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【EJJC2018】欧州に挑む、世羅智茂─02─「ジャンニ、アイザック、マーシオ、イザッキ。表彰台が……」

Tomoshige Sera【写真】1段ずつ登っていくための日々のトレーニングだ (C)TAKAO MATSUI

16(火・現地時間)から21日(日・同)までポルトガル・リスボンのパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスでIBJJF主催のヨーロピアン柔術選手権2018が開催される。

黒帯でとして初の海外遠征の場にこのヨーロピアンを選んだ世羅智茂インタビュー後編。

カルペディエムで新たな柔術家人生を歩み出した2017年を経て、世羅はどのような2018年の活動を思い描いているのか──まずはヨーロピアン初戦突破だ。
Text by Takao Matsui

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


――2017年は、良い経験が積めた年になったようですね。

「濃い1年でしたね。それまで京都で仕事をしながら練習をしていましたので、カルペディエムでお世話になってからは、練習環境も含めて刺激のある毎日を送ることができています。

柔術だけではなく、プロのMMAの選手と交流ができるのも嬉しいです。宇野薫選手や所英男選手といったレジェンドと呼ばれる選手と、普通に練習ができたことも刺激になっています」

――そして2018年は、より結果が求められることになりそうです。

「ええ。まずは一発目でヨーロッパ選手権に出場します。国内から海外の大会になるので、大きなレベル差を感じるかもしれませんが、何とか食らいついていきたいです」

――黒帯になって初の海外での試合ですか。

「はい。茶帯時代にムンジアルには出場しましたが、黒帯では初の海外です。おそらく一回戦で強豪と対戦することになると思います」

――フェザー級は、強豪が揃っています。

「ジャンニ・グリッポ、アイザック・ドーダーライン、マーシオ・アンドレ、イザッキ・パイヴァ、これで表彰台が埋まる感じですよね(笑)。それ以外にも、強い選手がたくさんいると思いますので、思い切ってやるだけです」

――失うものがないという感じですか。

「どれだけ強いのか想像がつかないので、初戦が最後の試合だと思って、全力でぶつかるだけですね。じつは今成さんとの試合は、警戒して見合う場面が多く、自分の中でトラウマになっているんです。だから悔いのないように全力を出し切りたいと思っています。

あとは、こんなことを言うと語弊があるかもしれませんが、僕の今の立ち位置で1勝でもできれば価値は大きいのではないかと思っています」

――アグレッシブに戦うスタイルから想像ができないほど謙虚なのですね(笑)。

「僕は、階段を1段ずつ上がっていくイメージを持つようにしています。国内でも優勝していない僕が、いきなりヨーロッパ選手権で優勝とか表彰台を狙うとか言える立場ではないですから。優勝候補の選手と一回戦で戦うことになっても噛みついていって、全力を出すだけです」

――ヨーロッパ選手権では、どのような試合をしたいですか。

「具体的なプランは、考えていません。勝てれば、どんな形でもいいです。試合では、むしろ考えないようにしています。考えるのは練習だけで、試合では考えないようにしています。この前、MMAPLANETで下石康太さんのインタビューを読みまして、同じようなことを言われていて共感を持ちました。試合で考えていたら、僕は負けるかなと思います」

――柔術は、直前に試合が決まることが多いため、対策を立てるのは難しい競技です。

「そこは、一番、強い選手に当たることを想定して練習するしかないです。マーシオ・アンドレ、ジャンニ・グリッポと対戦しても負けない準備をするイメージですかね。といっても、そこまで対戦相手を強くイメージすることはなく、日々の練習の中で見つかった課題と向き合って積み上げていく感じですね、僕は。スパイダーからスイープされたら、それをされないように埋めていくとか。トライ&エラーの繰り返しです」

――堅実に少しずつブラッシュアップしていくわけですね。自分の得意な形を磨くことは?

「逆に意識しないようにしています。自分の得意な形ばかりを意識してしまうと、それしか頭に入らなくなってしまうタイプなので、それ以外の技が出なくなってしまいます。むしろ狙わないようにして、相手の動きに反応して動けるように心がけています」

――理想とするスタイルはあるのでしょうか。

「ないです。マルセロ・ガウッシアとか参考にする選手はいますが、目指す具体的なスタイルはないです。そういうことを決められる選手は、凄いなと思います」

――では、世羅選手の最終目標を教えてください。

「うーん……、最終目標も意識はしていないです。先ほども言いましたが、一つひとつの階段を上っていきたいんですよね。まだ、できていないことをやりたいです。全日本、アジアも優勝していませんし、ヨーロッパ選手権ではまず1勝が目標です」

――ヨーロピアンに関しては優勝とは言えないわけですね。

「客観的に見ても、そこは言えません(笑)。願望としてならば、すべての大会で優勝したいですが、1段ずつ登っていくのが基本ですし、そうすべきだと僕は思っています」

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