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【JBJJF】デラヒーバ杯2018黒帯ライト級出場、世羅智茂「柿澤剛之選手に負けているので、リベンジしたい」

Sera【写真】デラヒーバ杯出場前に、今年の活動を振り返ってもらった (C)TAKAO MTSUI

20日(土)と21日(日)の両日、東京都墨田区にある墨田区総合体育館で日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)公認の『ヒカルド・デラヒーバ杯2018』が開催される。

ここではアダルト黒帯ライト級にエントリーしているカルペディエムの世羅智茂。クインテットでカルペディエムを優勝に導いた世羅は、今大会で柿澤剛之へのリベンジに燃えていた。

Text by Takao Matsui


――今年もあと2カ月半となりましたが、振り返ってみていかがでしたか。

「今年の初めにヨーロピアンで1回戦負けを喫してしまい、海外選手の強さを痛感しました。その後は、気持ちを切り替えて大会に出てきましたが、カルペディエムがチームで優勝したクインテットが印象に残っていますね」

――6月9日に開催されたQUINTET FIGHT NIGHT in TOKYOですね。グラップリングの勝ち残り5人制のチーム戦という画期的な大会でした。カルペディエムは、岩崎正寛選手、杉江“アマゾン”大輔選手、松本義彦選手、デヴィット・ガルモ選手、そして世羅選手という精鋭チームでしたね。

「一回戦のTOKORO PLUS αとの対戦で自分は、小谷直之選手と引き分けました。総合の選手とのグラップリングは慣れていたので、アームロックとアキレス腱固めに気をつけていました。総合の選手は四つの組み力があるので、そこはとくに注意して戦いましたね」

――一回戦で全員が引き分けで、レフェリー判定勝ちでした。決勝のHALEOチームは、ホベルト・サトシ・ソウザ選手を筆頭にこちらも強豪揃いでしたね。

「はい。自分が大将に選ばれていて、みんな一本で勝負が決まっていく壮絶な試合でした。サトシ選手を止めるために岩崎選手が引き分けに持ち込んで、徳留一樹選手、金原正徳選手が残っている中での厳しい戦いになりました」

――あとは世羅選手に任せたという雰囲気でした。

「残っていた2人ともフレッシュな状態でしたから、どんなことがあっても最初の一人は一本で極める覚悟で臨みました。あとのことは、その時に考えようと開き直ったのがよかったのかもしれません。幸いにも30秒で徳留選手から腕十字を極めることができてよかったです。最後も気力で引き分けに持ち込んで指導の差で優勝できました」

――柔術の大会とは、また違う満足感がありましたか。

「ありました。みんなの力で優勝するのは、なかなか経験できないことですからね。負けたら責任重大ですが、その反面、勝つと嬉しさが大きいです」

――倍になりますか。

「倍どころではなく、人数分以上の喜びですね。石川(祐樹)代表も喜んでくれて、出場してよかったです」

――その後、全日本選手権は出場されませんでしたね。

「じつはクインテットが終わって次の週の木曜日に、ヒザがグレープフルーツくらいまで腫れてしまい、病院へ行きました。ヒザの擦り傷から細菌が入ってしまったようで滑液包という組織が、炎症を起こしてしまったんです。

すぐに切開して膿を抜くために管を通していたため1、2週間、何もできませんでした。復帰できたのは7月の終わりくらいですね。全日本選手権は減量する時間を考えても、断念せざるを得ませんでした」

――アジア選手権は間に合ったようですが、1回戦負けでした。やはり復帰までの時間が短かったのでしょうか。

「いえ、単純に相手の方が強かったです。復帰してからかなり経っていましたし、柔術の場合は、しばらく休んだからといってスタミナ以外は著しく実力が落ちることはないと思います。なので、相手のコール・フランソン選手の実力が僕よりも上でした。

最初はスイープ合戦になって4-4だったんですけど、後半にスタミナが切れてきてパスガードされて、バックに回られて絞め技を極められました。パンの茶帯で優勝しただけのことはありますね」

――たしかにフランソン選手は大塚博明選手に15-0で勝って優勝しましたので、断トツの存在でした。

「下も上もできて、トータル的に強かったです」

――仕切り直しとなるデラヒーバ杯ですが、出場することを決めた理由はありますか。

「とくに理由はありませんが、目の前に出場できる大会があったことと、過去に柿澤剛之選手に負けているので、リベンジしたいと思ったからです」

――2016年の柔術新聞杯ですね。あの試合は、柿澤選手にバックコントロールの4ポイントを取られての敗北でした。

「べリンボロからバックを取られたんですけど、あの時、バックを取られる動きに対してのカウンターを狙ってしまいました。バックのカウンターを得意にしていたので、変に色気を出してしまったことが敗因です。

今振り返ってみれば、レベルの低いやり方をしてしまったと反省しています。バックを取られてから逃げることができて、スイープを返すことができたのだけが救いですね」

――ダイヤモンドガードという強固な守りが特徴の柿澤選手ですが、攻略できますか。

「たしかにあのガードは、攻略するのは難しいかもしれませんね。シンプルそうに見えて、足をきかせてきますから。密着系の動きだとどう反応するのか、楽しみです」

――柿澤選手は、世羅選手の切り替えの早さを称賛していました。

「たしかに切り替えは早くしています。道着を掴んでいる時にクラッチを切られそうになったら、そのまま耐えても指が痛いだけなので、自分から外す時もあります。状況や相手によって変化していくように心掛けています」

――まさに器を変える水のような動きを目指しているのですね。

「そこまで立派なものではありませんが、理想はそうですね。ひとつに固執しないというか。岩崎選手のディープハーフのように、僕には絶対的な形がありませんので」

――それは、形がないのが形ということになりますね。ひとつの技を極める、臨機応変に戦える力を磨く、どちらも正解ではないでしょうか。

「無理やり得意の形に持ち込もうと意識すると、自分の場合はうまくいきません。考えすぎると選択肢が狭くなる可能性があるので、動きの中での閃きを大切にしています。例えば下からのループチョーク、飛びつき腕十字とか、試合はもちろんですが練習でもあまりやっていない技が、閃きでやってみたらうまく行く時もあります」

――きっと頭の中でイメージ化ができているんでしょうね。ある局面で、その映像がつながって体が勝手に動くというのは、天才と呼ばれる選手によく見られる現象です。

「天才とかそういうのは僕にはないと思いますが、できる限り技を増やすように意識しています。YouTubeで技の研究はしていますし、柔術だけではなくUFCやMMAの試合も見て参考にさせてもらっています。ひとつのことを深く掘っていくのではなく、広く浅く知識を広げていくのが自分のスタイルですね」

――勝った選手が正しいので、やり方は人それぞれでしょうね。最後に今後の予定も聞かせてください。

「年内は、ノーギ全日本を予定しています。もしも出場できれば、ノーギワールドにも挑戦してみたいです。あとはRIZINのグラップリングトーナメント、そしてクインテットも年内にあればまた出場したいと思っています」

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