【UFN117】4年振りのUFC、OSP戦へ岡見勇信─01─「今のMMAで2階級上で戦う。普通におかしい」
【写真】喜びに浸っている様子は微塵もなく、すぐに現実と向き合っていた岡見(C)KAORI SUGAWARA
23日(土)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるUFN117「Saint Preux vs Okami」で、4年振りにオクタゴン復帰を果たす岡見勇信。
試合の1週間前に2階級上のオヴァンス・サンプレー戦のオファーがあった時、岡見の脳裏には何がよぎったのか。また、この契約劇の裏にあったフリーランスの立場でいることができた理由とは。奇跡のようなUFC出場に向けて、その危険度の高さを十分に把握した岡見が背景、そしてプロセスをメディアデー直後に話してくれた。
「ありがとうございます」
──諦めなかった結果ですね。
「そうですね。それは間違いないと思います。今、4つ連続で勝っていて良かったです。それで名前を挙げてもらえたのでしょうし」
──最初の打診があったのは、いつ頃だったのでしょうか。
「『行けますか?』という形で、僕が了解しても実際に出られるかどうか分からない状態での連絡は土曜日の朝でした」
──えっ、それって発表のまるまる1日前だったということですか。
「ハイ。その時はまだ別に候補もいるような感じでした。マウリシオ・ショーグンがケガをして、ライトヘビー級ですから……まさか、戦えないですよねという感じで」
──いや、でも岡見選手の気持ちとしては、心躍ったのではないですか。
「いえ、逆です。胃が痛くなりました(苦笑)。色々考えました」
──ウェルター級だと、考えることもなかったのに。
「まあ、体重を落とさないといけないっていうのはありますけどね。ライトヘビー級でもイエスという答は出ていて……だけど了承し、その後の事態がどういうものかも分かっているので。イエスという返答をするための気持ちの整理が必要でした(苦笑)」
──夢が叶ったあとの現実の怖さ?
「ハイ。イエスといってもまだ決まっているわけじゃないですけど、僕がやるといえばUFCもそれで決めるかもしれない。なのでイエスと答えることに関して、色々なことを考えましたね。
とはいっても、会見で言ったように15分か20分の間ですけどね。危険は承知の上です。今のMMAで2階級上の選手と戦うなんて、普通におかしいと思いますから」
──現時点で体重はどれぐらいですか。
「91キロあるかないかですね。ただ、ライトヘビー級で戦うと決めた時点で相手の体重を気にしてもしょうがないです」
──今大会で代役出場の可能性は探っていましたか。
「まぁ、その可能性はゼロとは捉えていなかったです。あれだけウェルター級の試合が組まれているので。ただ、安西(信昌)君や(中村)K太郎の相手だったら、出なかったと思います。まぁ、そういうオファーはなかったので、実際にあったらどうなるのかっていうのは分からないですけど、一緒に練習している仲間と夢を奪い合うつもりはないです」
──では奥様はどのような反応でしたか。
「まぁ、やるというコトを伝えて、まだ実現するか分からない状態だったので、現実味のある感じの反応ではなかったですね」
──なるほど。それにしても、試合への気持ちを急激に作らないといけなかったと思います。
「徐々に、ですね。最初の1日、2日は眠れなかったです。緊張して」
──以前のように緊張して、ベッドに対して垂直になって亀の態勢を取るというのは?(笑)。
「もう、それやらなくなっていますね(笑)。でも、土日はなかなか寝付けなかったです。急にスイッチが入って、アドレナリンが出てきたというのも関係していると思いますけど」
──このニュースが入った時、凄く嬉しかったです。ただ、暫くすると現実が見えて来て。
「格闘技って、本当に厳しい。ファンタジーじゃない。こんなことをやるのが、どれだけのことかって現実を理解しているつもりです。OSPからすると、絶対に負けらない相手になったわけですし」
──36歳、この状況でなければ実現してはいけない試合だと自分も思います。例外が認められる唯一のケースだと感じたんです。
「常識でいえば、まずない話です」
──この場合、常識の反対語は非常識でなく奇跡と呼びたいです。
「ありがとうございます。自分もそう思います。UFCに出られることもそうだし、OSPと戦うなんて全く考えられないことでしたから」
──今、どことも契約がない。フリーの状態だったことも幸いしました。
「そこはマネージャーのシュウ(ヒラタ)さんに感謝しています。WSOFからPFLに契約が移譲され、7月29日のアンドレ・ロバト戦が最後の試合だったんです。でも、PFLからは複数契約で、ロバト戦が消化される前に更新をしたいという話がありました」
──WSOF時代に岡見選手はなかなか試合が組まれず、また決まった試合も対戦相手が代わったり、大会自体が延期されるなど色々なことがありました。
「そういうことがあったので、信頼関係を築くことはできなかったです。絶対にPFLを離れるというのではなくて、取り敢えずフリーランスになりたかった。その気持ちをシュウさんに伝え、それは簡単ではない交渉になりましたが、僕がフリーになるようまとめてもらえたんです」
<この項、続く>
■ UFN117対戦カード
<ライトヘビー級/5分5R>
オヴァンス・サンプレー(米国)
岡見勇信(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
クラウジア・ガデーニャ(ブラジル)
ジェシカ・アンドレジ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
キム・ドンヒョン(韓国)
五味隆典(日本)
<ライトヘビー級/5分3R>
グーカン・サキ(オランダ)
エンヒッキ・フランケンシュタイン(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
石原夜叉坊(日本)
ロランド・ディ(フィリピン)
<フェザー級/5分3R>
廣田瑞人(日本)
チャールズ・ロサ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
中村K太郎(日本)
アレックス・モロノ(米国)
<フライ級/5分3R>
ジョズエ・フォルミーガ(ブラジル)
佐々木憂流迦(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
近藤朱里(日本)
ジョン・チャンミ(韓国)
<ウェルター級/5分3R>
安西信昌(日本)
ルーク・ジュモー(ニュージーランド)
<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
イム・ヒョンギュ(韓国)