【UFC225】ロメロの体重オーバーがなければ、歴史の残る激闘はウィティカーがスプリット判定勝ち
<ミドル級/5分5R>
ロバート・ウィティカー(ニュージーランド)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ヨエル・ロメロ(キューバ)
左前蹴りから右ストレートを放ち、前回の仕返しとばかりに関節蹴りを繰り返すウティカー。右ローと関節蹴りに、ガードを固めて待ちの姿勢のロメロは動かない。ヒザ蹴りを繰り返し、左ジャブ、ワンツーを繰り出すウィティカーにロメロがようやく左フックを振るう。続く左オーバーハンドも空振りとなるが、勢いを魅せつけるロメロは、また動き止めて関節を蹴られる。
左から右を入れたウティカーに対し、ロメロが左を返す。ガードの上から右ハイを入れたウティカーはスピニングバックフィストを避けると、ダブルのジャブから右を振り、関節蹴りへ。さらに左ミドルを入れたウティカーは低い姿勢でワンツー、ロメロはガードで顔を覆った状態が殆どという初回は、スピニングバックフィストの空振りで終わった。
ポイントを失ってなお一発のインパクト狙い、あるいは究極の省エネ戦法だったのか──2Rが始まると、ロメロは前腕を大きく前に出す、変則的な構えで左を振り関節蹴りを見せる。ガードをやや下げて、いつものようか構えも見せるようになったロメロに対し、ウィティカーが左ジャブを突いていく。オーソから左リードフックを振るうロメロが右ハイを繰り出す。
左ハイを返したウィティカーは、右ハイを繰り出す。さらに左ジャブを当て、右ハイとアグレッシブに攻めるウィティカーに対し、ロメロも左ハイを狙う。組んでからの大内刈りもテイクダウンを奪えなかったロメロは右目の下が大きく腫れている。
3R、ウィティカーの動きに拍車がかかったと思いきや、ロメロの右が入り足下がふらつく。殴られながらシングルに出たウィティカーをキムラクラッチから後方に投げる。立ち上がったウィティカーがアッパーから左フックを被弾する。それでもエルボーに続き、右フックを打ち返すとロメロも動きが止まる。力なく組みつくロメロの頭を抱えるウィティカーは、スペースができるとエルボーを入れ、スピニングバックフィストを狙う。ロメロのテイクダウンも力なくなり、両者のエネルギーゲージは限りなくゼロに近いか。
組んでバックを狙ったロメロ、離れたウィティカーがヒザ蹴りを突き刺す。左を返し、左右のフックを連打するロメロは、小走りで離れたウィティカーを歩いて追いかける。ここでウィティカーが右ハイを決めるが、ロメロも前に出て組み付く。バックコントールの状態で後方から殴られるウィティカーだが、胸を合わせて逆にロメロを押し込む。大きく口を開けるロメロ、勝負の行方はまるで読めなくなった。
4R、関節蹴りを見せたウィティカーが、左の蹴りを続ける。ガードの上からの左ハイでふらつくロメロは左を返すが、足が前に出ない。ウィティカーが左ジャブを入れ、関節蹴りを2発。体がよれるロメロは、続く蹴りが急所に入ったとインターバルを要求する。当然、息を整えるロメロだが、ウィティカーもダメージの回復の時間ができたことになる。
再開後、左ジャブを連続で入れたウィティカーが、えげつない関節蹴りに。ロメロも左ジャブを返す。右の蹴りがなくなったウィティカー、どこか負傷したか。その右足で関節蹴りを放ったウィティカーが、左ジャブをダブルで入れる。右エルボーを入れた際に、右足におかしな動きが見えたウィティカー。それでも前蹴り、左エルボー、右ストレートを伸ばす。ロメロも右を打ち返し、さらにワンツーを入れるとウィティカーの足下がふらつく場面も見られた。
最終回、前蹴りを繰り出すウィティカーに、ロメロの右が入る。後ろ回し蹴りを繰り出すロメロだが、スタミナに余裕はないはずだ。スピニングバックフィスト、飛びヒザと大技を狙うロメロは、左ジャブを当てて前に出る。基本、ステップを踏んで下がりながらの攻撃になったウィティカーが、ロメロの右を被弾してダウン。亀のウィティカーにパウンドを入れたロメロだが、ウィティカーがシングルレッグを仕掛ける。そのままケージに押しむも、潰されてパンチを受けるウィティカーは何とかが立ち上がる。
後方からエルボーを入れ、組んでバックに回ったロメロは後方からの足払いを二度繰り返す。ヒザをついたウィティカーは座った状態を続け、ロメロは背中にヒザを入れる。左右両方の足を払ったロメロのバックコントロールが続く。残り1分を切り、ロメロが動けない。ここでレフェリーがブレイクを命じる。
オクタゴン中央で向かい合い、残り15秒でテイクダウンを仕掛けたロメロ。切ったウィティカーに後ろ回し蹴りを狙い、ウィティカーが前蹴りで突き放す。直後にタイムアップとなった一戦は、ロメロが勝ったとばかりに興奮状態に。
3Rの右フックから一気に試合の流れが変わった一戦は、ロメロがビッグラウンドを2度作ったことも十分に考える。そのビッグラウンドはなくスプリットでウィティカーが勝者に。
「初回から右腕の感覚がなくなった」ことを明かしたウィティカーは、「とてもタイトな試合だった。僕もコントロールしたけど、4Rと5Rにダウンを許した(※実際は3Rと5R)」と話し、ロメロは「僕は減量に敗れ、試合にも敗れた。コミッションの判断は分からないけど、謙虚な意見として僕は負けた。リマッチは10回で喜んで応じる」と語った。