【Pancrase323】夢は続く、パンクラス初陣。漆間將生─01─「EXFIGHTの環境に甘えてしまっていた」
【写真】DREAMERS出演者たちのPOST DREAMERSが、それぞれ始まっている(C)MMAPLANET
12日(日)、東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるPancrase323で、格闘DREAMERS出身の漆間將生がパンクラス初戦=高木凌戦に挑む。
Text by Shojiro Kameike
昨年パンクラスのプロライセンスを取得し、大阪のMMA大会WARDOGでプロデビュー戦を行ったあと、格闘DREAMERSに参加した漆間。第一次オーディションからその実力者振りが注目されていたが、徐々に調子を落とLDHとの契約を得ることはできなかった。
今回、改めてKRAZY BEE所属としてパンクラスでキャリアの仕切り直しの一戦に臨むことになった漆間が、格闘DREAMERS後、揺れ動いた心境について語ってくれた。
――ABEMA『格闘DREAMERS』を経て、12日にパンクラス出場が決まりました。今回から所属がKRAZY BEEになっているのですね。
「DREAMERSに参加する前は、鹿児島の桂塾というジムにいたのですが、DREMERSが終わってからKRAZY BEEに移籍しました。DREAMERSの時、KRAZY BEEの高橋遼伍さんがEXFIGHTジムの練習に参加されていたことがキッカケです」
――なるほど。
「KRAZY BEEには同じ鹿児島出身の大木良太さんもいらっしゃって、『KRAZY BEEのプロ練にも来なよ』と誘っていただいたんです。僕、もともとKRAZY BEEが好きだったんです。鹿児島時代は、矢地(祐介)選手と同じスパッツを履いて試合に出ていました(笑)」
――それだけ好きだったのですね(笑)。
「そうなんです。DREMERSが終わったあと、髙谷(裕之)さんからは『EXFIGHT所属でやっていかないか?』とお誘いいただいたんですけど、辞退しました」
――その時には、KRAZY BEEへの移籍を決めていたのですか。
「いえ、その時はまだ決めていませんでした。実はDREAMERSが終わったあと、自分の中でモチベーションが下がってしまい、鹿児島に戻って他の仕事をしていたんです」
――……格闘技から離れてしまっていたのですか。
「DREAMERSで、自分は3試合して3連敗でした。最後の試合(最終審査で吉村海飛と対戦して判定負け)は、所属よりも勝ちが欲しくて挑みましたが、判定で負けてしまい……そこで格闘技が嫌いになったというか」
――自分の中でも大きなショックを受けたのですね。
「それで1カ月ぐらい鹿児島にいたのですが、体重が80キロぐらいまで増えてしまって(苦笑)」
――えっ!? もともと通常体重は何キロだったのでしょう?
「60~70キロぐらいです。こんな体になったら、もう格闘技も無理かな……と思いました。それでも周りの人たちは僕のことを応援してくれている。もう一度、その人たちのために頑張りたくて、東京に戻ったんです」
――そこで、KRAZY BEEに入ることを決めたのですか。
「DREAMERSの頃から、EXIFIGHTでのサポートは、ありがたかったです。でもサポートしてもらってばかりだと、自分に甘えが出ると思いました」
――甘え、ですか……。
「DREAMERSの時は、自分でも殻が破れていないように感じたんです。それはEXFIGHTジムという環境のせいではなく、僕がEXFIGHTの環境に甘えてしまっていたんですよね。格闘技をやるからには心機一転、新しい場所で挑戦してみようと思いました」
――なるほど。格闘DREAMERSに参加期間中だった4月にはEXFIGHTのアマチュア大会に出場し、原口伸選手と対戦していますよね。
「原口選手、GrachanでKO勝ちしていましたね。試合の記事は見ました。僕はもともとパンクラスのプロライセンスも得ていて、大阪のWARDOGでもプロの試合を経験していたんですが(2020年1月、岩本ひろしに判定勝ち)、高谷さんには『今のままプロの試合に出ても通用しないよ』と言われていました。
僕としてもレスリングで足りていないところもあるし、プロの試合に出るには不安だったので、EXFIGHTのアマチュアマッチに挑戦させてもらったんです」
――すると、対戦相手は元レスリング全日本王者の原口選手に……。
「岡見(勇信)さんからは、『とっておきの選手を当てたよ』と言われました(苦笑)」
――厳しいですが、そういった試合が漆間選手の育成に必要だったのでしょうね。
「相手がレスリングを生かして寝かせにきても、すぐ立ち上がる自信はありました。でも開始早々、飛び前蹴りを出したら、相手の口に当たって血だらけに……。それを見て、僕も感覚がフワフワになってしまったんです」
――流血に気後れしてしまったのですか。
「相手がパウンドを打ってくるとき、血が落ちてくるんですよね。それで僕も焦ってしまいました。今までそういう展開を経験したことがなかったので……」
――その話を伺って、格闘DREAMERSの一場面を思い出しました。エピソード4の安永吏成戦で、漆間選手が相手の負傷している左足を抱えながら手を離したのを見て、髙谷さんが「優しい奴だ」と言っていましたが……。
「そうなんです。それは良い印象ではなく、悪い印象だと思っています。安永選手とは合宿中に仲良くなり、左足を怪我したのも知っていました。試合中も、相手のケガのことを考えながら戦っていました。それじゃダメなんですよね」
――格闘技の試合では、その行為が優しさだとは限らないですからね。
「地元の友人からは、『東京に行ってから顔つきが優しくなった』と言われます(苦笑)。昔は尖っていたんだと思いますけど、東京ではイチから学ぶわけですし、下の立場から行こうとばかり考えていました。それで優しくなったとか、丸くなったとか言われているんでしょうね」
――格闘DREAMERSを経て、その気持ちは変わったのでしょうか。
「実はもともとバンタム級だったんですけど、原口選手にリベンジするためにフェザー級に上げたんです。原口選手だけでなく、ここまで負けた相手全員に借りを返しますから」
<この項、続く>