【PFL2021#10】ウェルター級2連覇へ、レイ・クーパー3世「豪華な設備は必要ない。練習はガレージで十分」
【写真】取材後にハワイからフロリダへ。同じ米国内でも6時間も時差がある(C)Zuffa/UFC
27日(水・現地時間)、フロリダ州ハリウッドのセミノール・ハードロックホテル&カジノでPFLのシーズンファイナル=PFL2021#10 「Championships 」が開催される。
5階級のファイナルが行われるPFLのシーズン掉尾を飾る大会で、ブラダボーイことレイ・クーパー3世が、2018年シーズンファイナルで敗れたマゴメド・マゴメドカリモフとウェルター級二連覇を掛かったリベンジマッチに挑む。
父はハワイアンMMAのパイオニア=レイ・ブラダ・クーパー、その父と弟2人の計4人で、ガレージでトレーニングをブラダボーイはローリー・マクドナルドを完封するなど、ワイルド一辺倒から高いステイビリティを誇る成熟したファイターに成長した。
シンプル・イズ・ザ・ベスト、ハワイアン・ロコを代表してブラダボーイがデカゴンに足を踏み入れる。
──6日後にマゴメド・マゴメドカリモフとPFL2021シーズンファイナルを戦います。(※取材は10月22日に行われた)今の気持ちを教えてください。
「良い感じだよ。もう準備はできている」
──今シーズはレギュラーシーズン2戦目が計量失敗で、勝ってもマイナス1点。負けてボーナスポイントを対戦相手のニコライ・アレクサヒンに与えるケース、または勝っても獲得ポイントは5Pで終了し、サディボウ・シとカーティス・ミランダーが強豪ロシアンをフィニッシュするような事態になれば、プレーオフ進出ができないという危機的状態に陥りました。
「とにかく試合に勝つことに集中したよ。神経質になることもなかった。対戦相手のニコライ・アレクサヒンに勝ち点3もボーナスPも与えないこと、他の選手は僕よりポイントが低かったし、目の前にある試合に勝つことに集中していたんだ」
──あの試合内容を見ると、体調不良でないことは分かりました。なぜ、大切な時に減量失敗というミスを犯してしまったのでしょうか。
「水抜きを早くし過ぎてしまった。そして水分補給も早過ぎた。タイミングを間違い、突然、全く水が抜けなくなってしまったんだ。僕のミスだよ。体は水分を欲しがるから、早く水抜きをするような間違いはもう絶対にしない。減量方法は変えてはいなかった。ただ、早く水抜きをしたことで、水分補給がいつもと違ってしまって。もう、あんなことはしない」
──結果的にプレーオフ進出を果たし、準決勝ではキャリア最高のビッグネームと言って良いローリー・マクドナルドを完封しました。
「ローリーはこのスポーツのレジェンドだから、勝てた意味は凄く大きい。何よりも彼は今もトップの1人だ。その彼を完全に支配できた。ローリーはスタンドでも手がでないし、レスリングでも僕が圧倒した。結果、僕がウェルター級の世界のトップだと証明できる試合になった。自分の力を信じていたし、勝つと思っていたけど、やり切ったという気持ちが大きなファイトだったね。大きな意味を持つ勝利だ」
──決勝で戦うマゴメドカリモフには3年前のファイナルで敗れ、2年前はプレーオフの準決勝を彼が棄権をしました。このような過去があり、ブラダボーイは常に彼との対戦を望んできました。
「2年前、プレーオフの2試合目で戦うはずだったけど、初戦で消耗していたから彼は勝てないと判断したんだろうね。僕との試合を避けた。今回はファイナルだし、そういうことは起きない。シーズンファイナル、最後の試合、最高の舞台だ。あの負けを払拭する勝利を手にする」
──3度目とはいえ目の前に100万ドルがあると、精神的に何か影響はないでしょうか。
「3年前より大人になった。自分のエゴに従って、パンチを大振りするようなことはなくなったよ。ミスをしないよう戦う、それがファイターとして成長した点だと思う。状況判断をしてパンチを放つようになったし、よりテクニカルになっているよ」
──今は3年前より100万ドルの賞金を気にせず戦えるということでしょうか。
「賞金のことは考えていないよ。ファイトに集中している。この階級のベストファイターと戦うんだから、とにかく自分をプッシュすること。いつの日か、ウェルター級のベストファイターになるためにもね」
──2年前に100万ドルを手にしても、その考えは変わらなかったということですね。
「100万ドルを獲得して、練習に身に入らなくなるとか、戦うモチベーションが落ちたとかは一切ないよ。100万ドルが手に入ったことは家族と生きていくことを考えると、もちろん嬉しかったよ。だからって僕の生活スタイルが変わるわけじゃない。派手な生活なんて一切送って来なかったし、何も変っていないよ。
人としてハンブルなままでいたいんだ。時間を無駄に使う様なことだけはしたくない。練習もガレージで続けているし、父の練習方法も一切変わっていない。豪華な練習設備なんて要らないし、走るのは家の外で十分だ。ガレージのマットでレスリングのスパーリングをして、打撃の練習をし、ウェイトを挙げる。科学的なトレーニングは僕には必要ない。
