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【JBJJF】西日本柔術選手権、黒帯ライト&無差別級出場、チアゴ・ハタダ─01─「生徒が幸せになれるよう」

Tiago Hatada【写真】チアゴ・ハタダが指導するIMPACT大阪は堺市の仁徳天皇陵のすぐ近くになる(C) JBJJF

12月2日(日)、大阪府・中央区にある大阪市立修道館で日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)主催の第6回西日本柔術選手権が開催される。

昨年の同選手権は、関根“シュレック”秀樹がアダルト黒帯オープンクラスとウルトラヘビー級の2階級を制覇して幕を下ろしたが。そんな西日本柔術選手権で注目はアダルト黒帯オープンクラスとライト級にエントリーしているチアーゴ・ハタダだ。

インパクトOSAKAのメインインストラクターを務める彼に、大会への意気込みとこれまでの歩みを訊いた。
Text by Takao Matsui


――ハタダ選手は17歳に来日し、20歳で柔術を始めたそうですね。そのキッカケを教えてください。

「14年前に17歳で初めて家族と一緒に来日し、一人っ子だったので出稼ぎとしてすぐに働き始めました。その時は日本語も話せなかったし、日本の文化も知らなかったので、最初はスーパーに行くだけでも苦労しました。

日本の文化に慣れるまでは、言葉、食べもの、気候や仕事とすべての面で大変でした。柔術を始めるキッカケとなったのは、仕事をして家に帰るだけの生活と自分を変えたかったからです。自分に自信をつけたかったことが動機となりました」

――所属しているインパクトOSAKAの萩原ウェルソン先生とは、どのような出会いがあったのでしょうか。

「ウェルソン先生に出会う前は、ポルトガル語と英語しか話せなかったので、日本で柔術のジムが見つけられなかったんです。仕方がなくフィットネスジムで筋トレを始めて過ごしていたら、偶然にもそこで彼に出会うことになりました。

言葉が通じるので自然と意気投合し、『なぜ筋トレをしているの』と訊かれたので『柔術を始めたいけどジムが見つけられないからとりあえず筋トレをしている』と言うと、彼は『僕、柔術しているよ』と誘ってくれました。当時、紫帯の彼が通っていたアニマルチームというジムで、僕も練習を始めました。

その後、僕が青帯、ウェルソン先生が紫帯の時にそのチームがなくなり練習する場所もなくなりました。途方に暮れた僕たちは、2人きりで体育館を借りて練習を続けていたんです。

そこで空手家の誠輪館BJJ代表の渡辺誠先生に出会い、彼のジムで柔術を教えて欲しいと言われ、そこから常設ジムでの活動が始まりました。紫帯以上の有段者がいなかったので、グレイシーバッハを紹介してもらい、現在の場所の堺東のジムへ移りました。

茶帯までグレイシーバッハで練習し、今では違うチームですがたくさん友達がいます。ただ、少しずつ僕たちの柔術のライフスタイルが確立されていき、出稽古の自由や試合での交友関係を大事にしたいと思い、チームの違いや性別、国が違っても柔術を通して喜び、全ての人と練習できる大切さを重んじ、元グレイシーバッハのアサダ・トシオ先生とホジェリオ・ヨースキ・ストー先生の元でインパクトOSAKAをスタートしました」

――そういう歴史があったのですね。インパクトOSAKAのメインインストラクターとして心掛けていることや、ジムの雰囲気を教えてください。

「インパクトOSAKAは、全てのタイプの人たちが練習を楽しむことができるのが特徴です。女性、キッズ、護身術、ノーギ、選手クラスもあり、一般のクラスはレベル別にクラスが分かれています。柔術がやりたかったら、誰でも僕たちのジムで始めることができます。

僕は柔術を教えるだけではなく、生徒として来てくれる人たちの人生がもっと豊かな人生になるように意識しています。健康や食事に気をつかったり、ストレス発散で気持ちのバランスを整えたり、柔術を通して素晴らしい世の中になれることを願って指導しています。

そのためにも僕はインストラクターとして、生徒一人ひとりのライフスタイルに合わせたサポートをし、インパクトOSAKAの生徒が幸せになれるように願っています」

――素晴らしい心掛けですね。柔術の面白いところ、ご自身がはまっている理由はどこにありますか。

「柔術は、身体だけではなく心も鍛えられます。それまで生活習慣が悪い人や人生の目標がない人でも柔術を始めると粘り強くなり、とても良いライフスタイルを持てるようになります。柔術は他の格闘技と比べ歳をとっていても、始めることができます。

打撃などの格闘技は歳をとってから始めても、なかなか試合に出ることは難しいように思えます。柔術は歳をとってから始められ、続けることができますし、試合にも出られます。そこが魅力だと思います。僕も歳をとっていっても、ずっと続けたいです」

<この項、続く>

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