【Strikeforce】悪童完勝、ある意味予想された伝説の完敗
■第10試合 179ポンド契約/5分3R
ニック・ディアズ(米国)
Def.2R3分57秒/TKO
フランク・シャムロック(米国)
【写真】悪童ニック・ディアズは、伝説――老兵フランク・シャムロックに何もさせなかった (C)Tom Casino/Strikeforce
ヘキサゴン中央で、激しく睨みを利かせるディアズに、ここでも笑顔を浮かべるフランク。試合はフランクの左ローでスタートした。すぐに左ローを二発返すディアズは、シャムロックのハイキックを軽く見切っていく。リーチの長いディアズに対し、踏みこんでいきたいシャムロックだったが、右ミドルをキャッチされテイクダウンを奪われる。
シャムロックの立ち上がろうとする動きを利用し、サイドへ回ろうとしたディアズは、細かいパンチを受けながらも、反対側へのパスガードに成功した。と、ディアズのアームロック狙いを振り切り、スタンドに戻ったフランクだが、左ストレートを被弾。左ロー、左ストレートをヒットさせるディアズが、左ハイは空振りに終わったが余裕を持って、フランクの攻撃を見切っていく。
蹴り足を掴まれバランスを崩したシャムロックは、すぐにテイクダウンを許し、マウントを奪われると、ケージを蹴り上げるが態勢を変えることはできない。15秒ほど殴られ続け、ブリッジから立ち上がったところで1Rが終了となった。
2R、飛びこんでいくところにショートフックを受けるフランクは、左フック、右フックを受けてバランスを崩す。ようやく右ストレートを届かせたが、テイクダウンを狙えないサブミッション・スタイルでは厳しい。左右のショートから、首相撲にフランクを捉えたディアズはヒザ蹴りを突き上げていく。
インファイトでパンチを当てないと勝てないフランクだが、距離を詰めることもままならず、サイドステップを踏むも、右ストレートを受けて肩で息をするように。
ケージに詰められたフランクは、顎を突き出しノーガードで挑発するディアズのパンチをいいように受け、右ストレートでケージ際まで後退してしまう。続いてディアズが放った右ボディショットで、ついにケージ際にしゃがみ込んだフランクは、そのままパウンドを受け続けTKO負けとなった。
試合前の舌戦を忘れたかのように、対戦相手を称えるディアズだが、オールドネームをいたわるような仕種がフランクの今後の厳しさを暗示しているかのようでもある。
「できることはすべてやった。ニックは僕より良かった。僕はまた戻ってくる」と試合後に語ったフランク。しかし、進化したMMA技術と彼の持つオールドスタイルでは、隔世の感があり過ぎる。ネームバリューの高さで、ベイエリアではメインイベンターを務めてきたが、今後は、よほどの奮起がない限り、フランクが第一戦にカムバックするのは難しいといわざるを得ない。フランク陥落は、ストライクフォースが新しい時代に歩を進めた象徴的な試合ともいえた。