【UFC251】勝ちにいかない挑戦者。手堅く戦うチャンピオン。これもコロナの時代の世界戦か……
<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
カマル・ウスマン(ナイジェリア)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46
ホルヘ・マスヴィダル(米国)
右ロー、右前蹴り、左ミドル、左ローとアグレッシブに動くマスヴィダル。ウスマンはローをキャッチしてテイクダウンに成功する。クローズを取り下からエルボーを放つマスヴィダルに、ウスマンがパンチを落とす。上体を起こし、足を捌こうとウスマンをここでも下から殴るマスヴィダル。ウスマンは立ちあがり、起き上ってきたマスヴィダルをがぶる。マスヴィダルは離れると左ミドルを繰り出すが、既に息が荒くなっている。シングルからケージにマスヴィダルを押し込んだウスマンがテイクダウンへ。
右のパンチを顔面に入れたウスマンに対し、マスヴィダルはヒザとヒジを打っていく。エルボーを逆に受けて離れたマスヴィダルが、左ロー、左ジャブを伸ばす。さらに左フックを当てたマスヴィダルは、左ジャブに右、さらに左フックを返す。ウスマンの踏み込みに右フックを合わせようとしたマスヴィダルは、ケージを背負って前蹴り、右を見せて組まれるとそのままケージを背負ってラウンド終了を迎えた。
2R、マスヴィダルがスタミナ切れを起こすのは織り込み済みだが、初回を見る限りウスマンも決して動きは良くない。2R序盤も素早い右ロー、続いて右ミドルを蹴ったマスヴィダルは、シングルレッグから足を抜いて逃げる。右を見せて組みついたウスマン、マスヴィダルはウィザーで懸命に耐える。足の指、甲を踏むチャンピオンは細かいヒザ、ボディブローを繰り出す。
マスヴィダルも差し返しつつエルボーを入れるが、ウスマンは離れることを許さずケージに押し込み、右をヒットして離れる。すぐに組み直したウスマンは肩パンチ、眉間を切ったマスヴィダルに流血が見られる。押し込まれボディを殴られるマスヴィダルは、肩パンチ、足の甲へのスタンプと細かい攻撃を受け続ける。残り40秒で離れたウスマンはマスヴィダルの蹴りからパンチに頭を振って、左を伸ばすが届かない。最後に右ボディを入れたウスマンだが、両者揃って動きは非常に重かった。
3R、マスヴィダルが右ロー、ウスマンは距離を詰めてエルボー、必死に捌こうとするマスヴィダルをケージに押し込む。ヒザを見せるマスヴィダル、ヒジを入れたウスマンは離れて右を振るう。遠い距離でのパンチは、マスヴィダルが蹴りで対抗する。と、組んでクリンチのウスマン。ボディを狙ったパンチを急所とされてブレイクを命じられる。
休んで息を整えるマスヴィダル。とてもUFCの世界戦とは思えない、厳しい内容だ。再開後、マスヴィダルの右にダブルレッグを合わせたウスマンがテイクダウンに成功する。ウスマンはマスヴィダルを立ち上がらせて、右を差しあげてテイクダウンを再び決める。一瞬ロールしたマスヴィダルは、バックを取られることを嫌がりガードへ。手首を掴むマスヴィダルに対し、ウスマンはヒジを入れて攻撃を締めた。
4R、右ボディ、右ミドルを入れたウスマンが、シングルレッグでドライブしてケージへ。王者がワキ腹を殴り、マスヴィダルがヒザを返す。離れたウスマンがダブルレッグを決め、ギロチンを防いで立ちバックへ。マスヴィダルが胸を合わせると、ウスマンは肩パンチ、スタンプを繰り出す。さらにダブルレッグ、左右のフック、再度ダブルレッグと攻めるウスマンだが、マスヴィダルが力を入れて細かいパンチを見せながら離れる。スピニングバックフィストは空振りとなったマスヴィダル、自らケージを背にした位置を選択して蹴りを繰り出す。ウスマンは右、続いて左フックを当てて組みへ。そのままウスマンはタイムアップまで1分以上、押し込み続けた。
コロナ禍のUFCでは、世界戦も3Rで良いのではないかと思いたくなる一戦は、最終回へ。互いにジャブを伸ばし、ウスマンが左フック、右を振ってダブルレッグへ。ケージ中央側に頭を向けてテイクダウンに成功するが、マスヴィダルはケージに近づいていく。立たせずエルボーを落とすチャンピオン、マスヴィダルはハーフニーシールドも、反転してきたウスマンの足を抱えつつ──足首を取ることはなく、足を抜かれる。ロールから立ち上がろうとしたマスヴィダルをがぶるウスマン。立ちあがったマスヴィダルはヒザを放って離れた。
マスヴィダルは左フック、左ミドル、跳びヒザから右ストレートを繰り出す。ウスマンも右を伸ばし、ミドルキックにも右を伸ばしてタイムアップに。調整不足のなか、諦めない姿勢を見せたが、倒されても倒そうと気持ちはチャレンジャーから見えず。ウスマンも大事を取ったファイトに終始し、この状況での体調管理とコンディション創りが、UFCのトップファイターでもいかに難しいかが伝わってくる世界戦だった。
結果、フルマークの判定勝ちを収めたウスマンが2度目の王座防衛に成功した。