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【LFA35】隻腕ファイター=ニック・ニューウェルが引退撤回。UFC目指し、カムバック

Nick Newell【写真】世界で彼にしかできないMMAを戦うニック・ニューウェル(C)KEITH MILLS

9日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンのアリーナ・シアターで開催されるLFA35「Newell vs Luque」のメインで、ニック・ニューウェルが再びMMAを戦う。


隻腕ファイターとしてWSOFでスター選手だったニューウェルはキャリア11連勝対決でジャスティン・ゲイジーが巻いていたWSOF世界ライト級王座に挑戦も、2RでTKO負けを喫した。その後2試合を戦ったが、2015年10月のトミー・マルセリー戦後にケージで引退を発表していた。

この時は「僕はまだ29歳だけど未来があるのに体は疲弊している。もう限界なんだ。潮時だ。お金のためにケージに入っていたんだじゃない。ファイトが好きだから、戦っていたんだ。だから、もう僕は戦えない。ケガ続きでちゃんとトレーニングができなくて、しっかり準備もできない。十分に体重も落とせない状況なんだ」とニューウェルは涙ながらに語っていた。

先天性の障害を持ち、右腕一本で戦う彼への注目度は非常に高く、ニューウェルもまたその期待に応えようと無理を重ね、首、腰、ヒザを悪くし満身創痍の状態で戦っていたという。引退宣言から2年4カ月が経過し、この間に自らのジムをオープンし体調も万全になると、1年ほど前からニューウェルは現役復帰を考えるようになった。

さらにニューウェルは練習環境だけでなく、結婚して新たな生活環境に身を置くようになっており、ダニ夫人から「やりたいことをやるべき」と背中を押してもらえたことで、今回の復帰を決意したという。

これまでのキャリアを振り返るとWSOFの権利を引き継いだPFLとの関係が気になるが、復帰に際してニューウェルは「LFAがとてもフェアで納得いく条件を提示してくれた」と語っている。LFAでMMAに復帰、当然ニューウェルは今後に関してUFC出場を視野に入れている。なんせ、昨年だけでもLFAの4人のチャンピオンがUFCと契約を果たしているのだ。

そのニューウェルはMMAFighting.comのThe MMA Hourに出演した際にアリエル・ヘルワニ記者に「UFCで戦いたい。LFA入りがUFCとの契約に直接関係しているわけではないけど、体調も万全だし今の僕ならUFCで戦える」と明言している。

復帰戦の相手は10勝6敗のソニー・ルケ、テキサス州南部やメキシコ国境、そしてメキシコのローカルショーで戦ってきた選手で今回がLFA初戦となる。いってみればニューウェルの復活祭のために用意された相手だ。それでなくてもヒジから先、前腕部の途中までしか左腕を持たないニューウェルはハンディキャップの持ち主だが、一方で彼の対戦相手は仮想ニューウェルという練習は想像でしかできない。

Newell加えてハイスクールとカレッジでレスリングを続け、柔術でも黒帯の腕前のニューウェルはギロチンやRNCを得意としているが、いってみれば彼は世界で彼にしかできないクラッチ方法の持ち主で、この形になれば彼のハンディはアドバンテージになる。さらにいえば引退後の環境でフィジカルも以前より上がっているのだから、以前よりも強くなった姿をファンに見せることができるだろう。

MMA界のジム・アボット(MLBで活躍した隻腕のピッチャー)、ニック・ニューウェルのMMAファイター人生第2章の幕が上がる。

■ LFA35対戦カード

<160ポンド契約/5分5R>
ニック・ニューウェル(米国)
ソニー・ルケ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャレッド・ヴァンデラ(米国)
ヴァーノン・ルイス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイソン・ラングリア(米国)
トーマス・ウェッブ(米国)

<フェザー級/5分3R>
チャールズ・チークス3世(米国)
リヴァウド・ジュニオール(米国)

<バンタム級/5分3R>
レオマナ・マルチネス(米国)
ケイシー・ジョーンズ(米国)

<バンタム級/5分3R>
エイドリアン・ヤネツ(米国)
ネイサン・トレパンニアー(米国)

<130ポンド契約/5分3R>
ジェイコブ・シルバ(米国)
ラウル・ガルシア(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カルラ・ヘルナンデス(米国)
チャヤニー・ヴィスマス(米国)

<150ポンド契約/5分3R>
ダニエル・ピネダ(米国)
ジョシュ・ダヴィラ(米国)

<ライト級/5分3R>
アイザイ・カブレラ(米国)
グレイグ・グローブ(米国)

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