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【GI 2015】第一戦を去る金古一朗 「僕が勝ててしまうような柔術界であってほしくない」

Ichiro Kaneko【写真】第一戦最後の舞台となったGIでの勝利。有終の美を飾った金古一朗(C)MMAPLANET

11日(日)、東京都世田谷区の北沢タウンホールで開催されたGround Impact 2015で加古拓渡に勝利した金古一朗。「柔術を始めるのに、遅すぎるという考えはない」をモットーとすると彼に話を聞いた。
Text by Hiroyuki Kato

29歳でブラジリアン柔術に出会い、僅か5年で黒帯取得。以降、全日本選手権を4度制し、昨年の世界柔術選手権でも最終日のベスト8まで残った。そんな金古が不惑の年齢を前にして、一線を退く決意を固めた。その理由、今後の目標とは──。

──「Ground Impact 2015」で、日本屈指の黒帯・加古拓渡選手を相手に、試合開始直後にパスガードを決めてから完勝しました。どういう試合プランがあったのでしょうか。

「加古選手はどちらかと言えばスロースターターの印象があったので、僕は長時間アップし続けて試合頭から全力で飛ばすことに集中しました。そして彼はハーフとラッソーの混合ガードで来ることも解っていたので、大会前にそれを打ち破るパスガードを何度も反復し、それがパスガードに繋がったと思います」

──加古選手に勝ち、まだ第一線で戦えるという気持ちにはならないのでしょうか。

「もちろん今の強さを今後も維持することは可能だと思います。ただそれは今の練習量を来年もキープ出来たらの話です。来年以降自分の道場をやりながらそれだけの練習をこなせるとは到底思えません。正直練習量を減らしても僕が勝ててしまうような柔術界であってほしくないという思いもあります」

--国内で戦うという考えはないのですか。

「全日本選手権は過去4度制したんですが、正直これ以上獲りたいという欲も減りました……。今年の全日本は優勝したかったのはもちろんなのですがとにかく加古選手と戦いたかった。僕の選手としての最後のモチベーションは加古選手と戦って勝つことでした。そのアダルトとしては最後の目標を達成した今、これ以上今のスタンスで選手生活を続けるモチベーションがなくなったというか、ありきたりの言い方をすれば燃え尽きたのかもしれません」

──なるほど。柔術にはマスターズ・カテゴリーで世界を目指す事もできます。金古選手は毎年ワールドマスターズの表彰台常連ですが、今後の出場予定は?

「独立した事もあり、来年以降などに指導が落ち着けば参戦することも考えてはいます。僕が選手として悔いが残るのは、ワールドマスターズの優勝です。ただ、今後は僕も経営者です。多くのマスター柔術家と同様に仕事が第一ですし、自分の練習は二の次というスタンスになります。それで挑む、という形になりますね」

──では最後に、今後は自身の道場で代表者になりますが、どのような意識で柔術指導をしていこうとお考えですか。

「あまり型にはめることをせずに自由にのびのびとやりたいですね。そしてまた次世代の個性的な選手がどんどん出てくるような道場にしたいです」

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