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【AJJC2019】ライト級に参戦──全日本王者・毛利部慎佑─02─「覚悟を決めなくてはいけない」

Moribe Shinsuke【写真】体操競技をやっていた利点、そして修正点を興味深く話してくれた毛利部(C)MMAPLANET

13日(金)から15日(日)にかけて東京都足立区の東京武道館にて開催されるIBJJF主催のアジア柔術選手権のアダルト黒帯ライト級にエントリーしている毛利部慎佑インタビュー後編。

指導者、そして経営者として柔術界に生きる毛利部に柔術家としての歩み、そしてアジア選手権に賭ける想いを訊いた。

<毛利部慎佑インタビューPart.01はコチラから>


——アカデミー単位ではなく、個人でもオンライントレーニングを始める柔術家が増えていますが、毛利部選手も経営者としてサバイブする方法を試行錯誤されている、と。選手としての話も聞かせてください。柔術を始められたのはいつですか。

「大学4年生の時です。もともと猿田(洋祐)さんが高校の2コ上の先輩で、僕がまだ高校生の頃、体操部に遊びに来てくれたことがあったんです。猿田さんは(リバーサルジム川口)リディプスでMMAを始めていたのでグラップリングで遊んでもらったら、向こうは全然力を入れていないのに何度も極められて、こんなことがあるんだって思ったんですよね。そうこうしているうちに、同級生の(榎本)悟も体操を引退してMMAを始めて。僕は大学に進学して体操競技部に入ったんですけど、引退したら格闘技をやろうと決めていました」

——では、毛利部選手もMMAからこの世界に入られたのですか。

「いえ、2、3回はクラスに参加しましたけど、小野瀬先生が柔術の専門ですから、先生にしっかり習おう、先生の言うことが絶対だと思ってやっていました。だから教則DVDやYouTubeも見ていなかったです」

——黒帯になられたのは昨年ですね。

「ハイ。実は、茶帯に上がる時に『先生、頼みます!』とお願いしていたんです」

——というのは?

「選手としての僕の最終目標は、世界選手権で表彰台に上がることです。ただ、試合が嫌いというかメンタルがもたないし、年齢的に32、33歳くらいまでしか選手は続けられないだろうと逆算すると、2、3回はチャンスが欲しい。だから、少し早めに帯を出していただけないかと相談していました」

——現在の練習環境はどんな感じでしょう。

「水曜日はリディプスで指導があって、水曜以外は朝から昼と夕方以降にこの道場で指導しているので、昼間の空き時間に打ち込みをして、月曜日は昼柔術、土曜日はフィジカルスペース、金曜日は柿澤(剛之)さんに付き合ってもらっています」

——柿澤選手も今年3月から、埼玉県熊谷市でRelaxin’ BJJをスタートしましたね。

「それまではリディプスで一緒に練習していたのですが、今は僕が柿澤さんの道場に行っています。フルパワーでやるから5分4本しかできないんですよ。筋トレみたいな感じで、死にそうになります(笑)。そうした選手の皆さんとの練習は、試合に近い形で技術、フィジカル、メンタルを高めることができる一方、自分の道場で柔術を始めてくれた会員さんとの練習も、すごく為になっています。

やっぱり力でやるわけにはいかないですから、技術が必要ですよね。僕は体操をやっていたせいか、0か100で力を抜くことが難しく、技術が身に付きにくかったんですけど、最近は周りからも上手くなったと言ってもらえます。ニートの時は一人打ち込みが多くて、技の手順やポイントを覚えられても、その効果をあまり感じられなかったんですよね。今はそうした点と点が線でつながって流れるようになったというか。2、3年経って、あの時の練習がようやく昇華されてきたなって」

——体操の経験は柔術でどのように生きていると感じられますか。

「体操ってすべての運動の基となる動きですから、自分の身体の動かし方を知る上でも、相手の身体をコントロールする上でもやっておくに越したことはないと思いますね。競技体操ほどではなくても、バク転、バク宙くらいはできたほうが。ただ、それで言えば、カポエイラのほうが柔術との親和性があると感じます」

——コブリーニャやルーカス・レプリ、ブラジル人柔術家にはカポエイラ経験者が少なくありません。

「体操って力は強いんですけど、ピシッとヒザを伸ばす、指先を伸ばすという感じで柔らかさがないんですよね。突進系というか(笑)。一方、カポエイラはしなやかな動きが多いですから」

——さて、アジア選手権のアダルト黒帯ライト級には全日本決勝で対戦したクレベル(・コイケ)選手もエントリーしています。

Moribe vs Kleber「クレベルとは全日本が初対戦で、メチャクチャ強かったです。ずっと攻め続けてくるし、短距離からグリップなしで突っ込んでくる。

天才というか、独特ですよね。それを自分もやろうとしてしまって、あの試合は“クレベルワールド”に引き込まれてしまいました」

——結果だけ言えば、8-4、アドバンテージも8-3で毛利部選手の勝利に終わりましたが。

「いえ、完全にやられました。会場が盛り上がってくれたようなので良かったと思う反面、勝負としてはもっと手堅く、堅実にやらないといけない。たまたまスイープがかかっただけですし、僕の中では反省点しかありません」

——クレベル以外にもエントリーリストを見た印象を聞かせてください。

「昨年は、まだ無名だった(アレッシャンドリ・)モリナロ選手が優勝しましたよね。そうした隠れた実力者が今回もいるかもしれないし、ジャン・インソンも入ってくるかもしれない。彼には2017年のアジアで勝っているんですが、昨年のソウルインターナショナルの無差別では負けています。ですから、これ(取材時=エントリー締切前のリスト)だけでは終わらないんじゃないか——覚悟を決めなくてはいけないと思っています」

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