結局、ハードなランニングとハードなスパーリングをするにことに変わりはない。マシーンで使って行うことは、マシーンなしでやり切れるんだよ」
──ガレージで行う父、そして弟との練習で、マゴメドカリモフ戦への対策練習はできるのですか。
「父と2人の弟、それで十分。誰も僕らの練習に来てもらっていない。ジム内で身内だけでやる練習が好きなんだ。僕はそうやって生まれ育った。他の選手たちと練習しようとは思わない」
──マゴメドカリモフのようなサイズが弟たちはあるのでしょうか。
「ノー。2人は僕より小さいよ。でも対戦相手じゃないないんだよね、試合は。僕がどう戦うか、だから。ハードな練習をして、グッドシェイプでいること。そして戦う。自分をしっかりと創り込むことができれば、相手が何をしてこようが関係ない。関係してくるのは僕が何をするのか、だよ」
──その考えはもちろん、ブラダボーイの信条だと思いますが、皆に共通することだと思いますか。
「それは分からないよ。僕は僕のことを考えて、こうしているんだから。大きなジムより、ガレージで練習する方が好きなんだ。だから他の人がどうかっていう問いに対して、答を持たない。ただ自分らしくやっているだけだよ。
普段も家族と一緒にいるし、友人も多くない。家族が一緒にいる──それ以上のことを望むことはないからね」
──では、そうやって自分を貫いてきたブラボ―イはマゴメドカリモフのことをどのようなファイターだと考えていますか。
「前に戦った時と何も変わっていない。同じファイターだ。ひたすらレスリングを仕掛けてくるだろう。レスリング勝負がお望みなら、レッスルするよ。どの局面でも僕は戦うことができるから」
──ブラダボーイ自身は2018年の大晦日にマゴメドケリモフと戦って以来、どこが一番成長したと思いますか。
「ラッシュをしないで、パンチを打つことに対して我慢できるようになったこと。もう少し我慢強く戦うことができていれば、前回の試合も勝つことができていた。それなのにフラストレーションがたまってミスを犯してしまった。もっと我慢強く、成熟した試合を見せる。そうすることで、試合は楽になるんだ。自分のアグレッシブな性格をコントロールして戦えば、勝機は確実に広がって来るからね」
──シーズン2連覇、それともリベンジ。どちらにより比重がありますか。
「タイトルを獲ることだけを考えて戦うよ。2021年のウェルター級世界チャンピオンという称号を得るために、マゴメドカリモフと試合をする。今年の4試合目で、最後の試合だ。ここまで本当に調子よく戦えた。これを続けるだけだよ。それが一番大切なことだよ」
──仮にPFLウェルター級2連覇を成し遂げた場合、3連覇を目指しますか。それともUFCのドアを叩くのでしょうか。
「まだ、そこまでは考えていない。そうなった時には父やマネージャーと話をする。今はそこを考える時じゃないし、試合に集中するよ。とにかく時が来れば、自分にとって正しいと思われる選択をすることだけは確かだよ」
──ブラダボーイ、今日はインタビューを受けてもらいありがとうございました。
「こちらこそありがとう。僕はルミナ・サトーやタカノリ・ゴミの試合を見て育った。父は彼らとレスリングの練習をしたこともある。僕にとって父のように日本で戦うことが夢なんだ。さいたまスーパーアリーナで戦いたいと思っている。サンキュー」
■視聴方法(予定)
10月28日(木・日本時間)
午前5時30分~Official Facebook
■ PFL2021#10対戦カード
<女子ライト級決勝/5分5R>
ケイラ・ハリソン(米国)
テイラー・ゴールダード(米国)
<ウェルター級決勝/5分5R>
マゴメド・マゴメドケリモフ(ロシア)
レイ・クーパー3世(米国)
<女子ライト級/5分3R>
クラレッサ・シールズ(米国)
アビゲイル・モンテス(メキシコ)
<ヘビー級決勝/5分5R>
ブルーノ・カッペローザ(ブラジル)
アンテ・デリア(クロアチア)
<フェザー級決勝/5分5R>
モヴィッド・ハイブラエフ(ロシア)
クリス・ウェード(米国)
<ライトヘビー級決勝/5分5R>
アントニオ・カルロス・ジュニオール(ブラジル)
マールシン・ハムレット(ノルウェー)
<ライト級決勝/5分5R>
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)
ハウシュ・マンフィオ(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
オマリ・アクメドフ(ロシア)
ジョーダン・ヤング(米国)
<女子ライト級/5分3R>
ジュリア・バッド(カナダ)
ケイトリン・ヤング(米国)
<ライト級/5分3R>
ドン・マッジ(南アフリカ)
ネイサン・ウィリアムス(米国)