たと思えるようになりたいです」
──さきほど8割はこれで最後だという気持ちでいると言われていましたが……。
「最後になるのはメッチャ嫌ですけど、これが最後でも仕方ないし、最後にこんな舞台でやれて光栄やっていう気持ちもあります。その光栄やって言う気持ちを守るんじゃなくて、攻めるほうで全開に出し切って、『ヤバい、死んでまう』って言うぐらいに。それぐらい全力で戦います。
よく夢を叶えた人は、『諦めずに努力をし続けたから叶った』って言うじゃないですか。僕もこんなんでも、夢が実現するようやってきました。その姿を見続けてくれた人たちに……上手いこと纏められないですけど、ラッキーで出られた僕をもうちょっと見てほしいなって……何か見せたいなって思います」
──ありがとうございます。いつも〆コメを決めてくれる釜谷選手にしては、珍しいですね。
「ハイ……なんか、この気持ちは纏めらなかったです」
■視聴方法(予定)
11月28日(日)
午後2分~Exciting RIZIN
午後2時~RIZIN LIVE
午後2時~スカパー!
■ RIZIN TRIGGER01対戦カード
<フェザー級/5分3R>
昇侍(日本)
萩原京平(日本)
<68キロ契約/5分3R>
堀江圭功(日本)
中田大貴(日本)
<ウェルター級/5分3R>
ストラッサー起一(日本)
川中孝浩(日本)
<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
木下憂朔(日本)
<バンタム級/5分3R>
獅庵(日本)
魚井フルスイング(日本)
<フライ級/5分3R>
竿本樹生(日本)
松場貴志(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
山本空良(日本)
<73キロ契約/5分3R>
奥田啓介(日本)
グラント・ボグダノフ(米国)
<バンタム級/5分3R>
釜谷真(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)
<キック53キロ/3分3R>
政所仁(日本)
平松侑(日本)
<キック61キロ/3分3R>
市村大斗(日本)
テーパリット・ジョウジム(タイ)
<キック46キロ/3分3R>
百花(日本)
未來(日本)
<バンタム級/5分3R>
加藤ケンジ(日本)
藤原克也(日本)
<キック55キロ/3分3R>
森井翼(日本)
FUJIMON♡(日本)