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【Special】WithコロナのJ-MMA─03─Grachan岩崎ヒロユキ代表に訊く「考えれば、考えるほど出てきます」

【写真】アイデアで勝負してきたGrachan、コロナ禍でも考えるということに変わりはない(C)MMAPLANET

COVID19のパンデミック、地球はニューノーマルの時代を迎えた。日本でも4月と5月の緊急事態宣言を経て、6月から経済活動が再開も、事態が終息することはない。

MMA界はかつてない状況のなかを生き抜く努力をしている。MMAPLANETでは各MMA大会の主要人物に新型コロナウィルス感染に関しての現状とこれからを尋ねた。

3人目は──3月1日以来のイベントを20日(日)に東京都大田区の産業会館PIOで開くGrachanの岩崎ヒロユキ代表の話を訊いた。


──グラチャンは3月1日に大会を開いて以来、実に半年振りの活動再開となります。

「うちの会社としてイベントが中心ですので、グラチャン、おやじファイト然り、アジア戦略を掲げて昨年1年で種まきをしてきたモノがストップしてしまいました。

今回イベントを開くのに根拠はないんです。根拠はないのにやって良いのかという部分なのですが……以前、入院中にとある大会で勇気をもらいました。提供している側が、格闘技から勇気をもらうってなかなかないことだと思うんです。そこで『俺、感動したな』って。

だったら作り手の僕が、1人でも多くの人に感動を与えないとなっていうメッセージを貰ったんです。それがやるっていうきっかけですね……腹を括ってやろうという」

──その件がないと、活動再開はもっと先になっていたかもしれないですか。

「やっていたとしても、あやふやの意志だったかもしれないです。やはりパンクラスで大会当日に中止とかなると、心のブレが起きたかもしれない。でも、今の僕にブレはないです」

──屋内のイベントでお客さんを入れている。格闘技にしても日本、そしてより少ない数でポーランド、ドイツ、タイの大会ぐらいかと思います。

「日本の大会が限定でも客入れが真っ先に始まったのは感染状況と医療体制の現状において、国のガイドラインに則しているのはあるとしても、やはり無観客で活動が維持できるだけの企業やTVの後ろ盾などがないからですよね。

UFCやONEはいうに及ばず、韓国でAngel’s Fightの方々とミーティングをしている時も、日本はお金が格闘技に回ってこない。それを感じました」

──だからこそ、感染予防対策という部分が重要になってきます。

「そうですね。まず試合数ですね。試合数が増えるとリスクが増えます。山崎レフェリーが歯科医で、ずっと気付いたことを意見交換してきました。

真剣に考えれば、考えるほど色々と出てきます。それが精いっぱいすることだと思います」

──岩崎さんが今大会に向けて、どのような取り組みを行ってきたのかをお伺いさせてください。

「まず前日計量を、出場選手が一つの部屋に集まって行うということを考え直しました。場所も従来は新宿のパセロさんにお借りしているのですが、何かしらあると迷惑が掛かります。それは産業会館PIOも同じです。

何かあった時に誰にも迷惑をかけない場所はどこになるかと考えた時、それならウチの事務所でやろうと……そういうことにしました。そこで時間差を設けて、計量も行います。20分で時間を割って選手とセコンド1人ずつに来てもらって。計量にはドクターに立ち会ってもらって抗原検査を行います」

──前日に抗原検査ですね。

「ハイ。そこで陽性だった選手は当然、試合出場はできないです。セコンドが陽性だった場合は、代わりのセコンドに就いてもらいます。

リングに入れるのは検査で陰性だった選手とセコンドだけです。陽性だった人は、そこから保健所に連絡をしてPCR検査という運びになるでしょうし、当然のように自宅待機をしてもらい自己隔離になるので、会場には来ません。

代わりのセコンドの検査は大会当日になってしまいますが、会場入りする前に抗原検査を受けてもらいます」

──そうすることで仮に抗原検査で陽性だった人がいても、大会を開くことはできると。

「ウチは抗体を何度もできないですしね。PCRもそこまで体制が整っていないなか、抗原検査を前日に行うことが現状でのグラチャンでの最善策です」

──マスク着用、手指消毒、密を避けて旅行に行きましょう。外で食事をしましょうという社会のなかで、客席を減らして検温、消毒をし、マスクをつけての観戦。Go Toトラベルがあるのだから、そのようにプロモーターがビジネスをすることも認められて然りだと私は考えています。

「MMA界には大会中止という前例ができました。そこから業界全体で学ぶ必要があります。お客さんに関しても来場されるファン全員の名簿作成に必要なフォームを創りました(※9月17日が締め切り)。

会場入口で記入内容の通知メールか、スクリーンショット画像をスタッフが確認致します。記入や送信ができない方は手書きで住所・氏名・連絡先をチケットの半券(回収される側)に持参してもらうか、当日会場で記入してもらいます。

結果、入場に時間を要してしまう可能性があるので、そこはお客さんに申し訳ないです」

──致し方ないことです。それがニューノーマルのグラチャンということですね。

「ケージサイドスタッフもマスクとフェイスシールドの着用義務があります。とにかく、この状況で最善を尽くして20日はイベントに臨むようにします」

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