【EBI JJOT】初のオーバータイム柔術はクレインステインが優勝──も、はやりプロセスが見たい
<フェザー級OTT決勝>
イーサン・クレインステイン(米国)
Def.
キース・クリコリアン(米国)
EBIルールのオーバータイムだけで争われる今回のフェザー級トーナメント。
1回戦はスペンサー・マミーがフランク・ローゼントール、エリアス・アンダーソンがゲイブリエル・デフロン、マイク・デヴィラがジェフ・リアル、イーサン・クレインステインがサージオ・フェルナンデス、キース・クリコリアンがコディ・オーウェン、ジョン・バトルがドニー・オルテガ、マイケル・カリアーがマルセロ・コーン、パブロ・アルフォンソがルイス・キニョネスを破り、準々決勝へ。
準々決勝ではアンダーソン、クレインステイン、クリコリアン、アルフォンソが勝ちあがる。
準決勝第1試合では先攻のクレインステインがシートベルトを選択し、最後に腕十字に移行もアンダーソンが2分間を防ぎきる。後攻アンダーソンはスパイダーウェブを選び、クレインステインがエスケープに成功する。2本目、クレインステインはバックで15秒でRNCを極め、アンダーソンのバックから逃れて決勝進出を決めた。
続いてクリコリアンとアルフォンソのセミファイナルは、先攻のアルフォンソがスパイダーウェブをチョイスし、腕が伸びかけながらクリコリアンは立ち上がってエスケープした。そしてバックを選択したクリコリアンは、10秒でRNCを極め決勝はクレインステイン✖クリコリアンという本命4人のうち2人が戦うことになった。
コイントスで先攻となったクリコリアンはバックを選択、四の字ロックに対してクレインステインが上半身を左右に激しく揺らしたがエスケープを決めた。後攻のクレインステインもバックをチョイスし、クリコリアンがロールして逃げるとマットの端でフリーズとなり、中央で再開される。ロールにも背中に乗り続けるクレインステイン、再びマットの端からセンターに両者が戻される。前方に落とされそうになったクレインステインは腕十字に移行も、ここでクリコリアンがエスケープした。
2本目もクレインステインは30秒と掛らずバックから逃れたクレインステインに対し、クリコリアンはロールでマウントを取らせた8秒で逃れた。OT3本目、クリコリアンはネッククランク気味で絞めにいくが、クレインステインはヒジを押して逃れ胸を合わせる。後攻クリコリアンはすぐに右に連続でロールし、さらに左に回るがクレインステインは背中の張り付いたままだ。ようやく胸を合わせ、クレインステインが腕十字を仕掛けたところでクリコリアンが腕を抜いて試合終了。結果、エスケープタイムで優ったクレインステインが柔術オーバータイム・フェザー級トーナメントを制した。
MMAを通じで柔術が世界の格闘技界に与えた影響はポジショニングだった。グレイシーとしては、その先の極めも重視したが──それはポジショニングを彼らが既に理解し、使いこなせていたからだ。極めだけはあった他の組み技格闘技、初期のMMAを目指す者はポジションの修得を目指した。その後、競技柔術は世界的な広まりを見せてポジションで完結する戦法も出てきたために、ノーポイント&サブオンリーというグラップリング大会が注目されるようなり、IBJJF競技柔術が禁止としている技術が発展した。
とはいえサブミッションを仕掛けるまでには位置取り、抑え込みだけではなくその形に入るプロセスは欠かせない。柔術でもグラップリングでも、その経緯があってフィニッシュがある──ことが、試合経過に多様性がない15試合を見て再確認できた。そしてイーサン・クレインステインとキース・クリコリアンのグラップリングマッチが見てみたい。