【UFC229】ヌルマゴメドフがRNCでマクレガーを下した一戦は乱闘劇で幕。業界全体が襟を正す必要がある
<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
カビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)
Def.4R3分03秒by RNC
コナー・マクレガー(アイルランド)
タッチグローブを拒否した両者。マクレガーは低くワイドな構えでプレッシャーを与える。テイクダウンに出たヌルマゴメドフに対し、マクレガーは頭を押さえ肩を制してディフェンス。やがて立ち上がりシングルからダブルに切り替えたヌルマゴメドフが、テイクダウンに成功する。ケージを背に座った形のマクレガーの両足を束ねるヌルマゴメドフ。
マクレガーは頭を押して立とうとするが、右足を制されており目的を果たすことができない。再び両足を挟んだヌルマゴメドフが右のパンチを顔面に打っていく。左腕をオーバーフックで固めていたマクレガーは、ヌルマゴメドフに頭を自らの顔を下におかれて立ち上がることができない状態が続く。
ついに背中をマットにつけさせられたマクレガー。ヌルマゴメドフは足を一本抜いてハーフで抑え込む。マクレガーは腰を押し、ヒップエスケープを狙うが強引に立ち上がることはない。ヌルマゴメドフは左のパンチから、最後に大きなパウンドを狙い初回が終わった。
2R、左の前蹴りを繰り出したマクレガー。ヌルマゴメドフが左に回る。と、ヌルマゴメドフが右オーバーハンドを当ててマクレガーがダウン。立ち上がったマクレガーは突進してきたヌルゴマメドフにヒザを狙うも、直後にダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪われる。マウントを取ったヌルマゴメドフのパウンドに、懸命にバタフライからクローズドガードに戻したマクレガーだが、ヌルマゴメドフが左右の重いパウンドを連続で打ちつける。
さらに左エルボーを入れたヌルマゴメドフは、体を起こしてパンチを連打。ついに頭を抱えるようになったマクレガーが、足もきかなくなりパンチを受け続ける。ヌルマゴメドフはここで足を捌いてサイドへ。一旦、息を整える選択をしたか。サイドで抑えニーインベリーに移行したヌルマゴメドフが、パンチを続ける。
起き上がろうとしたマクレガーをがぶったヌルマゴメドフは、金網に押し込んだ状態でラウンド終了を迎えた。左目の下をカットしているマクレガー、ヌルマゴメドフは攻め疲れがあるかが気になるところだ。
3R、左アッパーを空振りしたマクレガーだが、右ジャブから左が当たるようになる。その左が当たる距離で戦うヌルマゴメドフも、打撃でやり合い左ジャブを放つ。ジャブの圧力を高めるマクレガー、ヌルマゴメドフは間合いを図りながらジャブやロー、そしてワンツーを入れるがダブルレッグに失敗する。エルボーを入れたマクレガーに右ストレートを当てたヌルマゴメドフは、続く右から組みつき金網際でおクリンチの攻防に。マクレガーはヒザを入れて、間合い取り直した。
ハイを繰り出したマクレガーにワンツーを見舞ったヌルマゴメドフだが、かなり消耗しており右に右ジャブを合わされる。左ボディを入れたマクレガーはテイクダウン狙いを切っていく。それでもヌルマゴメドフが小外刈りで尻もちをつかせること成功する。立ち上がりながら、決してバックを許さないマクレガー、ケージに押し込まれても冷静に戦局を見ているようにも感じられる。逆に力を使って押し込むチャンピオン。時間となり、マクレガーのラウンドとなった。
4R、インターバル中に立ち上がったままで何やら抗議を続けたヌルマゴメドフが右を振るい、マクレガーがカウンターの左を狙う。右手を出して、左の前蹴りと流れを引き寄せつつあるマクレガーだったが、左ストレートは足が前に出ておらず──姿勢が前のめりになっている。と、強い踏み込みでダブルレッグを仕掛けたヌルマゴメドフが、テイクダウンを奪いスクランブルでバックを伺う。サイドバックから前方に崩そうとするヌルマゴメドは、重心を後に下げたマクレガーと共に後方に倒れこみバックマウントへ。マクレガーの動きに反応し、ヌルマゴメドフがマウントに選択する。
この局面で粘れなかったマクレガー、逆に大きく勝利を呼び寄せたといえるヌルマゴメドフはマウントをエビで逃れられても足を束ねており、再びマウントを取り直す。ケージ際で背中を預けたマクレガーは、RNCに捕らえられ観念したようにタップ。
ここで世界最高峰のライト級の一戦は幕を閉じたが、マクレガー陣営から挑発があったか、ケージを飛び出したヌルマゴメドフと乱闘に発展、さらいケージの上でも両陣営が入り乱れる大混乱の状態に。歴史に残る勝負、勝者も敗者も称えられて然りの世界戦の舞台が、セキュリティが入り乱れる惨状と化してしまう。マクレガー、そしてヌルマゴメドフの順番で戦った当人がケージを去り、ウィナーコールはファイター不在という異常な状況で2018年MMAワールド最高の顔合わせは終焉となった。
乱闘はこのスポーツを貶める、最悪の行為だ。しかし、この事態を厳しく非難にするには日常から、MMAの一部となってきたトラッシュトークやSNSを通して繰り広げれる非スポーツマンシップをビジネスの一部として受け入れてきた業界全体が、襟を正す必要があるだろう。