【DEEP95】5月6日のにっせー戦がなくなった、しなしさとこ─02─「家でデキることをエンジョイ」
【写真】取材をした日の夜の献立はビーフシチューとズッキーニカルパッチョ、塩麹チキンと紫タメネギのサラダ。ご飯も土鍋で炊いている凝りようだ(C)SATOKO SHINASHI
5月6日、DEEP後楽園ホール大会でDEEP女子アトム級選手権試合で、にっせーと対戦予定だったしなしさとこインタビュー後編。
大会は中止となったが、それまで息子と離れて生活し、練習を続けていたという彼女は、試合がなくなったことに関しては淡泊なほどに「しょうがない」という感情しかなかったという。
家族と離れてまで練習をする──しなしの格闘家として性とは、正反対のように試合がなくなるとステイホームの楽しむ性質。コロナのある時代の日常生活と格闘技への取り組み方、常にベストを尽くす──しなしさとこの生態が明らかになった。
<しなしさとこインタビューPart.01はコチラから>
──それでも事態が変わってくるなか、中止に至るまで色々と気持ちがブレることはなかったですか。
「試合がある、ないに関係なく練習はしていました。今回はコロナウィルスという問題が加わりましたけど、私は小さいし、年はいっているし、弱いから常にケガに気を付けて、自分がやらないといけないことをしっかりとやるという気持ちでやってきました。
練習はサボらないこと。息子と離れていても、勝ちたかったです。でも私、ヤバイですよね(笑)」
──ヤバイですねぇ(笑)。ただ、中止になった時はホッとしたとかはなかったですか。
「K-1が開催されて、色々と叩かれた時点で大会は絶対にないと思っていました。だから、中止決定の時に感情のブレはなかったですね。自分は自分、それまではやることをしっかりとやるしかなかったですし。いつでも戦える準備をしておかないと、試合を戦うことはできないですから。命が大切だということは当然ですし、だから中止が決まった時も『しょうがない』と思っただけです。
それからはデキることをやる方向に切り替えましたけどね。実家の道場を使ったり」
──普段の生活も変わったのではないですか。
「だって犬としか会わないですから(笑)」
──アハハハハ。
「あとは家にこもって、掃除と料理を徹底してやっています。今は特に料理に走っていますね。スコーンとかマフィンまだ家で焼くようになりました」
──それは凝り性ですね(笑)。素敵なステイホーム方法だと思います。
「料理って……普段の生活では、そこまでできないから。もう、こんな時だからこそデキることで楽しもうかなって思っています。暗い話ばかりしてもしょうがないですしね。既に世界にはコロナが存在しているので。私自身は現状を見ると、年内は試合ができないかもしれないと思っているし」
──無観客大会を開くところ、そうでないところと2つの流れが日本の格闘技界も出てきそうですね。
「私はお客さんに来てもらわないと収入にならないので、今は試合をしなくて良いかと思っています」
──にっせー選手にリベンジしたいという気持ちも、それで抑え込むことができるのですね。
「う~ん、それとこれとでは問題が違いますからね。今はそういうことを言っている時期ではない。ただ試合がしたいという年齢でもないですし、世間体も大切です。これからコロナで不景気になることは間違いないですから。
そうなると一般の人が家計から削るのは、娯楽ですよね。格闘技観戦は娯楽で、今は皆がそこを楽しむ余裕がないです。ワクチンができるまでは、格闘技の大会があるのはそういう世間に対してイメージ的にも良くないと思います。人が一か所に集まるということを考えると、試合はしない方が良いと思っています。
私自身、道場には行っても実家にも寄らないですし。最悪の状況を考慮するからこそ、親とも2カ月半とか3カ月近く会っていないです。だから今、家でデキることをエンジョイしようと思って料理に凝っている感じですね(笑)」
──コロナがある時代だからこそ、できることを楽しむということですね。しなし選手は。
「ハイ。家で、できて。他の人の感染リスクを高めないなら、何でも良いと思いますよ。だから私は料理以外でも、映画を凄くたくさん視ています」
──あぁ、我が家でも娘も家内もNetflixで映画を視まくっていますよ。
「あのう……私はDVDです。私、そのネット系とか弱くて(笑)。BSとかWOWOWは視ているんですけど!!」
──Netflixの料理番組とか、凄く楽しいですよ。
「ネットフリックスぅ?? 私、アナログなんですよ。ちょっと調べてみますね。それで申し込みます」
──申し込むことは決定ですか(笑)。いやぁ、しなしさとこ面白いですね。一応、DVDもデジタルですけどね。DVDのDはデジタルですしね(笑)。
「アハハハハ。私、毎日のようにレンタルしに行っていました(笑)。早朝に行くと、人も少ないですし。今、早寝早起きなんです。朝5時に起きて、2度寝して7時に起きて料理を始める感じで」
──料理を趣味にしていると、バターが買えなくて困ったりしませんか?
「えぇ? 売っていないですか?」
──自分の家は基本は生協の宅配なんですが、足らないモノは人を避けてスーパーの閉店2時間ぐらい前に行くようにしているんです。1時間前からまた駆け込みで込んでくるので。
「あぁ、夜だからバターとかないんですね」
──はい。粉モノも。
「でも子供の時間に合わせていると、すぐに昼になってしまいますよね。分かるぅ、ソレ(笑)。私は夕方は行列が凄いので、その時間にスーパーに行くことはないです。午前中にすべきことを済ませ、それから出るのは犬の散歩ぐらいですね(笑)。
こんなこと言うと不謹慎かもしれないですけど、家から出ないのも結構良いものですよ。だから格闘技のファンの皆さんも、今、家でできる楽しいことを見つけて乗り切って欲しいです。そして、コロナが終息すれば格闘技を思いっきり応援してもらえればと思います」