【UFN19】他ならメイン級のプレリミナリーマッチ
オクラホマシティのコックス・コンベンションセンターで、16日(水・現地時間)に行なわれるUFC FIGHT NIGHT『Diaz vs Guillard』は、UFC以外のプロモーションならメイン級のカードが並ぶプレリミナリーにも楽しみなファイトが多い。
【写真】元WEC世界ライトヘビー級王者スティーブ・キャントウェル。腰に巻かれたベルトはなくなり、WECでそのベルトを奪ったブライアン・スタンとの決着戦に挑む。ちなみに前回の世界戦はVERSUSのライブカードとして全米に中継された―― (C) ZUFFA
元WEC世界ライトヘビー級王者対決となるブライアン・スタン×スティーブ・キャントウェル戦に、IFLやエリートXC、そしてアフリクションと非UFCプロモーションを渡り歩いたマイク・パイルと、同じくIFLやボードッグで飛躍のきっかけを掴んだクリス・ウィルソンの対決。さらにはTUFシーズン7のスター=CB・ダラウェーは、元IFL世界ミドル級王者ダン・ミラーと対戦する予定だったが、ミラーの負傷で無名のブラジル人ジェイ・シルバとの対戦となる。
いずれにしても、これらのファイターが、UFCファイトナイトですらプレリミナリーでの出場という事実が、彼らの層の厚さを端的に表している。
他プロモーションならトップクラスの彼らだが、キャントウェルのUFC戦績は1勝1敗(通算7勝2敗)、スタンは1戦1敗(同6勝2敗)。パイルも1戦1敗(同19勝6敗1分)で、ウィルソンは1勝2敗(同14勝5敗)。TUF上がりのダラウェーは2勝2敗(同9勝2敗)と、これを証明するような成績となっている。
日本の岡見勇信が「UFCはエンドレスに続くトーナメントのないトーナメント戦」という主旨の発言をしたことがあったように、厳しい戦いが続くUFCでは、敗者復活戦は多くて2試合。2つ以上、あるいは3試合黒星が先行すると、リリースされる覚悟が必要だ。
WECから契約が移管されたファイターたちの契約内容が他のファイターたちと、どのような違いがあるかは明らかになっていないが、元WEC世界ライトヘビー級王者対決は崖っぷちのサバイバル戦であることは間違いない。
しかも、この両者はWEC時代に2度対戦しており1勝1敗のイーブンの戦績となっており、このプレリミナリーの一戦が決着戦ということになる。殴り合い上等のスタイルで、WECでは勝利を重ねた両者だが、メインイベンターでもTVスターでもなくなった今、彼らは勝つために堅い戦略を選択する可能性も十分にある。
距離の取り方、ディフェンス能力も問われる戦いは、WEC時代とは一味違ったMMAとなるだろう。
また、5月のUFC98で待望のオクタゴンデビューを飾りながら、急遽出場、準備不足もありブロック・ラーソンに敗れたパイルは、日本の戦極で郷野聡寛をKOで下したダン・ホーンバックルを三角絞めで下すなど、UFCでは少ない寝技重視のファイターだ。
【写真】クリス・ウィルソンと対戦するマイク・パイルは、バルチックやスカンジナビア、ロシアでキャリアアップを図り、全米各地の中堅~メジャー・プロモーションに上がってきた。日本では戦極のリングに上がったことがある (C) MMAPLANET
デビュー10年、今でこそエクストリーム・クートゥアーの一員として活躍するが、既に34歳。テネシー出身、打撃を磨くためにデンマークへ移り住み、そのデンマークを始めリトアニア、ロシアでキャリアを重ねたパイル。
米国に帰国後もオレゴンのスポートファイト、旧WEC、GFC(グレイシー・ファイティング・チャンピオンシップ)、ストライクフォース、カナダメジャーだったHCF(ハードコア。ファイティング・チャンピオンシップ)で試合をこなすなど、まさにMMA界の酸いも甘いも知り抜く。
そんな彼にとって、ウィルソン戦は前回のラーソン戦と違い、言い訳のできない状況で、本当の意味でのUFCデビュー戦となる。一方のウィルソンもスティーブ・ブルを相手に勝利を収めているが、ジョン・フィッチ、そしてジョン・ハワードに敗北を喫しており、パイル戦で遅れを取ることになれば、その先がどうなるかは見えている。
テイクダウン能力でパイルを凌ぐウィルソンだが、打撃は互角。そしてグラウンドワークで下になることを意に介さないパイルが相手だけに、厳しい一戦となることが予想される。
TUFシーズン1勢の長期間の活躍により、一度本契約を済ませると安泰のようなイメージが持たれているが、敗者復活となったシーズン4、ライト級新規開拓で優秀な人材が集まったシーズン5を除けば、シーズン2からシーズン6の出演者で、今もUFCに残っているファイターは、メルビン・ギラード、エド・ハーマン、マット・ハミル、ベン・サンダース、ジョージ・ソティロパロスぐらいのもの。
シーズン終了後、まだ1年強しか経ていないTUF7出身者の足切りは目立っていないが、7月にトム・ローラーのギロチンで秒殺されたダラウェーも安閑としていられない。
TUF上がりという知名度が逆に対戦相手のキャリアップにつながるため、今回の対戦相手シウバにとっても、よりモチベーションが上がる対戦相手となる。UFC幹部候補生だからこそ、激しい生存競争にその身を置かれているわけだが、シウバ戦は正念場の一番といえるだろう。
■UFC Fight Night19『Diaz vs Guillard』対戦カード
<ライト級/5分3R>
ネイト・ディアズ(米国)
メルビン・ギラード(米国)
<ライト級/5分3R>
グレイ・メイナード(米国)
ロジャー・フエルタ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
カーロス・コンディット(米国)
ジェイク・エレンバーガー(米国)
<ミドル級/5分3R>
ネイト・クォーリー(米国)
ティム・クレドゥアー(米国)
<ライトヘビー/5分3R>
ブライアン・スタン(米国)
スティーブ・キャントウェル(米国)
<ウェルター級/5分3R>
マイク・パイル(米国)
クリス・ウィルソン(米国)
<ミドル級/5分3R>
CB・ダラウェー(米国)
ジェイ・シルバ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
サム・スタウト(カナダ)
フィリップ・ノヴァー(米国)
<ライト級/5分3R>
ジェレミー・スティーブンス(米国)
ジャスティン・ブショールス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ブロック・ラーソン(米国)
マイク・ピアス(米国)
<ミドル級/5分3R>
スティーブ・ステインベース(米国)
ライアン・ジェンセン(米国)