【WEC42】水垣、カーランに苦戦強いられるもWEC初白星
■第8試合 バンタム級/5分3R
水垣偉弥(日本)
Def.3R終了/判定2-1
ジェフ・カーラン(米国)
【写真】カーランの下からの仕掛けに、本来持つパウンダーぶりを発揮するには至らなかった水垣。結果的には、このテイクダウンがWEC初勝利をもたらした (C) ZUFFA
ムエタイファイターとコールされた水垣に、ブーイングではなく歓声がおくられる。
ローを蹴り合った両者。水垣の左ローをキャッチしたカーランがテイクダウンを狙うが、水垣はケージを利用し倒れない。ハイクラッチから執拗にテイクダウンを仕掛けるカーランは、後方に下がりヒザを締めるが、水垣はバランスをキープする。
カーランが両ヒザをキャンバスにつけるや、背中に乗るようにトップを保つ水垣は、最終的に差し返して体を入れ替えることに成功した。
そのままテイクダウンに成功した水垣は、カーランのクローズドガードのなかからパウンドを落としていく。さらに左エルボーをまとめた水垣は、腕十字に対処した直後、カーランに足首を取られ、立ち上がろうとしたが、そのまま払われバックを許してしまう。
それでも振り向くように、体を入れ替えてトップを維持した水垣は、カーランのスイープ狙いに右パウンドを返し、トップをキープするも攻められる時間が多いタフな1Rを終えた。
2R、カーランが右ストレートをヒットさせると、水垣は右ローから左フックを振るう。サイドキックを見せるカーランに、水垣は右を伸ばす。左ハイキックを繰り出したカーランとの距離が縮まると、制空権に入ったとばかりに水垣の拳が本領を発揮する。
そのままケージにカーランを詰めた水垣は腰投げのようにテイクダウンを奪い、右パウンドを落とす。ガードからエルボーを見せるカーランに対し、水垣はヒジ打ち、あるいは立ち上がった状態からパンチを落とす。一本足を抜いた水垣だが、カーランに戻され、デビュー戦では見せなかったグラウンド戦を続ける。
カーランのギロチンスイープ、さらにギロチンを耐えた水垣は、手ごわいカーランを相手にWEC初勝利を目指し、最終ラウンドへ。右ストレートから組みついたカーランに、組みの強さを見せる水垣はヒザをボディに突き上げ、カーランをケージに押し込むと、ここでもテイクダウンを奪う。カーランはフックガードから、ハイガード、三角、ギロチンを仕掛けるが、水垣はバランスを崩さないようにトップをキープする。
トップキープで、米国のファイトでは欠かせないポイントを守る水垣。しかし、思うようには攻められず、逆にカーランの方が手数は多い。腰を切ってパスを狙うが、カーランのガードは頑強だ。
残り40秒となり、カーランは腕関節をしかけながらスイープへ。トップをキープした水垣だが、そのまま三角絞めの態勢に入られ、さらには三角マウントを許してしまう。残り10秒、パウンドを浴び、上を取り返すがトライアングルで絞め続けられながら、水垣は試合終了の時を迎えた。
カーランのテイクダウン狙いを潰し、トップを奪うことに成功したのは常に水垣だった。ただ、寝技で攻勢点があったのはカーラン。特に最終3Rは明確にポイントを失っており、2Rの攻防がどのように判断されるのか――。
ジャッジの裁定は、まずは29-28で水垣。続いて29-28でカーラン、最後の一人は29-28で水垣に。「苦しくて時間が助けてくれました。ジェフの極めは警戒した通りでした。セミの二人の試合次第ですが、トーレスに一歩近づいたのは嬉しいです」と試合を振り返った水垣は、苦しい内容だったが、不可欠だった勝利という結果を手にした。