【WJJC2017】ウルトラヘビー級、何だかんだと言ってもブシェシャ。準決勝&決勝も一本勝ちで優勝
【写真】過去6年で5度目のウルトラヘビー級制覇となったブシェシャ。無差別級を合わせると、この時点で世界9冠に(C)MMAPLANET
1日(木・現地時間)から4日(日・同)にかけてカリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドで開催されたブラジリアン柔術世界選手権=ムンジアル。柔術世界一を決定する世界大会レビュー第14回は、現在の競技柔術最強の男マーカス・アルメイダ・ブシェシャが制した、ウルトラヘビー級準決勝と決勝の模様をお伝えしたい。
関根秀樹を初戦で倒したイゴール・シュナイデルは、次戦の準々決勝で優勝候補筆頭のブシェシャことマーカス・アルメイダと対戦。大量リードされたものの、絶えず攻撃を仕掛けてくるブシェシャにうまくカウンターして体勢を入れ替え、なんとパスガードに成功。敗れたものの13-7と健闘を見せた。
<ウルトラヘビー級準決勝/10分1R>
マーカス・アルメイダ(ブラジル)
Def.8分59秒 by 袖車絞め
ジョアオ・ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
一方、ブシェシャは準決勝で一昨年準優勝者のジョアオ・ガブリエル・ホシャと対戦した。なおホシャは前日の無差別級にて、レアンドロ・ロに破れる前にニコラス・マレガリのガードからの攻撃をさばき、パスを奪って勝利している。そのマレガリが、ヘビー級でレアンドロ・ロを倒し優勝を飾ったのは既報の通りだ。
とまれこの準決勝、ブシェシャが思い切りの良いシングルレッグを決めれば、ホシャもボディロックから外掛けでブシェシャをマットに叩きつけるように倒すという豪快な展開で幕を開ける。やがてホシャは姿勢を低くするブシェシャの奥襟を掴んで引き倒すと飛びつくようにバックに。さらにニアマウントと攻め込むなど、終盤までアドバンテージ差でホシャがリードする展開となった。
足を抜きパスを決めかけたホシャだが、ブシェシャは下から暴れ馬の如く跳ね続けて隙間を作り、インバーテッドガードのように足を入れてから後転。さらにヒザ十字狙いで前転する。それについてゆきバックを取り掛けたホシャだが、ブシェシャは体をずらして上に。さらに足の絡みを解いて後ろ袈裟で抑えて逆転すると、さらにマウントから肩固めを仕掛け、そのまま(小室宏二が得意とした形の)袖車絞めに移行してフィニッシュ。残り時間はちょうど1分だった。
こうして劣勢からの怒涛の連続攻撃で勝利したブシェシャは、もう一方のブロックを勝ち抜いたグスタヴォ・ディアスとの決勝に駒を進めた。ディアスは昨年のノーギワールズで準優勝しているものの、世界選手権黒帯の部では初の決勝進出だ。
<ウルトラヘビー級決勝/10分1R>
マーカス・アルメイダ(ブラジル)
Def.4分57秒 by ブラボーチョーク
グスタヴォ・ディアス(ブラジル)
ブシェシャは開始早々にボディロックで組みつきながら、小外掛けでディアスの巨体を豪快にテイクダウン。しかし両者の体が場外に出たためアドバンテージ止まりに。
スタンドで再開すると、今度はすぐに引き込むディアス。ブシェシャはすかさず片足担ぎに持ち込んでディアスの体をスタックすると、そのまま隙間を作らずタイトに体重をかけて教科書通りにパスに成功。3点を奪った。
その後ディアスはハーフガードに戻すが、ブシェシャは低く体重をかけて上半身でディアスの両足を潰してサイドに付き、さらに3点を追加する。ディアスが再び体勢を戻してラッソーの形を作ると、ブシェシャは足の絡みを解除して立ち上がって距離を取ってから、両足をさばいてすぐに横に。試合は一方的な展開となっていった。
ディアスは再びなんとかハーフに持ち込むも、腰を切って押さえ込んだブシェシャは、そのままニースライドパスの体勢に。ディアスの上半身を両腕で押さえ込んだ状態で、ラペルを引き出してブラボーチョークに入ると、ディアスがタップ。ブシェシャがこの階級5度目、無差別級も合わせると9度目の世界制覇を果たした。
決勝では、フィニッシュを含め4種類の異なるパスを決めてみせたブシェシャ。その動きのあまりの思い切りの良さ故に、準々決勝と準決勝ではカウンターをもらう場面もあったが、劣勢を跳ね返す力を見せている。防御力と挽回力に自信があるが故の、超攻撃的な姿勢。それは、スペクテイタースポーツとしての競技柔術の理想を体現したものであり、同時に現在の競技柔術のあり方に違を唱えるエリオ派勢も──ヒクソンやクロンはもちろん、ヒーロンやヘナーのグレイシー・アカデミー勢ですら──護身とともに重視している部分だ。
■リザルト
【ウルトラヘビー級】
優勝 マーカス・アルメイダ(ブラジル)
準優勝 グスタヴォ・ディアス(ブラジル)
3位 ジョアオ・ガブリエル・ホシャ(ブラジル)
3位 オターヴィオ・デ・ソウザ・ナラティ(ブラジル)