この星の格闘技を追いかける

【DEEP80】王座挑戦権を賭けて、ソン・ジンスと対戦する釜谷真─01─「勝って時計の針を進める」

Makoto Kamaya【写真】計量まで2日、ミット打ちで動きを確認していた釜谷(C)MMAPLANET

21日(土)、東京都江東区のディファ有明でDEEP80が開催され、メインで釜谷真がソン・ジンスとバンタム級次期挑戦者決定戦を戦う。

かつて京都のGSPと一部で呼ばれていた釜谷も34歳。長年主戦場としてきたDEEPで、いまだにベルトへの挑戦経験がない。結婚し、昼は仕事を持つようになった釜谷、雑草の意地──草魂を見せつけるか。最終調整中の釜谷をTRI.Hスタジオに訪ねた。


──3日後には次期挑戦者決定戦でソン・ジンスと対戦します。体調の方はいかがですか。

「絶好調です。体重も射程圏内に入ってきて、安心しています」

──今日の夕方まで仕事をされていたと聞いています。

「ハイ。午後5時まで石の補修……まぁ職人さんのやることですね。去年の1月から、この仕事を始めました。74月に結婚したのですが、結婚するのに格闘技してバイトしていますじゃ、もうさすがに説得力がないじゃないですか」

──正業をもつようになって、練習時間に影響が出たりはしなかったですか。

「働くことになって練習が疎かになると思っていなかったのも、この決断をした理由です。自由な時間が減り、睡眠時間が少し短くなることはあっても、練習は変わりなくできています。これまでの人間関係もあるので、僕の時間に合わせて夜に一緒にしてくれる連中もいますしね。

仕事は朝8時から夕方5時まで。基本的に残業がなくて、現場もと東京、千葉や神奈川なので練習に制限が加わることはないです。

それに練習自体も昔のように、ただ総合のスパーリングを回しているとか、そういうことではなくなったのでより密度の濃い練習ができるようになっています。

だからといって外車を買えるわけでもないですし、現場仕事なのでケガでもするとお金が入って来なくなる。その辺りは本当に気を付けるようにしています。でも本当に良い環境でやらせてもらっていますよ」

──プロ練習は夜でなく、昼に行われることが多いですが。

「ハイ。今でも木曜日は休みにさせてもらっているのでOTOKOGIの練習は続けています。OTOKOGIで植松(直哉)さんに習ったことをTRI.Hスタジオに持ち帰って、上久保(周哉)君と立っちゃん(和田竜光)で復習してみたり。

木曜日は石渡(伸太郎)君のジムのテンセンスのお手伝いもさせてもらっているので、仕事前に石渡君と打ち込みをすることもあります。この日はロータス世田谷の一般のグラップリング・クラスに出ることもあります。

長身でフライ級の中村(龍之)君や、ハルク(大城)選手、柔術の茶帯の浜崎(一登)さんとかも一緒にやっています。浜崎さんは純粋に柔術っぽい動きをしているので、僕には新鮮で凄く強くて」

──表情もイキイキとしていますね。

「いや、もう本当に未だに格闘技がオモロイって思い続けているんで。それって自分で成長している感覚があるからなんですよ。いつか、それがなくなるのかって思うと怖いですけどね」

──そのようななか、土曜日は挑戦者決定戦。これまで釜谷選手はここぞというところで星を落としている印象が正直なところあります。

「石司(晃一)君に負けた時と、今回は同じ状況です。勝てばタイトル挑戦というのは」

──あの試合で敗れ、その次の試合はHEATで祖根寿麻選手とドロー。そこから4連勝で再び、ベルトに近づいてきました。

「祖根君との試合は僕の勝ちですけどね(笑)」

──なるほど(笑)。

「石司君に負けてから2年3カ月、この間を勝ってきたのは当たり前なんです。相手云々ではなくて、土曜日に勝って初めて、あの刻から時計の針を進めることができます。能力は上がっていても、ポジション的に上に行くには最低限、勝たないと自分が上に行けることにならないんです」

──能力が上がっているという言葉。どの部分の能力が上がりましたか。

「2試合前から石渡君にセコンドに就いてもらうようになり、自分が持っている武器を必要な時に使えるようになってきたんです。例えば石司戦では、彼は組みが強いからテイクダウンを狙うことなく、打撃で勝負ってことしか頭になかった。でも、石渡君は『テイクダウンが良いんだから、テイクダウンを仕掛ける。取れなくても、打撃が当たるようになる』ってアドバイスをしてくれたんです。

その言葉を聞いて、僕のなかで何か変わりました。僕ってMMAファイターとして秀でたモノは何も持ってない。でも、できることはチョイチョイある。そのチョイチョイあることを使えるようになった。そこがこの間の成長かなって思います」

──気持ちが自由に、そして楽に戦えるようになりましたか。

「以前は格上の選手と戦う時は、最後はもう殴り合うしかないと思っていました。今はやるべきことが見えて、それを実行しようという感じです。石渡君に対戦相手の映像を見せて自分の考えていることを伝え、それに対して石渡君が彼の想うことを指摘してくれる。石渡君はもう先生みたいな感じです(笑)」

──石渡選手とそれほどの真柄になっていたのですね。

「ハイ。格闘技のコトをよぉ知っているし、よぉ分かっています。頭が一番良い選手やと思います。立っちゃんも仲が良くて、頭の良い選手です。でも仲が良すぎて、僕の方が5歳も年上やから、やっぱり厳しいことは言えないんです。そういうタイプの人間やないし。

石渡君はかなり厳しく言ってくれます。大人になって、もうあんまり厳しく言われることなんてないやないですか。そこがとても、助かっています」

<この項、続く>

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