【WEC47】MMAイノベーション、クルーズが王座戴冠
■第11試合 WEC世界バンタム級選手権試合/5分5R
[挑戦者]ドミニク・クルーズ(米国)
Def.2R終了/TKO(レフェリーストップ)
[王者]ブライアン・ボーウェルズ(米国)
【写真】ユライア・フェイバーに敗れ、バンタム級に転向後、5連勝で王者に登りつめたドミニク・クルーズ。初防衛戦は、昨夏に好勝負を繰り広げたジョセフ・ベナビデスとの再戦か―― (C) ZUFFA
まずはオーソドックスで構えたクルーズが、スイッチを小刻みにいれながら右ローを放っていく。飛び込むクルーズに、パワー溢れる右カウンターを放つボーウェルズ。しかし、右フック、右ハイと空振りに終わり、クルーズの右を受ける。
スイッチを繰り返し、蹴り技、パンチを振るうクルーズだが、打撃を打ち終えた時点で少しでも動きを止めると、ボーウェルズも右を放っていく。
一瞬たりとも目が離せない展開のなか、ボーウェルズが前に出るとクルーズは右フックをヒットさせる。上体を大きく揺らす挑戦者に、ボーウェルズはボディを打ち込む。再び、カウンターにカウンターを合わせるようにクルーズの右がヒットするが、ボーウェルズは強引にラッシュ。と、待っていましたとばかりにクルーズはテイクダウンを奪取する。
ボーウェルズがフックガードを見せると、無理せず立ち上がるクルーズ。チェスマッチは、チャレンジャー優勢の印象を残し最初の5分間を終える。
2R、すぐに右を効かせるクルーズ。王者が前に出るところにリズムよくパンチを放ち、動きが止まるとローを蹴り込みペースを落とさない。ボーウェルズは左右のフックから、ローを放つも完全にバランスを崩す。右足で踏み込み、そのまま右側に流れて間合いを外したクルーズは、再び強烈な右ローを叩きこむ。
すると、軸足に重ねて蹴りを受けたボーウェルズの踏み込みが甘くなり、案の定、王者のテイクダウン狙いをクルーズは苦もなくカットする。
直後、クルーズがヒザ蹴りを見せた際、足の甲がボーウェルズの股間を直撃し、試合は一時中断。再開後、前に出た王者のボディにヒザを入れたクルーズは、ローからパンチにつなげ、コンビネーションをもう一段シフトアップする。左フックをヒットさせたボーウェルズだが、追撃はなくまたも右を受けると、ラウンド終了直前にもテイクダウンを許し、ペースを握られたまま2Rを終える。
インターバル中にドクターが、試合をストップ。ボーウェルズが拳の負傷で試合続行不可能と判断され、唐突に試合は終わり、館内はブーイングで包まれたが、ローキックのダメージで試合続行が不可能になったかと思われるほど、クルーズはパーフェクトな試合を見せており、MMAの打撃が新しい時代に突入したかのような印象を受ける新WEC世界バンタム級チャンピオン誕生劇だった。