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【UFN125】世界王座獲りへ、フライ級転向のシェフチェンコがブンブン丸カショエイラと対戦

Shevchenko【写真】女子フライ級世界王座獲りへ、その一歩を踏み出すシェフチェンコ。ケージを背負った場面があれば、必見だ (C)Zuffa LLC/Getty Images

2日(土・現地時間)、ブラジルはベレンのアリアナ・ギレルミ・パラインシでUFC Fight Night125「Machida vs Anders」が開催される。メインイベントはご当地ファイターのリョート・マチダが、10勝0敗のアリク・アンダースを迎え撃つミドル級マッチが用意されている。


そんなベレン大会に今のUFCに起こっている一つの潮流ともいれる試合が組まれた。それがヴァレンチーナ・シェフチェンコ×プリシーラ・カショエイラの一戦だ。昨年12月にTUF26の決勝でニコ・モンターニョがロクサン・モダフェリを破り、初代UFC世界女子フライ級チャンピオンの座に就いたが、この王座を狙い──バンタム級やストロー級から階級を変更するファイターが増えている。

ここ3大会でもジェシカ・アイ、キム・ジヨン、ケイトリン・チューケイギアンらがバンタム級から階級を落としフライ級デビューを飾り、キム・ジヨンに敗れはしたが五分の勝負をしたジェスティーン・キッシュはストロー級から階級を上げてきたファイターだ。

フライ級がないことでストロー級に落としていたファイター、あるいはバンタム級に合わせてきた選手が、スタートを切ったばかりで層が厚くないフライ級王座を狙い階級変更を決断する。そのような流れにシェフチェンコが乗ってきたので、TUF26勢など冷や汗モノだろう。

MMA戦績14勝3敗、UFC女子バンタム級では3勝2敗だが、その2度ともが現世界王者のアマンダ・ヌネスに喫した黒星だ。特に直近の試合=9月の世界戦では、シェフチェンコが勝っていてもおかしくないスプリット判定負けで、彼女自身は全くその裁定に納得していなかった。

2005年7月に韓国で開催されたWXFに薮下めぐみらと共に出場していた17歳のシェフチェンコ!!(右端)(C)WXF

2005年7月に韓国で開催されたWXFに薮下めぐみらと共に出場していた17歳のシェフチェンコ!!(右端)(C)WXF

さらにいえばシェフチェンコは女子フェザー級チャンピオンのクリス・サイボーグと熱戦を繰り広げた元バンタム級世界王者ホーリー・ホルムと16年7月に戦い、文句なしの判定勝ちを収めている。

ベースはムエタイの彼女は、中国のクンルンファイトで60キロの王座に就き、IFMA世界アマムエタイでは通算9度の優勝、56勝2敗というピカ一の戦績を残している。

MMAにおいてもムエタイの威力が最大限に発揮できる中間距離での打撃を、自らの仕掛けで作ることができてきたシェフチェンコは、タイクリンチというまだ女子MMAではなかなか使いこなす選手が少ない技術を有しているのも強みだ。特に彼女との打撃戦を避けたい相手が、組んでケージに押し込んできた時など、ケージに腰をつけてもたれることで体に軸を作り、一見真正面を向いてすぐにテイクダウンを奪われそうな態勢でも、相手の上半身をコントロール。ヒザ蹴りやヒジもそうだが、ここから転がすテクニックも一流だ。

対するカショエイラはキャリア8勝0敗で、4試合がKO勝ちというブラジリアン・ストライカーだ。昨年12月のTUFフィナーレでオクタゴン・デビューが決まっていたが、ビザの発給が間に合わず、母国で初戦を戦うこととなった。いってみればストライカー対決といえる顔合わせだが、カショエイラの打撃をシェフチェンコと比較すると、フィジカル系のパンチャーで余りにも粗いと指摘せざるを得ない。

左右のフックを振り回し、時にオーバーハンドを打ち込みKOしてきたが、あの大振りの振り回し系、そして体の軸がぶれるパンチがシェフチェンコに通用するのか。あるとすればまだ目が慣れていない序盤での一発、もしくはシェフチェンコが効かせたと思ったパンチを被弾しても、ダメージを受けることなくすぐにパンチを振るうことができた場合だ。

シェフチェンコの筋金入のムエタイ技術、そしてMMAにアレンジできるようになった現状を考えると、両足が揃いガードもままならないブンブン丸のカショエイラは厳しい試合を強いられるに違いない。現時点で実力的にも世界王者モンターニョより上だといっても過言でないシェフチェンコ、問題なく体重を落とせるかどうか、まずはそこに注目したい。

■UFN125 対戦カード

<ミドル級/5分5R>
リョート・マチダ(ブラジル)
アリク・アンダース(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョン・ドッドソン(米国)
ペドロ・ムニョス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(ペルー)
プリシーラ・カショエイラ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ミシェウ・プラゼレス(ブラジル)
デス・グリーン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ティモシー・ジョンソン(米国)
マルセーロ・ゴルム(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
チアゴ・マヘタ(ブラジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
セルジオ・モラエス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アラン・パトリッキ(ブラジル)
ダミア・ハゾヴィッチ(デンマーク)

<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
ドゥグラス・アンドレージ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ユーリ・アルカンタラ(ブラジル)
ジョー・ソト(米国)

<フライ級/5分3R>
デイヴィソン・アルカントラ(ブラジル)
ジョセフ・モラレス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ポリアナ・ヴィアナ(ブラジル)
マイア・スティーブンソン(米国)

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