【Special】岡田遼が語りたい、UFCプレリミ戦─04─アレックス・カサレス✖チェイス・フーバー
【写真】ジャブで突き放し、試合を支配したカサレス (C)Zuffa/UFC
修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が語りたいUFCプレリミマッチ。
第4回からは6日(土・現地時間)のUFC250で行われたフェザー級戦=アレックス・カサレス✖チェイス・フーパー戦について話してもらった──流れで、田丸匠に対し、強烈な発言が聞かれた……。
──過去1カ月、岡田選手が気になるプレリミ2試合目は?
「カサレス✖フーパーです」
──!?
「アレっ? ピンとこないですか?(笑)」
──カサレスが完封した。う~ん、その記憶しかないですね。
「ハイ、完封でした。チェイス・フーパーって20歳で、勢いがある。UFCも将来性を買っているような感じがする選手だったのですが、カサレスが引き出しの多さと、経験値からなるMMAとしての完成度の高さで完封したというのが凄く印象に残ったんです。僕はメチャクチャ好きな試合内容です」
──その完成度の高さはとは、どういうものだったのでしょうか。
「多分、距離を取るという戦術だったと思うのですが、近づいてきたら出鼻をジャブで潰し、ステップを踏んでの空間支配能力の高さに僕は痺れました。
結果、距離をしっかりと取ってフーパーのやりたいことを何もさせませんでした。凄かったのが、初回に前に出たフーパーに右アッパーを合わせてダウンを奪ったのに、そこで攻めなかったことですね」
──あぁ、ありましたね。立たせて迎え撃つという。
「『なんで追撃しないの?』と思ったのですが、それができるのが凄いなぁと」
──う~ん、仕留めにいかないスタイルでしたね。
「ハイ。ダウンを取っても、パンチを当てていても必要以上に近づかない。勝ちに徹する姿は美しいとさえ思いました」
──なるほどぉ。そういう見方もファイターならではなのですね。しかし、岡田選手は北米MMAに毒されていますね(笑)。
「あっ、タッチ・キックボクシングMMAだけは嫌いなんですよね(笑)」
──特に倒せる時に倒しに行かない。まさにカサレスの初回ですよね(苦笑)。倒せない相手、凄くテイクダウンや寝技が強い相手にソレをするのもMMAなのですが、倒せそうな時には倒せよ……いや、倒しに行けよとは思ってしまうんです。昭和のMMAファンですね(笑)。
「戦いという部分では、その意見も分かります。ただ、僕にアレができるかというと……あのゲームはできないんです。僕なら倒しに行く」
──まさにレスリングの強い倉本選手にパンチを効かせたとき、距離を取って待つようなことはなかったです。
「そうッスね。自分なら行っちゃいます。でも、カサレスはいかずに待った。なんかMMAだからこそ、許される戦い方だし……僕は凄く惹かれました。もちろん仕留めにいくのもMMAだし、いかないカサレスの戦い方もMMAならではだと思います。
ああやって待つことができるのも、自分の技量に自信があるからだろうし……怖いから行くっていう選手は意外と多いはずです。でもカサレスはそれを天秤に掛けて、いかない方が勝率が上がると判断して、実行できている。彼の強さだと思います」
──前に出るとジャブで突き放される。テイクダウンを狙っても、スプロールされる。そういう展開になった時、岡田選手ならどういう風に試合を動かしますか。
「自分の距離が取れないときは、もうブラジル人と同じで玉砕覚悟で組みつくという選択をすると思います。パンチを貰って良いからいく。フーパーは途中から諦めて、下になっていましたね」
──アレはポイント的には。北米MMAで一番勝てない選択ですね。
「ハイ、ソレです。あの時は期待の若手も、こういうモンなんだなって。まぁ、下になるのも面白いですけどね」
──自分は酷評覚悟で、そして判定負けがまだ決まっていない時点なら見てみたい反応があるんです。
「どういう反応ですか?」
──前に出ない。待つという戦いです。
「えっ? アハハハハ。前に出るから殴られる。なら、待ってみると。それは考えなかったですねぇ。それもMMAですね。他の格闘技にはない」
──まぁ、それで負けるとリリースかもしれないですが(笑)。
「確かに(笑)。そこで出ないと……厳しい評価が待っていますね。いやぁ相当な図太さが必要です、それは。でも、全然ありですよ。
それなら無観客の方がやりやすいですね。カサレスも客がいてブーイングが起きたら、もっとレフェリーが攻めるように言われ自分から前に出てしまったかもしれないですしね」
──最終ラウンドを取っても判定で勝てないから、出るしかないですけどね。
「いやぁ、でも選択肢としてありですよ。それがMMAなので」
──やはり毒されていますね(笑)。
「アハハハ。僕もカサレスのように当てて、待って、当てて。そういう側の人間になりたいです。フィニッシュに行けるのに、ニヤニヤ笑って待ってなぶり殺しにするような試合がしたいですね(笑)。そのまま5R、そういう風に戦いたい。それも本当の強さだと思っています」
──奇しくも5Rという言葉が出てきたので……敢えて振らせていただきますが、田丸匠選手が『ランクが1位になった』とSNSで発言していたのは……これは含みがある発言だなと感じたのですが。
「あのガキ……。MMAPLANETのインタビューでアイツ、俺のことを『ボコボコにする』って言いやがって」
──アハハハ。でもボコボコじゃなくて、パカパカだったかと……。
「いや、どっちでも良いですよ。あのクソガキ……。別にやる必要あるとは思っていないですけど、やるようなことがあれば絶対に仕留めないでボコボコにしてなぶり殺しにしてやりますよ」
──そこもインタビューで生かさせていただきます(笑)。