【PJJC2019】レプリに続き、パンでカヌート越え。リーヴァイ・ジョーンズレアリー、グランドスラムへ
【写真】非ブラジル人柔術家初のグランドスラム成功となるか。豪州の超新星リーヴァイ・ジョーンズレアリー (C)IBJJF
3月21日(木・現地時間)から24日(日・同)にかけて、カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。レビュー最終回は、ヨーロピアン制覇で世界を震撼させたリーヴァイ・ジョーンズレアリーと、昨年世界準優勝のヘナート・カヌートが出場したライト級の戦いを振り返りたい。
1月のヨーロピアンで絶対王者ルーカス・レプリを下した豪州の超新星リーヴァイ・ジョーンズレアリーの参戦で注目を集めたライト級。そのジョーンズレアリーは卓越した切れ味のベリンボロを武器に順調に勝ち進み、準決勝ではベテランのガブリエル・ロロと対戦。ロロの巧みな対処の前に思うようにポイントを取れなかったものの、下からのベリンボロで何度もバックを奪いかける等終始ペースを支配し、ペナルティ差を着実に守って決勝に進出した。
もう一方のブロックでは、昨年世界2位のヘナート・カヌートとオズワウド・モイジーニョが下馬評通りに勝ち上がって準決勝で激突。スタンド戦でプレッシャーをかけ続けたカヌートが、背負い投げと、小内刈りと背負い投げの連携からのシングルレッグでテイクダウンを2度奪い、4-0で快勝した。結果、超新星ジョーンズレアリーと、世界準優勝者カヌートの注目の一戦が決勝で実現することとなった。
<ライト級決勝/10分1R>
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(オーストラリア)
Def. by 6-4
ヘナート・カヌート(米国)
試合開始後、スタンドに自信のあるカヌートはテイクダウンのフェイントを使ってプレッシャーをかける。対するジョーンズレアリーはスライディングしながらの引き込みを試みるが、カヌートは距離を取ってギをつかませず。やがて両者に膠着のペナルティが与えられた。
その後ジョーンズレアリーは飛び込んで素早くカヌートの襟を掴みながらのシッティングに成功。と、次の瞬間カヌートは跳びついての三角狙いへ。それを倒れこむように防いだジョーンズレアリーは、得意の右足に絡むデラヒーバを作った。するとカヌートは果敢にダイブ。自らの頭をジョーンズレアリーの股間とマットの間に滑り込ませるようにベリンボロを狙うが、リーヴァイは距離を取り、両者はダブルガードに。その後は体勢が変わらず、両者に2つ目の膠着ペナルティとアドバンテージが1つずつ与えられた。
再開後、再びダブルガードの攻防に戻った両者。ここで素早く横回転を仕掛けたジョーンズレアリーは、そこからシットアップして上を取って2点先制。しかしカヌートも下から50/50を作ると上を取り返す。その後両者はシットアップで上を取り合い、試合は4-4の同点で中盤を迎えた。
残り5分、50/50の下にいるジョーンズレアリーは、体をずらしてカヌートのバランスを崩すと、後転してベリンボロへ。カヌートのズボンの尻を捕らえ、よじ登って背後に着くことに成功した。前傾姿勢で耐えようとするカヌートを、引きずり倒してグラウンドに持ち込むジョーンズレアリー。カヌートはなんとか回転して逃れようとするが、ジョーンズレアリーは両足フックを完成させる。それでもカヌートは止まらず動き続けて両者は場外に。ここでブレイクが入った。
完全に両足フックが完成された状態だったので、そこからの再開かと思いきや、なんとレフェリーはジョーンズレアリーにアドバンテージだけを与えてスタンドで再開させる仕草を見せる。場内からのブーイングが鳴り響くなか、さすがにここで副審の異議が入る。結果、カヌートに場外逃避のペナルティと、ペナルティの蓄積による2点がリーヴァイに与えられた。両者が場外に出たのは、ジョーンズレアリーが完全に両足フックを完成した後だっただけに、これでも首をかしげざるを得ない裁定だが、この攻防でジョーンズレアリーが6-4とリードを得た。
残り3分でスタンド再開。失点せずに引き込みたいジョーンズレアリーと、引き込み側のテイクダウンを狙うカヌートによる緊張感のある攻防が続く。が、結局ジョーンズレアリーがうまくカヌートの襟を掴んで座り込むことに成功した。ここでカヌートは腰を引き、ジョーンズレアリーに得意のデラヒーバを作らせないようにしながら横に動いてのパスを狙う。
ジョーンズレアリーはことごとく足を効かせて対処。デラヒーバに捕まってしまうことを警戒したカヌートが、思うようにプレッシャーをかけられないまま時間が過ぎていった。残りわずかとなったところで、ジョーンズレアリーはリバースデラヒーバでカヌートの左足に絡んで体勢を固定。最後残り数秒のところでカヌートはヒザ十字を狙うが、極めきれず。超新星ジョーンズレアリーが初戴冠を果たした。
これでジョーンズレアリーは、ヨーロピアンでの世界王者越えに続いて、世界2位にも完全勝利しての優勝。特筆すべきは、どちらの試合も得意のベリンボロで真っ向勝負して勝利を得ていることだ。ヨーロピアンの決勝でレプリの世界一のニースライスをベリンボロで上回ったジョーンズレアリーは、今回はカヌートをベリンボロで崩してバックを奪取。不可解裁定で4点を2点にされてすら、明らかな差を付けての勝利を得たのだった。
日本人も含めて多くの非ブラジル人選手がジャッジングに泣かされているなか、このように明確に力の差を見せつければ、国籍に関係なく勝てるということを示した勝利でもあった。
試合後には「世界大会も勝つつもりだ。でもその前にブラジレイロにも出て、グランドスラム達成(ヨーロピアン、パン、ブラジレイロ、世界柔術全制覇)を狙うかもしれないな」と語ったジョーンズレアリー。非ブラジル人初となるこのとてつもない偉業、この若者なら本当に達成してしまうかもしれない。
【リザルト】
ライト級
優勝 リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)
準優勝 ヘナート・カヌート(ブラジル)
3位 ガブリエル・ロロ(ブラジル)、オズワウド・モイジーニョ(ブラジル)